ランニングから見たまち |
まちを走るシリーズ その5 皇居を走る!
(2004.01.07) |
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東京都心にありながらも、信号で一度も止められずに約5kmを走ることのできる貴重なコースとしてランナー達に人気の高い「皇居周回コース」をご紹介します。ここは、一年を通じて週末になると市民レースが開かれ、特に桜田門を入り内堀通り迄の時計台がある広場は、よくスタート/ゴール地点となってランナーで賑わっています。一周約5kmであることから、この時計台前を中継地点とする駅伝大会も多く見られます。そして、なかにはここを10周する超長距離レース(約50km)も開かれ、ウルトラマラソンが開かれる前はこれが日本で最も長いレースだったと聞いています。ここでランニング大会を開催する場合は、管轄の皇宮警察署と丸の内警察署の両方の許可を得ることが必要ですが、先着順で希望者も多く、特に秋のシーズン中は予定の日時に開催する場合は、朝早くから窓口に待機して申請する必要があるようです。(私自身は申請の経験はありませんが、聞いた話として。) 東京の街は平坦なようでかなり起伏に富んでいます(実際『…坂』の名称の付く通りが多い。)が、皇居周囲も例外ではなく、周回コースにはかなりのアップダウンがあります。このコースは信号で止められることがないのに加え、周回のラップを5kmごとにチェックできるのと、高低の変化があることからランニングの練習には本当にもってこいなのです。 ただし、皇居への観光客、一般ウォーカー達も多いこと、一部歩道幅が狭い箇所もありますので、走行には注意が必要です。 |
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■ コース概要 |
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皇居周回地点図 (緑の部分が皇居、赤のラインが周回コース) |
左の図はコースの概要ですが、@の時計台前をスタートして左回りに一周した時の主な皇居の地点(黄丸)を示しました。そして途中、コースの外側に見える周辺の主要施設(赤丸)も目印としてピックアップしました。 (図中上が北です。) |
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地点 1時計台 2和田倉門 3気象庁前 4乾門(高速入口) 5千鳥が淵角 6半蔵門 7三宅坂 1時計台 |
距離(地図上計測) 0.00 km 0.81 km 1.52 km 2.41 km 3.00 km 3.46 km 3.96 km 4.93 km |
周辺主要施設(目印) A二重橋 B気象庁 C国立近代美術館 Dイギリス大使館 E国立劇場 F最高裁判所 G警視庁 |
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■ 周回距離 |
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4.93km(コースは5km/周と言われていますが、地図上での計測距離は4.93kmでした。) |
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■ アクセス |
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(所要時間は主な駅の出口から時計台前まで) JR東京駅:徒歩約19分 地下鉄有楽町線桜田門駅:徒歩約3分 |
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■ コースの紹介 |
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レースでスタート/ゴール地点のランドマークとして使用されているのが、桜田門〜内堀通り迄の幅約30m×長さ約200mの広場にある時計台です。実は、この時計台の前にランナーが集結するのは、これが単なる目印という理由だけではないようです。私はつい最近それを知ることができました。この時計台正面の台座の石板をよく見ますと、 |
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これが時計台 |
「ランニングを普及することで市民の健康に寄与する」という主旨の文が刻まれています。これは、ランニングのために建てられた時計台だったのです。皇居周回コースにランナーが集うのは単に走り易いだけではなく、積み重なった歴史があったんですね。皇居で走っているランナーの皆さんはご存知でしたか? この広場には端にベンチが並んでいて、よくランナーの荷物が置かれています。そして中央には水洗トイレが整備されていますし、時計台横にも水飲み場や水道の蛇口があります。しかし、当たり前ですがロッカーなどはありませんので、ランニング中の盗難には注意し、ベンチなどに貴重品は置き放しにしてはいけません。また皇居はある面で日本の顔でもあり、海外の観光客もよく通りますので、ゴミなどの散乱にはご注意を!しかし、ランナーのマナーが良いのかレース開催時でもゴミが散乱しているのを見たことはありませんね。 というわけで、皇居周回を始める時によく基点に使用されるのが、時計台です。「じゃ、時計台の前で○○時に。」と、ランナーたちの待ち合わせ場所にもなります。 では、時計台前をスタートして反時計周り(トラックと同じ廻り方)に一周しながらコースを紹介します。 |
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● @時計台前〜A和田倉門へ(L=0.81km) 時計台前をスタートし、桜田門を背にして東へ約100m行くと広場は内堀通りにぶつかり、これを左に折れて周回コースに入り |
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時計台のある広場 幅広の歩道 |
ます。ここから次に見る桜田門の前までは、ぐるりと皇居に沿って歩道を走ることになります。この歩道に入る際に、段差があることと鉄パイプの車止めが立っていますので、(特にレースの時などは)注意が必要です。200mほど行くと左手に二重橋方面へ入る砂利道が広がっています。この二重橋前の地点は、右手方向に皇居外苑や馬場先門があり、観光客が皇居に向かう際によく通るコースです。横断歩道を待つ団体観光客が歩道上によく滞留していますので、ぶつかったりしないように避けて走行することが求められます。なお、二重橋は左方向奥の方にありますが、走っていても見えません。このあたりはいわば皇居の正面のような場所ですので、歩道は6m程の幅がしっかり取られて快適です。左手の植え込みもかなりきれいに手入れされています。東京で空間的スケールが最も大きな場所の一つではないでしょうか。ちなみに皇居の周りの歩道には、日本全国各都道府県+地元千代田区の花の図柄が描かれたプレートが一周にわたって埋め込まれています。いわゆる県花ってやつです。距離表示もあったような気がしますが、0km地点がどこなのか分からないので私はあまり意識していません。 二重橋前を過ぎると次の目印は和田倉門です。和田倉門は東京駅正面から皇居に向かって伸びている行幸通りが皇居にぶつかった地点です。行幸通りではクラシックな儀典用の馬車の練習を見かけること(そう言う私は一度だけですが。)があります。和田倉門は、交番が見えますのですぐに分かります。この交番の窓には、走っている姿が映りますので、ちょっとランニング姿勢のチェックができます。そして、ここでは皇居への車両の出入りがたまにありますので、警察官の誘導がありますが、通る際には注意しましょう。この地点が時計台前から0.81 kmです。このあたり、なぜかしら、歩道上に水が溜まっていることがよくあります。 |
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● A和田倉門〜B気象庁前へ(L=0.71km) 和田倉門を過ぎると、ここから左手に濠が始まります。歩道には柳並木が植えられ、柳の垂れ下がった枝が時々顔を撫でます。並木分だけ歩道がちょっと狭くなりますので、ここからは歩行者へのさらなる注意が求められます。観光客は写真を撮ることや景色をみることに夢中で、思わぬ方向にいきなり動くため予め離れて走った方が安全です。 |
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大手門付近 |
右手方向にはパレスホテルが見えますが、このホテルが丁度1.00kmです。細かいペースチェックが必要な方はここで確認を。そしてパレスホテルを過ぎる辺りに大手門があります。ここは右手方向からの永代通りが皇居(内堀通り)にぶつかる地点ですので、交差点があり、さらに大手門は左奥の皇居東御苑への出入り口ともなっていますので、観光客が歩道上に信号待ちで待っていたりして時々混雑します。加えて大手門前後の歩道はちょっと狭くなっていますのでご注意を。この大手門が1.12km地点です。この大手門手前には左手に花壇があり、春などは目を和ませてくれます。 ここからは右側内堀通りの向こう側には大手町のビジネス街が見えます。反対左側のこの辺りの濠には水鳥が多くいます。大手門から200m程は歩道は若干狭くなりますが、その後また広がり走り易くなっていきます。 |
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そして左方向にカーブし始める地点が気象庁前です。この地点が1.52 kmです。右側の内堀通りの向かい側に気象庁のビルが見えます。ここには地下鉄竹橋駅への出入り口や、小さな公園もあります。神田側からのランナーはここで準備する方もいるようですね。 ● B気象庁前〜C乾門へ(L=0.89km) 気象庁前交差点を大きく左方向にカーブし、250mほど行くと左手に平川門への入口があります。車の出入りはほとんど見たことはありません。歩道は以前は切り下げられていましたが、現在は歩道の段差はなくなりました。走り易く整備されました。皇居でのランニングは国土交通省の公認でもあることが分かりますね。ちょうど右手方向には毎日新聞社のパレスサイドビルディングが見えます。平川門口を過ぎると左手に公園があり、ここでも準備をするランナーが多少見受けられます。この公園の端にも水洗トイレがあります。 |
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竹橋 (大きく見えますがかわいい橋です。ここから登りです。) |
このトイレを過ぎると、左に曲がりながら竹橋という小さな橋を渡ります。ここの地名竹橋はここから取ったのでしょうか。この小さな橋の途中が2.00km地点です。右手方向には国立近代美術館が見えます。ここは当初の建物から大幅に改装され、レストランも人気のようです。隣には公文書館も並び、緑も豊富で心地良い景観を形成している私の好きなポイントの一つです。しかし、この竹橋から皇居周回コースは徐々に登り坂となり、ランナーにとってはきつい箇所が始まります。この緩やかな登りは、千鳥が淵交差点までの約1km区間続きます。ここでは近くの高校生が坂を利用したトレーニングをよくしています。竹橋から300m程に皇居周回で唯一の横断歩道橋がありますが、この手前あたりでここまで続いていた濠が視界から一旦途切れます。この歩道橋が歩道の幅を狭めていますので、この脇を歩行者に注意しながら通り、さらに見える交番の脇を道なりに進むと、首都高速代官町入口が右前方に見えてきます。この地点が乾門です。なお、先程の交番でも窓に走っている姿が映りますので、ここでもランニング姿勢のチェックを!この乾門でも皇 |
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居への車の出入りが時々見られますので、通過の際には車にご注意を!この乾門は時計台前から2.41 kmですので、ここから50mほどが中間地点ということになります。 ● C乾門〜D千鳥が淵角へ(L=0.59km) 乾門から千鳥が淵交差点角までは600m程の緩やかな曲線のコースです。歩道幅は多少狭くはなるものの歩行者の通行量は少ないので、意外に走り易いと思います。しかし、緩やかになったとはいえまだ登り坂は続いており、レースの時などは結構苦しい場 |
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緑が多い |
所と言えます。この区間では濠は見えませんが、その代わりに緑に囲まれた快適な空間です。左の写真の左側の植え込みの皇居との間には空の濠があり、進入防止でしょうか、ごつごつとした岩が地面から突き出ています。途中に小さな交番がありますが、この交番が、乾門〜千鳥が淵角のほぼ中間でしょうか。そして、千鳥が淵角の手前70mくらいからは急に道幅が狭くなり、急な下り坂になります。竹橋から約1km続いた登り坂はここで終わりです。後は最後迄下りのみと言って良いでしょう。この狭い区間は70m程と短いのですが、人、二人分の幅ほどしかないコースの中で最も狭い所です。ここでは、スピードの出し過ぎとすれ違う歩行者への注意が必要です。そして、千鳥が淵交差点の角がちょうど3.00 km地点となります。この角をほぼ90度に左に折れて進みます。 |
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● D千鳥が淵角〜E半蔵門へ(L=0.46km) 千鳥が淵角を左折して半蔵門方面に進みます。半蔵門まではほぼ直線の460m区間。左側には千鳥が淵公園が道に沿って半蔵門まで続きます。この公園は桜が多く、春の花見の時期には歩く場所もないほどシートが敷き詰められます。また、ランナー達が集まる場所にもなっているようです。一見山小屋風の水洗トイレも歩道沿いにあり、使い易くなっています。これは、広くてきれいなトイレで洗顔も可能です。また右手にはイギリス大使館が見え、夜はライトアップしています。この区間では、歩道幅があまり広くない(二人並ぶとすれ違いにくい程度)上に並木のツリーサークルの段差があることや、公園の木の根が地中から歩道路面を持ち上げて凸凹していることなどに注意した方が良いでしょう。また、私はなぜかここで自転車に遭遇することが多い気がします。近くの麹町、番町あたりに住宅が多いせいでしょうか。自転車にも注意しましょう。 千鳥が淵公園が終わると半蔵門に到着です。ここが3.46 kmの地点です。半蔵門は新宿から延びてきた新宿通りが皇居(内堀通り)にぶつかる地点にあり、ここでも皇居内からの車両の出入りが時々ありますので注意しましょう。そして、半蔵門前も千鳥が淵公園への来場者や皇居桜田門方面へのウォーカーなど、歩行者が交差する地点です。 |
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● E半蔵門〜F三宅坂へ(L=0.50km) |
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半蔵門を過ぎて 一気に視界が開ける |
半蔵門を過ぎ左にカーブすると、一気に視界が広がってきます。ここから最高裁判所前の横断歩道がある三宅坂までは、緩やかなカーブを描く下りの500mです。濠がまた始まり、濠の遠方に日比谷のビル群が見える皇居周回コースで最も気持ちの良い景観が望めます。この区間からは歩道幅も広がり下り坂ということもあって、風景を楽しみながら走ることのできる、コース中最高に快適なランニング空間ではないでしょうか。右側の内堀通りは広くなり交通量も増えますが、反対側には国立劇場、最高裁判所などの大きな建築物が続きます。最高裁判所が終わる、三宅坂の横断歩道前が3.96 km地点です。ここで皇居一周迄にあと1kmとなります。この三宅坂でも、最高裁方面の横断歩道を渡る歩行者がいますので注意します。 |
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● F三宅坂〜@時計台前へ(L=0.97km) |
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三宅坂を過ぎると、直ぐに左にカーブしながら歩道幅は若干狭くなり、特に直後の100mほどは下り勾配が一層きつくなります。それまでの坂道の勢いで突っ込みますと危険ですので、要注意です。 その後は緩やかに右/左に曲がりながら走る(左の写真)と地下鉄桜田門駅の出入り口が見えますが、そこからまた歩道は少し広くなってきます。ここから直線300m程の間隔でもう一方の地下鉄駅出入り口がありますが、そこに到着すると、もうそこは桜田門の目の前(下の写真)です。右手内堀通りの反対側には警視庁の建物が見えます。 |
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地下鉄駅出入り口あたり から見た桜田門 |
地下鉄駅出入り口から桜田門までは約150m程で、広場のように広い通路となっていますが、このあたりも観光客の写真スポットの定番地点なので、駅出入り口からの人々や、写真を撮るのに一生懸命の観光客と接触しないように注意します。 そして、桜田門をくぐると直ぐに右に90度曲がり、またもう一つの門をくぐると、スタートした広場に出ます。この二つの門をくぐる際も門幅が通路に比べて狭いので、歩行者に注意します。時計台は、広場右手の中央部に立っていますが、最後の門から時計台までは、200m程でしょうか。この広場は幅が広いので、スピードを出して走ってもなかなか前に進んでいる感じがしません。この時計台前に到着するとようやく皇居一周です。一周で4.93kmでした。 |
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皇居周回コースは歩行者にだけ気をつければ、これまでにご紹介した様々な魅力があって、本当に快適なランニングコースです。東京のランナーは、一度は走られた方が多いと思いますが、東京以外のランナーも、東京に宿泊の際は一度走る機会を作ってみてはいかがでしょうか。 なお、走った後のシャワーなどはありませんが、夏ならば時計台横の水道で顔を洗っても冷たくはないですね。また、神田方面には銭湯があるようです。紹介しているサイトもありますので、(皇居 ランニング 銭湯)などで検索してアクセスしてみてください。 |
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