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ランニング研究:その2 フルマラソンにおけるペースの実証 |
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ハーフマラソン以上の距離を、市民ランナーが走る時の最も大きな課題は、「どのようなペースを想定するか。」ですね。 ベテランランナーの方でも、その日その時の調子に合わせてと言いつつ、実は意外と無計画にイメージだけで走っていることも多いのではないでしょうか。私もそうでした。でも最近は少し計画性を持ってレースに臨みたいと思うようになり、これまでの自分のレースを振り返って、これからのレースをどのように組み立てていくか。ちょっとゲーム感覚でアプローチしています。以下に私の過去のレース結果を分析してみましたので、ご参考までにご覧ください。もちろんこれは練習量豊富なシリアスランナーには多分当てはまらないと思いますし、同レベルのランナーでも個人差もあるかもしれません。私個人のケーススタディとして見て頂きたいと思います。 |
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前 提 |
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私はこれまでにフルマラソンには、計24回出場しました。(2003.04.13現在) 初めて走ったNew York City Marathonは、走りながら本当に感動しました。鳥肌が立つような興奮を覚えています。皆さんも、もし機会があれば、ぜひ参加されることをお薦めします。 私は、レースに参加するようになってから10.5年が経ちましたので、平均2回/年の参加です。フルマラソン100回走る会というグループもレースでよくお見かけしますが、そんな方からみれば、私はまだひよっこみたいなものです。まだ少ない経験からですが、下記にまとめてみました。もちろん、これは第一弾ですので、今後の分析も引き続きフォローして下さい。 私はレースに出た時は、基本的に5km毎のラップタイムを計測しています。ここでは、そのタイムから何かが分からないかと、いろいろ数字をいじくってみましたので、ご参考までにご覧ください!!! |
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サンプル |
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これまでに出たレースのうち、New York City
Marathonは距離がマイル表示でしたのでこれは除き、国内レース20の比較・分析を行いました。出場した国内のレースは下記の通りです。 このうち、自己記録を更新できたレースはレースの組み立てがうまくいったレースであると想定し、その場合の共通事項はないか、それらを抜き出してみました。 国内参加全レース 自己記録更新レース 自己記録更新率 佐倉朝日健康マラソン 6回 佐倉朝日健康マラソン 2回 33% つくばマラソン 6回 つくばマラソン 3回 50% 河口湖日刊スポーツマラソン 1回(例年つくばと開催日が重なっており、一回だけの参加) かすみがうらマラソン 6回 かすみがうらマラソン 3回 50% 東京・荒川市民マラソン 4回 東京・荒川市民マラソン 4回 100% こうしてみると、東京・荒川市民マラソンは走り易いのか、記録更新率が高いですね。データを整理するまで気が付きませんでした。佐倉朝日健康マラソンは最後の坂が厳しいのか、他と比較すると更新率は低いです。 簡単に各マラソンの感想を述べると、 ·
「佐倉朝日健康マラソン」 会場の陸上競技場が丘の上にあるので佐倉駅前の40km手前からが登りとなる。途中のコースは割りと平坦な記憶。35km過ぎからの田んぼのあぜ道は、風もあってつらい。天候の悪いこともよくある。みぞれの中、低温時のレースもあった。 ·
「つくばマラソン」 筑波大学陸上競技場が会場。全般的に平坦なイメージだが、30kmからの並木道が、景色が似ていて変化に乏しく長く感じる。毎回、35km以降に気温の低下を感じる。 ·
「河口湖日刊スポーツマラソン」 年によりコースは変わるようだ。参加者が多くスタートは混むので、早めのスタート地点集合が必要だ。コースにボトルネック部分があり、混雑して歩く事もある。コース全体は湖をぐるぐる回った感じでよく覚えていない。 ·
「かすみがうらマラソン」 4月中旬開催なので、結構暑い年もある。コースは、前半は市街地と田園で意外とアップダウンがあるが、後半は霞ヶ浦湖畔沿いで全く平坦で走りやすい。会場は駅から近くて便利。ゼッケンは事前郵送。記録証は即時発行。 ·
「東京・荒川市民マラソン」 河川敷なので、途中土手に上る以外は平坦なコース。2002年までは15kmで一度折り返し、36kmで2回目を折り返すコースで、丁度30km地点でスタート横を通るので、リタイアするランナーも多かったが、2003年からは21km地点での一回のみの折り返しとなった。制限時間は長い。 |
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下のグラフは5kmごとのラップタイムの変化を表しています。最初の5kmまではスタート時のロス(スタートライン付近に、一般ランナーが着くことはほとんど不可能ですので、最初の5kmはスタートライン通過まで余分に時間がかかりますし、その後の混雑による遅延もあります。)を含んでいますので、このグラフでは最初の5kmまでは対象外とし、5〜10km時(ラップ1)を1.0として、その後の5km毎の、ラップタイムの変化を示しています。ラップ1が5〜10km、ラップ2が10〜15km、ラップ7は35〜40kmを示しています。ラップ8の40km以降は距離2.195kmですが、5kmに換算したタイムで表示しました。 |
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結 果 |
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国内参加全レースの記録 |
左記のうち自己記録更新レースの記録抜粋 |
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考 察 |
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国内参加全レースの中には、35〜40km(ラップ7)がラップ1の1.75倍もかかってしまったレースもありました。このレースは、1996年佐倉朝日健康マラソンでした。ラップ1(5〜10km)を22分55秒で入ったところ、なんとラップ7(35〜40km)は40分12秒もかかってしまいました。この時は35〜40kmは半分ほど歩いてしまいました。トータルの記録は4時間1分17秒でした。 n
自己記録を更新できたレースを見て共通して言えることは、前半と後半のラップタイムの変化が少ないことで、それは一目瞭然です。その差が大きい場合でも、1.38倍、最も差が小さい時は1.12倍でした。平均すると、最初と最後のラップの差は1.21倍です。 n
40km以降は最後のがんばりと言うか、ペースはだいたい上がるパターンが多いのが分かります。特に自己記録を更新できた(組み立てがうまくいった)レースは一つを除いてペースが上がっています。ですから、計画通りに進行したレースでは、40kmまでをとにかく意識すれば、後は問題なさそうです。 n
ペースが落ちなければそれで良いかと言うと、それはそれで、まだ力が余っているのではないかという懸念も沸きますね。私の最近のベスト記録レースでは、最初と最後のペース比が1.16倍でした。この結果も勘案し、私の場合は、当面の間最初と最後のペースの比を1.15倍と設定してみたいと思います。(これは、割といいかげんに設定したのですが、実は他の検討結果からも1.15倍という数字が出てきました。それはまた別の研究でご紹介します。) |
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