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まちを走るシリーズ その3

「神田川」を走る!      (2003.09.13)

 

 

 

神田川沿いを走ってきました。神田川は南こうせつとかぐや姫の歌で全国的に名が知られましたが、この川は都心を東西に横断する、れっきとした東京の一級河川です。地形的には、荒川と多摩川という大河の間に広がる武蔵野台地の中心を流れる都心部最大級の河川です。

まちを流れる川は交通機能など効率優先の整備によって、埋められたり暗渠(蓋をされて地下に潜る川)となったり、排水溝の代わりをさせられたりと、川にとって厳しい状況が続きましたが、昨今環境重視の観点から川の大切さが見直され始めています。奇跡的にも神田川は蓋をされたりなくなったりしてはいませんが、部分的には高速道路の下になっていたり、どぶ川状態となっているところもあり、川にとっては決して良い状況とはいえません。またビルの裏側を流れる部分もあり、都市づくりの観点からは無視されていることも否めません。

そんな神田川の状況、周辺のまちとの関係を走りながら見てきました。

神田川は、東京西部にある井の頭公園内の井の頭池に端を発しています。江戸名所図会には、井の頭池は「池中に清泉湧き出する所七所ありて旱魃(かんばつ)にも涸るる事なし。故に世に七井の池と称ふ」とあり、当時この湧き水を江戸の水源として、神田まで引いて神田上水としていたそうです。なお、井の頭の名は徳川秀忠(二代将軍)がこの池が“江戸の井のかしら”だとして名づけたそうです。おそらく流量が豊富だったのでしょうね。神田川は途中で、神田川水の支流である善福寺川、妙正寺川などと合流し最後に隅田川に流れ込みます。ですから、今回のコースは井の頭池から隅田川までを走ります。

■ 活動日

 

 

2003.09.13(土) 天候:晴れ 気温:34.7

■ 主なコース

 

 

JR吉祥寺駅〜井の頭池(井の頭公園)〜杉並区(三鷹台・久我山・高井戸・浜田山・永福・方南)〜中野区(中野富士見町・中野新橋・東中野)〜新宿区(北新宿・下落合・高田馬場・高田・西早稲田)〜文京区(関口・水道・後楽・本郷・湯島)〜千代田区(秋葉原・神田)〜台東区(浅草橋・柳橋・両国橋)〜隅田川

■ 距離

 

 

26.1km(うろうろした分も含めて地図上計測)

■ 所要時間

 

 

3時間45

■ コース紹介

 

 

今回は東京で生まれ育った中村氏と走る。走りながら場所にまつわる話を聞く。

  井の頭公園

900にJR吉祥寺駅で待ち合わせ、井の頭公園に向かう。公園の真ん中にある井の頭池がスタート地点である。駅から公園までは約5分。途中のコンビニで水を1リットル買い、背中のタンクに入れる。今年は冷夏と言われ8月は涼しかったのに、日本海を北上する台風の影響かどうかは分からないが、ここ23日は猛暑となっている。本日も早朝は曇り空だったが、現在9時過ぎには真夏のような日差しが照りつけている。かなりの水を必要とするかもしれない予感がする。

公園内、池のほとりのベンチで着替える。朝からベンチは結構埋まっていた。

池は湧き水があるというよりも、静かに緑に淀んでいた。

 

  杉並区付近

池から流れに沿ってすぐに遊歩道が続く。ここでは神田川はまだ幅3mほどの小さな川である。公園を過ぎるとすぐ京王電鉄井の頭線三鷹台の駅に出る。ここで川沿いの緑道は一旦切れるが、川を確認しながら住宅街の道を200mほど進むと井の頭線と交差する。すぐに神田川を見つけられるが、それから神田川は緑道を伴い、井の頭線に寄り沿うように少し近づいたり離れたりしながら流れていく。このあたりは静かな住宅街である。住宅地と神田川の間に緑道が作られ、所々に休憩所もあり、快適なランニングコースである。緑が繁り日差しも遮られている。

 

杉並区に入って気がついたが、井の頭公園では緑色に淀んでいた水がここではかなり透明になっている。水草などによる浄化作用だろうか。そして神田川の流れは、見た目はかなり速い。

しかし、神田川はすでにこの辺りから、川の両側はコンクリートで固められている。おそらく底もコンクリートのような気がする。地表面から水面までは深さ34mあり、とても水に親しむ空間とはなっていない。危険なので、川の両岸には鉄製の柵が隅田川に流れ込むまで続いている。そして水面は橋の上に立つとよく見える。緑道からは残念ながら見えない。

実は神田川はかなり蛇行しながら東に進んでいる。自然に地形の低い所を選んで流れるとこうなるのだろう。井の頭池から最初東に流れていたのが、高井戸駅を過ぎるあたりからは、うねりながら永福辺りまで南下する。最南端は中央高速永福料金所の少し北である。明治大学和泉校舎も近い。そこを過ぎると今度はまた、うねりながら北上していく。そして環状七号線を越え、杉並区と別れて中野区に入る。

 

  中野区付近

中野区に入ると、川沿いの緑の量は徐々に減ってくる。杉並区までは川沿いは住宅、学校、グランドなどが続いていたが、ここからは住宅に混じり倉庫、ビルなどが川沿いにも現れるようになる。

弥生町地下鉄丸ノ内線・車両基地の横を過ぎると、善福寺川と合流する。神田川はここまでにも排水路などの水を集めて少しずつ水量が増えていたが、ここで更に大きな川になっていく。神田川は、以前は大雨が降ると氾濫する川であった。そのためか、この辺りでは川の両岸には鉄製の柵のかわりに2mほどのコンクリート製の壁が立ち上がっているので、川面は全く見えない。またこの辺りから、川沿いの緑道はとぎれがちとなる。つまり川から少し離れて走らなくてはならない。中野新橋でまた川沿いの遊歩道を見つける。この新橋は赤い欄干の和風のデザインで、他の神田川の橋とは違う雰囲気をもつ。この辺りは相撲部屋の藤島部屋が近いと相撲に詳しい中村氏が教えてくれる。またこの辺りの神田川では、TVドラマの撮影もよく行われるとか。川に沿って遠くに目をやると新宿の高層群が見える。

そして、ここから両岸のコンクリート壁が少し変わってきた。その表面に石積みのような模様をつけた化粧が施されているのだ。妙に人工的な感じだ。神田川も化粧されて気恥ずかしいみたいだが、無機質のコンクリート丸出しよりは幾分マシかもしれない。少し行くと工事中だったので、この感じで当分改修されていくのか。

 

新宿区付近

そして、山手通りを横切った辺りからまた北上し始める。ここからは神田川の左が中野区、右が新宿区となる。西新宿の辺りである。青梅街道を越え、JR中央線を越えると、川沿いは神田上水公園となり、少し走り易くなる。ここにはトイレなどもある。公園の終わり早稲田通り小滝橋交差点に出る手前で、トイレ休憩。そして通りを渡りさらに北上する。左方向に下水処理場を見ながら、下落合に近づくと川沿いの遊歩道はなくなる。川の方向を確認しながら、東方向に一般道路を道なりに進むと富士短期大学などがあり、再度神田川を一旦渡ると高田馬場栄通りに出る。ここからJR高田馬場駅周辺では、ルートは神田川から少し離れてしまう。本当は川沿いの道があるのかもしれないが、よく分からなかった。おそらく神田川は、駅の北150m辺りを早稲田通りに沿って東に走っているはずだが、川沿いの遊歩道があるかどうかは不明なので、我々は高田馬場駅から明治通りまでは早稲田通りを走ることにする。そして、冷たい水を飲みたくなったので、早稲田通り沿いのドラッグストアで水を購入する。500mlが78円とすごく安い。駅から600mほど走ると明治通りに出る。ここを北へ曲がり、ゆるやかな下り坂を400mほど進むと新目白通りに沿った神田川に再会する。神田川は、高田馬場手前で妙正寺川ともすでに合流しているはずで、見違えるように大きくなっている。川幅は2030mあるような気がする。ここでは流れは大きな音を立てて流れていた。ここからは、また緑道が始まっているので走り易い。

川の南側は西早稲田の付近であるが、都電で唯一残存している荒川線がここを通っている。今となっては、都電は貴重な存在だ。ヨーロッパのまちでは、都心では車を排除してLRTなどというかっこいいデザインの低床の路面電車が走っているが、日本での路面電車の再生は果たして可能だろうか。ところで、ここ西早稲田では超高層マンションが群立している。あの最上階の住戸からはどこまでが望めるのだろうか、などと上を見上げながらマンションの真下を走り過ぎた。

 

  文京区付近

西早稲田を過ぎ、神田川に架かる駒塚橋を北側に渡ると、北側は緑の森となっている。この辺りには江戸川公園、椿山荘などがあり、この緑道は神田川沿いでも最も心地よい場所のひとつと言えるだろう。緑道では、覆い被さるように繁った木々の葉からの木漏れ日が路面を照らしていた。ここには椿山荘のレストランも面していて、別の機会に一度入ってみたいところ。

しかし、心地よい空間もあっという間に過ぎ、江戸川橋に近づくと首都高速が神田川に覆い被さるように近づいてくる。

この高速道路は、後楽園の手前までの区間、神田川の上に覆い被さっている。だからここは川沿いに走れないこともあるが、川が暗く、走るにはつまらない区間である。時計を見るとすでに12時を過ぎている。腹が減ってきたので飯田橋手前でコンビニに寄り、背中の空になったタンクに1リットルの水を補給するのと同時に、アイスクリームを買って食べる。ちょうどお昼時のためか、コンビニ内で弁当を食べている人も見かける。最早コンビニは食堂の役割りもし始めているのか・・・。

神田川は飯田橋からは外堀通りに沿う形となる。ここはJR中央線と並行しているので、よく知られた神田川の姿なのではないか。ここから御茶ノ水駅付近までは歩道が広く走りやすいが、ずっと神田川の脇を走れるという訳ではない。一部水道橋から御茶ノ水のみが川に沿って走れる。それ以外はビルが間に入ってしまう。順天堂、東京医科歯科などを過ぎると、神田川の向こう岸にJR御茶ノ水駅が見えてくる。以前、御茶ノ水駅再生の建築コンペが開かれたが、そのアイデアは未だ実現してはいない。川と緑と駅の景観は東京でも貴重なシチュエーションと言える。神田川の景観資産を生かした駅再生をぜひ実現してもらいたいものだ。

 

千代田区〜台東区〜隅田川

御茶ノ水駅を過ぎ、さらに外堀通りを進むと秋葉原の町に入る。あの独特の過剰な電飾広告のビル群が目に入ってくる。その入口は万世橋だ。歩道に人が増えてくる。さらに秋葉原のガードをくぐると昭和通りにぶつかり、外堀通りはここで終わる。昭和通りを渡り、神田川沿いに走る道はないかと見るが、ここからは川沿いには道はなく、ビルが川に沿って林立している。つまりビルの裏側に神田川があるのだ。ここは神田佐久間町、東神田の辺り。卸問屋風の佇まいが続く。所々の隙間から川に向かう道を覗くと東京湾の屋形船の受付所が見える。

そして河口手前の最後の橋が、柳橋という緑の鉄橋だ。地名も柳橋である。橋の袂に小さな佃煮やさんが店を出している。中村さん曰く「この店は有名なみせなんですよ」ということらしい。今度余裕のあるときにまた来よう。

柳橋に立つとすぐに河口が見えた。井の頭池からは見違えるように大きくなった神田川は、さらに巨大な隅田川にゆったりと吸い込まれていた。河口には直接近づけないので、最寄りの両国橋まで歩いて行き、ここでゴールとした。時計は午後1時半を指していた。延長25kmほどの距離であったが、猛暑のせいか予想以上に疲れた。

なお、河口からはJR浅草橋駅がほど近い。

 

■ 要した水など

 

 

スポーツドリンク            1000ml

ミネラルウォーター        1250ml

お茶                           250ml

アイスクリーム             1

 

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