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55回富士登山競走

 

20020726日開催

 

  距離:21km・標高差:3,006m(山頂コース)

 

 

 

天候:晴れ一部雲 

 

  記 録

 

 

 

42403(時間内完走!!)     総合:736/完走868名中、 一般男子:695/完走825名中

 

  大会の概要

 

 

 

この大会は富士吉田市役所前から富士山頂までを競うもの。コースは市役所をスタートし、浅間神社の横を通り、中の茶屋、馬返しを経て、山頂まで駆け上がるものです。その距離と標高などは、

 

 

地点

標高

距離

スタート地点

との気温差

徒歩の場合の

所要時間

 

 

(スタート)

富士吉田市役所

770

0km

0

0

 

 

 

中の茶屋

1,110

8km

 

 

 

 

 

馬返し

1,450

11km

7.8

3時間00

 

 

 

五合目

2,250

15km

13.0

5時間10

 

 

 

七合目

2,700

17.5km

15.0

6時間40

 

 

 

八合目

3,360

19km

18.0

9時間40

 

 

(ゴール)

頂上

3,776

21km

21.0

11時間00

 

 

です。

スタートは午前730。制限時間4時間30分以内、つまり正午までに山頂に到達しないと完走とはなりません。徒歩で登山した場合の所要時間が上のように大会事務局から示されていますが、徒歩の約2.4倍以上のスピードが必要です。スタート時に係員が、「完走率は毎年約50%と厳しいけれどがんばって!」と選手を鼓舞してくれます。他のレースと比べて、時間的にかなり厳しいレースです。選手が戻る時間や係員の下山のことを考えると、これがぎりぎりの制限時間なのでしょうか。制限時間を5時間にして欲しいという声もあるようですが、4時間30分はずうっと変わりません。実は今年は蒸し暑さなどもあり、完走率はさらに低くて、なんと39%だったようです。

頂上に到達後は、速やかに自力で五合目まで下山し、そこで自分の着替えと昼飯のおにぎりを受け取った後、約1時間かけてバスで市役所まで送ってくれます。頂上から五合目までの下山に約1.5時間〜2時間ほどかかるので、レース+五合目下山で正味6時間ほど費やす過酷なレースです。

さらに5合目以上は空気の希薄さもランナーを悩ませます。いわゆる高山病です。また、土日は大勢の登山者と一緒になり混雑が予測されるので、開催日を金曜日にしているとのことです。

2002年の大会が55回目と歴史のある大会です。出場の年齢制限が昔は40歳台後半(詳しくは分かりません)だったようですが、それが数年前に50歳台となり、今年は60歳に引き上げられ、参加者が増えたようです。

 

  場 所

 

 

 

スタート富士吉田市役所前〜ゴール富士山頂=標高差3,006m

 

  参加者

 

 

 

山頂コース=名簿掲載者、一般男子2,375名+一般女子164名=合計2,539名のうち、実際の出場者は2,224名。このうち、時間内完走者は868名でした。(完走率39%)

 

  着替え場所など

 

 

 

 

公式の着替え場所として、市役所の会議室が使用できます。

私は車で行きましたので車内で着替えました。大半の選手は宿か自分の車で着替えたのではないでしょうか。

レース終了後は仮設シャワーが使えるようですが、ちょっと並びます。私はレース後、市役所の洗面所で顔だけを洗わせて頂きました。市役所は平日の業務をしていますので、職員や市民の方の迷惑にならぬようにしたいものです。

 

  貴重品預かり

 

 

 

貴重品預かりはありませんが、着替えや荷物を五合目まで運んでくれますので、五合目で着替えができます。

 

  トイレ

 

 

 

市役所が会場なので、そのトイレを使用できるのと、追加で仮設トイレもあります。

 

  参加賞

 

 

 

毎年、同じデザインの鈴付き栓抜き(富士山の絵柄入り)です。年により、富士山の絵柄が少し変わります。金メッキなので立てて置くとちょっとしたトロフィーのようです。

 

  完走賞

 

 

 

時間内完走すると、完走証と今年はキーホルダーがもらえます。

 

  距離表示

 

 

 

距離表示は、このレースではあまり意味がないし、準備も大変なのでしょうか、ありません。ただし、いくつかのチェックポイントの距離を、事前に頭に入れておき、タイムを確認することは必要です。

(中の茶屋8km、馬返し11km、五合目15km、八合目19kmなど)

 

  エイドサービス

 

 

 

 

エイドサービスが中の茶屋、馬返し、五合目にあり、給水のみが七合目、八合目にあります。なかでも前半の中の茶屋、馬返し、五合目まではバナナ、レーズン、レモン、塩、それから五合目にはパンもあったような気もします。

 

  模擬店

 

 

 

アートスポーツが出店。他に地元の物産店など。

 

注意事項

 

 

 

空気が希薄なこと。

最初から最後まで基本的に登りのみであること。

一部岩登りの箇所もあるので、軍手などの厚手の手袋があった方が良い。スポーツ

 

 

用の手袋は生地が薄いので岩で破れる可能性あり。

 

天気が急変すること。気温差が20度ほどあること。

4時間近く要するので、後半おなかがすくこと。

エイドでは積極的に食べた方が良い。塩も効果的です。

五合目までの下山にも1.5時間ほど要すること。その体力を残すことも必要。

舗装路、ダート道。火山砂の斜路。岩場。階段と変化に富むコース。

 

などの、他のレースとは異なる特殊事情があります。

 

  レース中の携行品

 

 

 

上記の特殊事情があるので、以下の物を持っていくことを薦めます。

 

気温低下に備え、ティーシャツを1枚。

雨天や気温低下に備え、ビニル袋(被れるように穴を開けておく。)

キャップ(日差し除け、雨除け)

軍手(岩登り用)

お金(途中の水購入と頂上での休憩時ビールなど用)

 

私はこれをウエストポーチに一式入れて行きました。

 

下にも書きましたが、これにボトルを入れることのできるサックを付けて空ボトルを持ち、五合目で水を補給して行くのが良いと思います。

 

 

 

スタート前富士山をバックに記念撮影

 

スタート地点の横断幕

 

 

スタート直前のランナー

ゴール後の和やかな頂上

 

 

ゴール後の頂上での記念撮影

五合目を目指して下山

 

 

 

 

  出場記

 

 

 

開催日は726日(金)。昨年までは725日に開催されていたが、今年から7月の最終金曜日の開催となった。今後は金曜日開催の予定。

高所でのレースなので、空気が薄く、できれば前日現地に着き、高所に体を慣れさせた方が良いと言われるが、私はお金と時間の都合で当日到着とした。空気の薄さの証明は、帰りに富士吉田で空になったペットボトルが、家に着いた時には気圧でぺちゃんこに潰れていたほどだから、かなりのものだ。

スタートに合わせ500前に着くつもりで、家を330に車で出発した。途中、日野の高速バス停で霞ヶ丘楽走会のNさんと待ち合わせ、同乗して一緒に現地に向かった。富士吉田市には500少し前に到着。小学校が選手用駐車場に指定されているが、市役所の駐車場も駐車OKなので、先にそちらをチェックする。市内の地理に慣れていないので、道を迷いながら市役所には10分ほどロスして到着した。駐車場はほぼ満車だったが、テントが一つあったので、それを頼み込んで少し移動してもらい、一台分のスペースを空けてもらった。ありがとうございます。ラッキーでした。市役所駐車場に停めるためには、遅くとも500前に着くことが必要。できれば、もう少し前が確実。

市役所前の受付でゼッケン、計測用チップをもらい、車で着替えて装着。五合目で受け取るレース後の着替えをバッグに詰め、会場に向かう。このバッグは市役所でトラックに預け、五合目まで送ってもらう。

市役所へ歩いていると他の選手から「石川県から来たのか?」と尋ねられた。ゼッケンで住所がある程度分かるらしい。しかしどうも彼がゼッケンを見間違えたせいだったらしいが、私は実は石川県出身なので驚くと同時に親密感が湧いた。さらに、聞くと彼はどうも私の出身の市から来た様子で、ちょっとローカルな話題で話の花が開いた。奇遇なことがあるものだ。健闘を期して別れた。聞くと、彼は20回連続で出場し50位にもなったことのあるツワモノらしい。

700の開会式のあと、スタートする。まずは市のメインストリートであると思われる本町通りを駆けるが、ここからすでに徐々に上り坂である。ここでは早朝にもかかわらず市民の方の応援がある。そして浅間神社の脇を通り、吉田口登山道に進む。ここから中の茶屋まではきれいな舗装路なので走り易い。アスファルトの上を見ると水滴の跡がいっぱい。あれっ雨かなと思えば、先に走ったランナー達の汗の跡だった。

私はレース前に先達にいろいろノウハウを聞き、完走するための途中ポイントでの目標タイム設定をした。

それは、

中の茶屋=04000

馬返し =10000

五合目 =20000

五合目を2時間で通過すると、完走の可能性が高いらしい。

遅くとも2時間10分までには通過しておきたいところ。

頂上  =43000(完走)

である。

私は中の茶屋に、38分ちょっとで到着。給水をして再スタートしたのが40分なので予定通りだ。しかし結構飛ばした積もりだったが、それでもこのくらいかと思う。445/kmの速度になるが、予想したよりきつい。後半がちょっと心配だ。

中の茶屋を過ぎても、馬返しまでは舗装はされているが、坂の勾配は一段と上がる。とにかく舗装路は走ることを目標としているので、ここは何としてもがんばりたい。馬返しでは、1時間02分ほど経過。まあまあ目標どおりで少し安心する。中の茶屋からは緑陰の中なのだが、汗がしたたり落ちる。

馬返しを過ぎると、火山灰の砂利道が続くが、粘土質ではないので湿っていても滑ることはない。整備されて平滑なのだが、ついにここから歩き始める。私を含めた大半のランナーは早足のウォーカーとなっている。しかし、歩いても早足であることが大切だ。普通に歩いていては間に合わないのだ。ここらは50mほどの間隔で何箇所も地面に土砂流出防止用と思われる木枠の桝が道幅いっぱいに作られ、歩きにくい。ここではランナーは一列縦隊で道路の端を進まざるを得ない。そして五合目近くになると道はさらに険しくなり、急な登りが増える。

五合目に近づくと何となく息が苦しくなる。周りも皆走っている訳ではないのに、ハァハァゼィゼィ。思えばすでに2,000mを越える高所なのだ。無理もない。五合目は2時間04分で経過。目標よりも少し遅れ気味だがまだ完走可能だと、心と体に鞭打ち言い聞かせ、ほとんど休まず先を進む。後から聞いた話だが、私の友人は五合目を2時間9分で通過して完走したらしいから、六合目以降の脚力に自信があれば、2時間10分ほどの目安でも可能なのだろう。

ここから七合目までが、火山灰の砂地のコース。つづら折れのコースを何度もくり返しモクモクと登る。砂浜で走るのが難しいように、ここは踏ん張りが利かず体力を消耗する。なるべく地盤の硬いところを探して歩くことになる。前の人の足跡に合わせて登ることも一つの方法だ。前のランナーを抜こうと思って、独自にルートを切り開くのは、ザクザクな所を歩かなくてはならないのでかなり厳しい。

七合目から八合目は大きな階段と岩場のコースが続く。岩場では足ばかりでなく、軍手をはめて手も使って登る。一段一段が3040cmほどもあるので、足だけでは続かない。空気もかなり希薄になっており、意識的に深い呼吸を続けながら登る。経験上、深呼吸をしながら登るのが良いと分かった。意識しないとどうしても小さな呼吸になり、結果的に酸素不足に陥るのだ。途中の山小屋で給水を受けた。貴重な水なので一人一杯。ここでは水が本当においしい。

気候にもよるが、水はよく考えて準備した方が良い。私は当初身軽な方が良いと考え、なるべく物は持たず最小限のものをウエストポーチに入れ、水は持たなかった。後で考えると、五合目までは給水所の水で十分だが、それ以降は私としては少し足りなかった。山小屋で水は買えるとは言うものの、余分な時間もかかる。できれば、空のボトルを持ち、五合目で水をもらって入れ、それ以降はその水を飲むのが良いと思う。私は八合目で我慢できず、最後のがんばりに備えて一度スポーツ飲料を買った。水は酸素も供給してくれるので飲むとほっとする。

八合目に着くともう終盤だが、八合目には山小屋がいくつもあるので、最初の八合目の山小屋で着いたと思わない方が良い。次の山小屋も八合目なので、精神的にまいる。本八合目が八合目で五つ目の山小屋だ。

八合目の最後の関門では3時間47分を経過しているので、あと40分ばかり。ぎりぎりか。完走できるか、いや体力が消耗しどうか分からないなどと自問自答しながら、ここを通過する。係員の方に、「上の遠くに見える旗がゴールですよ。がんばって。」と励まされる。見るとかなり遠い。「ちょっと無理かなぁ。でも行ける所まで行こう。」と、とにかく休まずに足を進める。途中の遠くに見えていた鳥居が意外にすぐに近づいた。見るとゴールがだんだん近づいている。この日は天気が良く見通しが良くて遠くまで見える。近づくにしたがい、上から「もう少しだがんばれ。」と言う声が聞こえ、それに元気付けられ、一気に階段を上る。上りきって少し行った所がゴールだった。手元の時計で4時間24分ちょっと。ようやく終わったと思い、開放感に満ち溢れた。天気も良くて富士山に祝福されている心地がした。とにかく祝杯を上げねばと思い、缶ビールを買う。下のコースを覗くとまだまだ続々のランナーが群れを成して登っている。もうすぐ制限時間が過ぎるが、それでも山頂を目指す列は続く。それぞれが自分への挑戦をしている。制限時間に間に合わなくてもきっと富士山は祝福してくれるだろう。友人のKさんも完走し、お互い喜びを分かち合った。持ってきたカメラで記念撮影をし、早々に下山する。(本当はレースの途中を撮影するつもりが、余裕がなくてスタート時とゴール後のみの撮影となった。)

下山は下りのみだが、1時間半も続くと足に疲労がたまるのと、砂利がシューズに入って痛くて辛い。かなり披露困憊のランナーもおり、幅4mほどの坂道からはずれて転落しそうになる者や、足が追いつかず転ぶランナーも続出する。教訓としては路肩は走らない方が良い。砂まみれになりながら、ようやく五合目に辿り着き、昼食のおにぎりをもらい、バスで市役所に帰った。見ると、シューズの中には火山灰が一杯。ソールはザクザクに毛羽立っていた。

市役所中庭のうどんサービスを受け、完走証と完走記念品をもらい、ようやく今年の富士登山は終了した。

 

 

途中経過速度

 

 

 

 

 

Start8km

(中の茶屋)

445

/km

 

   

11km

(馬返し)

800

/km

 

 

15km

(五合目)

1500

/km

 

 

19km

(八合目)

2615

/km

 

 

21km

(頂 上)

1830

/km

 

ところで、富士登山競走と平地での走力とはどんな関係があるのでしょうか。

 

富士登山競走とフルマラソンとの記録の関係

 

富士登山競走は、高地であること、ずっと登りが続くことなどの特殊性があり、その対策としては、山岳トレーニングなどの必要性があると言えます。一方で平地での脚力とはどうなのでしょうか。そこで、直近のフルマラソンの記録との関連について、自分の記録を振り返ってみました。初めて参加される方が、時間内完走を目指すための目安として、どの程度のフルマラソンの走力が富士登山の記録につながるかを、参考までに見ていただければと思います。もちろん、もともと山岳をやっていて、上り坂に特に強い脚力をお持ちの方は、さらにパフォーマンスは良いはずです。

私はこれまで富士登山競走には4回挑戦し、4回目で初めて時間内の完走をしました。ですから、特に山岳に強い脚力を持っているわけではありません。そんなランナーが完走するための目安として、フルマラソンの記録を想定してみましょう。

2002年は完走率が低かったと言われておりますが、そんな年ごとの環境の違いはこの際無視しています。

考 察

 

* 

過去4回の富士登山競走結果

参加年度    結果

1994年 8合目で関門にかかり下山(サンプルは8合目までの記録を元に頂上記録を想定)

1995年 頂上に登頂するが時間オーバー

1998年 頂上に登頂するが時間オーバー(1995年より少し短縮)

この4年間、少しブランク

2002年                ようやく時間内完走達成

 

上記の大会に最も近いフルマラソンの記録とを比較してみました。

  結 果

 

 

 

  考 察

 

 

上記のグラフは、たった4つのサンプルなのでちょっと強引かもしれませんが、関係式(y=1.885315x+312.016)を出しますと、制限時間4時間30分をクリアするための平地でのフルマラソンタイムは、3時間17分余りとなりました。しかし、今年2002年は暑さや参加者の多さからタイム的に厳しかったようですので、幅を持って見るべきでしょうね。もしも今年のタイムが5分違えば、フルマラソンの設定タイムも5分くらい変化しそうです。

  追 記

 

   

富士登山競走に関しては、思い入れのあるホームページがかなりあります。検索エンジンで探して見てみてはいかがでしょうか。上記のように、フルマラソンとの関係についても言及しているサイトもあります。そのサイトの結果によれば、かなりの幅が見られるようです。フルマラソンが3時間〜3時間50分クラスの選手が制限時間ぎりぎりの4時間30分あたりで完走されているようです。私の記録による予測も、その単純平均と比べれば、まあかなり近似しているとも言えますね。

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