熊公の独り言 U




◆ 03年 修学旅行 ◆
 昨年修学旅行に引率しましたから、今年は引率はないと思っていましたが、なんと嬉しいことに引率の要員に選ばれました。そこで、7月23日〜26日の3泊4日で、いつものように、高峰高原に行って来ました。
 今年は梅雨明けしておらず、能登半島〜関東の沖の低気圧が居座る感じで、前線が東海から四国・中国地方にのびて停滞しているという最悪の気圧配置での修学旅行でした。

 7月23日(水)
 学校を出発するときはドンヨリとした曇天、バスが群馬県に入る頃雨が降り出し時々本降りの雨になりましたが、いつものように、鎌原の観音堂を見学するときは傘はいらない程度の霧雨に。嬬恋のキャベツ畑の見学では霧と雨・・・。宿舎に到着したときは、小雨状態でした。開校式は宿舎脇の自然観察センターのホールをお借りして・・・。夕刻からは本降りになり、全く宿舎の外に出ることができない状態になってしまいました。


西から低気圧がゆっくり接近中 北高型の気圧配置 天気は下り坂

 
鎌原観音堂                   事前学習の発表会

 夜のプログラムは星の観察でしたが、当然無理で、24日夜に予定していた、『事前学習の発表会』をすることにしました。「天明の浅間やけ」・「利根川、千曲川」・「中山道」・「長野県の産業」・「高山植物」・「星座」・「小諸城趾」・・・等、総合学習で調べた事柄を発表しあいました。
 この発表会はすてきでした。小学6年生が調べたことで、確かに少々曖昧であったり、追求不足があったりはしましたが、修学旅行の目的をお互いに確かめ合うことができるプログラムになりました。9月からは事後学習、この旅行中で知った事柄を更に深めていく作業が待っています。
 引率した職員は24日に行うメインのプログラム『黒斑岳登山』の裏プログラムをどうするか、頭を悩めました。校長は、エンカウンター(スクールカウンセリング)のプロですから、仲間の結びつきを強め、お互いに理解し合うためのエクササイズを準備していただき、万が一24日が雨であった場合に備えました。
 夜中は、かなりの雨足の音を聞きながら床につきました。


◎ 7月24日(木)
 6時に起床です。雨音がない・・・・。早速窓を覗くと、一面の霧ですが雨は降っていませんでした。持参したパソコンで天気図を検索、能登半島沖と関東沖に2つの低気圧があり、高峰周辺はちょうどその間に挟まった状態。二つ玉低気圧の間に挟まると疑似好天が起きることは、以前山を登っていた頃学習しました。ちょうどその状態に有るようです。


二つ玉低気圧に挟まれ疑似好天が期待できそう

 
     霧の中での朝礼                  黒斑岳で浅間山ドームが顔を出す

 朝食後、9時から登山開始ですが、最終的な打ち合わせ、天候が悪化した場合はすぐに引き返すこと、霧に巻かれている場合は子供達の姿が確認できるように間をあけずに登ること、15m間隔で教師が入ることを確認しあい、9時15分に集合を掛けました。雨合羽を忘れていないかを確認して、登山開始。霧の中を登りました。
 今年は梅雨明けが遅れており、涼しい日が続いていますから、山の花々も遅れているようです。1.5週〜2週間くらい遅れている感じで、ハクサンシャクナゲが満開をすぎた感じで、未だつぼみ状態のものもありました。マイヅルソウもいつもは実を見るだけですが今回は花を付けているものも見られました。

 
  ハクサンシャクナゲ                    カモシカの親子(赤の矢印)

 外輪山上に出る『槍ヶ鞘』で、カモシカの親子と思われる二頭を足下に眺めることができました。このころから青空が顔を出すようになり、浅間山ドームが眺められる予感がしてきました。
 この槍ヶ鞘が第一目的地、ここでお弁当を食べ、黒斑岳アタックチームを編成して、登山を開始。まずは『遠見の頭』、更に『黒斑岳』に登りました。この段階では依然浅間山ドームは霧の中でした。黒斑岳山頂で「霧よ晴れよ!!」と、念ずるとその願いは聞き入れられて、霧が切れだし、目の前に雄大な浅間山のドームが姿を現しました。
 子供達は口々に「ワ〜〜〜!! 凄い!! ここまで来て良かった!!」と、叫ぶように話し合っていました。達成感が味わえたと思います。

 
      マイヅルソウ                   キバナノコマノツメ

 
ミヤマウイキョウ                   シロバナノヘビイチゴ

 雨に降られることなく、宿舎に戻る事ができました。山の花々は本当にきれいです。
 ここのところササダニに喰われる子が毎年出ていますが、今回も一人出ました。脇の下に喰い付いていました。昨年病院に行き、対処法をお聞きしましたから、今回は熊公が処置することに、喰い付いて間もなかったこともあり、割合簡単に取ることができました。消毒し、消炎剤を塗ることで終了。捕ったササダニは生かしたまま学校に持ち帰り標本にすることにしました。しかし、残念ながら翌日は死んでしまいました。


ササダニ

 夜のプログラムは昨日できなかった星の観察ですが、あいにくの曇り空、別メニューを考え、『班対抗歌合戦』をすることにしました。
 課題曲は修学旅行のテーマ曲『山のスケッチ』、自由曲は振り付けを考えること。即席に工夫を凝らし、なかなか楽しい歌合戦となりました。
 この歌合戦では男子の班が健闘して、賞に入りました。

 
同点で一位になったチーム
『ともだち賛歌』 ♪一人と一人が腕組めば・・・♪          『数字の歌』 ♪数字の1はな〜に・・・♪

 低気圧の間に挟まった疑似好天の中、本当にラッキーにメインのプログラム『黒斑岳登山』を終了でき、引率職員一同ホッとした1日でした。


◎ 7月25日(金)
 朝一番に窓を見ます。ガスの中でした。続いてインターネットで天気図を検索。今日は関東北部の沖に低気圧があり、前線の北側に位置しています。雨域の西の端に位置している状態です。昨日のような好天にはならないでしょうが、何とか小雨程度でいけるのでは・・・?と、3日目の行動に入りました。


前線の北側、疑似好天は終わっている

 3日目は同好会です。『水の塔山登山』・『高峰山登山』・『周辺散策』の3つのグループに分かれました。熊公は『水の塔山登山』グループです。行動を始めると小雨がぱらつき始めました。少し大粒になってきたのでさてどうしようかと考えましたが、本降りになったら引き返すということにして登山を続けました。途中で雨はあがって、山頂に立つことかできました。
 下山して中腹の腰掛けやすい岩の多い場所、熊公は亀の頭に似た岩があるので『亀岩』と、勝手に名付けている場所の下部でお弁当にしました。
 お弁当を開くとパラパラと少々大粒の雨が降り出し、ここで昨日同様、「参ったな〜〜〜!! 晴れろ〜〜〜!!」と、念ずると、これまた願いが聞き入れられ、すぐに雨はやみました。

 
   霧の中の山頂で                    山頂直下のガレ場を下る

 元気組は高峰山にもチャレンジすることにしていたのですが、この天候ですからあきらめて宿舎に戻りました。
 午後は2時半から、『なぞなぞハイク』という、追跡ハイキングをする予定。担当になっている2人の先生がコースに印と問題を着けに出発した直後から猛烈な雨に・・・・。2人はこの雨でもコースに印と問題を全てセッティングしてずぶ濡れになって戻ってきました。しかし、雨の勢いは衰えず、急遽室内でこれを行うことにしました。本当に2人の先生ご苦労様でした!! 勿論、付けた目印と問題は翌朝取り外しました。

 今年の問題
 理科部門 (各2点)
 @ 夏に見られる星座を5つ書きなさい。
 A 宿舎周辺で見られる高山植物を5つ書きなさい。

 社会科部門 (各4点)
 @ 北アルプスは何山脈ですか?
 A 中央アルプスは何山脈ですか?
 B 南アルプスは何山脈ですか?
 C 北アルプスと中央アルプスの間を流れる川の名前は?
 D 中央アルプスと南アルプスの間を流れる川の名前は?

 算数部門 (各8点)
 @ 1アールは何平方メートル
 A 1と1/6時間は何分
 B 1分間に60m歩く人は1時間に何km何m歩くか
 C 水1立方メートルの重さは何kg
 D イチロー選手は100回打席に立ちました。打率は36%です。ヒットは何本ですか

 国語部門 (各10点)
 @ キキイッパツの「パツ」は、危機一(髪・発)のどっち?
 A ゴリムチュウの「ム」は、五里(霧・夢)中のどっち?
 国語はこの他に、『俳句ィング』と題して、この旅行中の体験を短歌・俳句に書く課題が出されました。これは11月の展示会に発表されます。ササダニが怖かったのでしょう、「高峰山 笹が多くて ササダニが・・・・」という句もありました。

 この正解は女子に軍配が上がりました。パフォーマンス系は男子、学習系は女子が強いという結果が現れました。算数部門の得点の低いチームは、「夏休みに特別補習をしますよ!!」と、脅かすと、男子達は「ウェ〜〜〜!! ご勘弁を!!」でした。
 夜の拡大ミーティングで、昨日の『班対抗歌合戦』と『なぞなぞハイク』の表彰式を行い、この旅行中の感想を述べあいました。
 午前から午後初めに掛けての同好会も雨には降られたものの楽しく行えたこと、本当に感謝です。


◎ 7月26日(土)
 最終日です。起床と同時に外を眺めると雲海が出ています。正面に見える八ヶ岳が大きな島のように眺められました。天気図では依然関東沖に低気圧があり、前線が東海沖に延びています。雨域からは離れたものの、なお空気は不安定のようです。好天の時なら朝食時には雲海がせり上がってきて霧に包まれますが、上空の雲が降りてくる状況。最後のプログラム、『池ノ平散策』で雨が本降りにならないことのみを願いました。


二つ玉低気圧に挟まれ朝は疑似好天であった模様

 
  雲海に浮かぶ八ヶ岳                   雲海を前に気持ち良く朝礼

 9時に『閉校式』、夏休み期間の土日は池ノ平はマイカー規制、シャトルバスの出発に合わせて池ノ平に向かいました。昨年も独り言に書きましたが、池ノ平は銀座のようになってしまいました。人、ひと、ヒト・・・・。ゆっくり花を見る暇もなくなっています。土・日曜日に池ノ平に行くのはやめた方が良いです。
 バスを降りると小雨がぱらつき、雨合羽を着ての散策になりました。いつもは三方ヶ峰へまわりますが、今回はこれをパスしてバスに戻りました。あんまり人が多すぎるので、興ざめです。

 
  クガイソウ                         コマクサ

 池ノ平散策が終われば、あとは学校へ戻るだけ。バスの中ではのんびりと居眠りをしていました。横川S.A.で「おぎのやの釜飯」を積み込み、これを昼食として学校へ戻りました。

 
バスの中でゲームを楽しむ子供達                     解散式で       

 低気圧が関東にへばり付いた状態で良くもほとんど全てのプログラムをこなしたものだと、感心してしまいます。神様に守られた修学旅行だったと思います。
 常に裏メニューを考えながら、天気と睨めっこした修学旅行だったので、なんだか2倍疲れた感じです。でも、やっぱり高峰高原は良いところです。何十回も行っていますが、常に感動があります。
 『閉校式』の時に、宿舎の方が「大自然の中、何もない中で肌に触れたり、見たり、嗅いだりして体験したことを大切にしてください。」と、お話ししてくださいました。全く同感です。東星の職員はいつもそれを感じ、感動しているのだと思います。この感動が子供達にも伝われば良いなと思っています。
 6年生がこの修学旅行を人生の中のキラキラ光る思い出としてくれることを祈りたいと思います。大自然の美しさに感動したこと、仲間と協力しあい生活したこと、まわりの人々に大切にされてプログラムをこなすことができたこと、辛い登りのあとに頂上に立った達成感・・・・、いつまでも忘れないでいてくれたら良いなと思います。

 ※ 天気図は『気象人』さんのホームページ 「気象ダイアリー」からお借りしました。
(2003.07.27.) 






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