ランニング研究:その10 2007ベルリンマラソンでのハイレ・ゲブレシラシエの世界記録達成 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
9/30に行われたベルリンマラソンで、エチオピアのハイレ・ゲブレシラシエ選手が世界最高記録を樹立しましたね。時間はなんと、2時間4分26秒という、驚異的な数字です。最近日本のマラソンでは、2時間8分台もなかなか出ない中、夢のような記録ですが、レースの経緯をラップタイムから見てみましょう。なお、ラップタイムのデータはWORLD
MARATHON MAJORSから採っています。今回のラップはおおよそ3km間隔で採取されていますが、1km当たりの数字に換算すると下記のようになります。
これをグラフにすると、下図-1のようになり、ゲブレシラシエのラップタイムはほとんど変化がありません。ほぼイーブンで行っていると言えます。このグラフでは余り分からないので、少し拡大して見ると、下図-2のグラフのようになりました。全体の平均は2分57秒/kmと、これも驚異的ですが、なんとラップの振れ幅が8秒の枠内に収まっているという驚異的に安定したペースでした。8秒と言えば、5kmの区間タイムとしても40秒の幅です。ちなみに、女子の世界最高のラドクリフの場合は28秒/5km、これまでの男子世界記録では45秒/5km、日本の高岡選手の場合は95秒/5kmとなっています。ラドクリフも安定していましたが、ゲブレシラシエの安定ぶりが分かります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
図-1 |
図-2 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
最初のラップは3km、次は5kmですが、ここで一旦ペースが上がり、その後ゆっくりペースは落ちています。しかしそれでも4〜5秒/km程度です。そして、中間点ハーフの地点でちょっとペースが落ちます。レースを見ていないのでよく分かりませんが、おそらくペースメーカーがこの辺りで抜け、それでペースが乱れたのでしょうか。これはなんとも分かりませんが。しかし、すぐにペースを取り戻し、さらにその勢いで30〜33kmでは2分53秒/kmの最高ラップを計測しています。その後36kmで3分0秒/km、39kmでまた2分53秒/kmと多少乱れますが、最高ラップ2分53秒/kmの速さでそのままゴールしています。全体的に見ると、安定している中で中間からペースが上がっていると言うことです。これは、日本のマラソン大会でもアフリカの選手が後半かなりのハイペースで他を振り切るという光景をよく見ますが、勝つためには後半のペースダウン防止はもとより、さらにペースアップする力が必要だと言えますね。 改めてアフリカ系の選手の力を感じました。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
|