熊公の独り言 V




◆ 舘岩紀行 3 ◆
 今年は全国的に雪が多い年ですね、現在兄が赴任している福島県南会津郡舘岩村は尾根を一つ越えれば檜枝岐、雪深いところです。今年はやはり例年以上の積雪があり、特に12月の雪が凄かったようです。正月に兄が雪を見に来ないか・・・、と言ってくれて、自分も見に行きたいですし、職業柄雪国の様子を記録して教材に出来るのではと、土日の休みと休暇(代休)一日を頂き、1月28日〜30日の2泊3日で舘岩の冬を見に行きました。
 今シーズンの雪はとにかく多く、舘岩の80代のご老人もこんな雪を経験したことがないと言っているそうです。積雪を見る尺の所では230cmを指していましたが、実際には8m位は積もったんじゃないかと言う話でした。もう除雪費用が底をついたと話していました。

 1月28日(土)
 東京を9時に出ました。天気は快晴です。道も混雑無く順調でした。佐野SA近くになると男体山など随分大きく見えてきます。矢板を過ぎると塩原や那須の山が見えてきます。この山々に雲がかかっていました。おそらくは雪雲の消えていく部分だと思いました。と言うことは日本の分水嶺を越えた向こう(日本海側)は雪が降っていると言うことです。

 
   山越えをしてきて消えていく雪雲 (矢板付近)         北塩原付近これから越える山には雲が・・・・・

 西那須野・塩原ICで降り、塩原温泉を過ぎると少しずつ雪が増えてくるのが分かりました。これから越える尾頭トンネル方向は雲で覆われています。尾頭トンネルを越えてもまだ栃木県内ですし、日本の分水嶺ではありません。山に入りましたから周りの雪は多くなっていますが、そんなに驚くほどの雪ではありませんでした。

 
 尾頭トンネルを越えた所の雪の様子               山王トンネルを越える直前の雪の様子

 尾頭トンネルを越えて、次の山王トンネルで福島県に入ります。そしてここが日本の分水嶺です。周りの雪は次第に増えていきます。でも、路面は真っ白ではありませんから緊張感はなく走ることが出来ます。
 山王トンネルを越えると路面の雪が増えた感じがしました。周りの雪も随分多くなった感じです。そして、舘岩村に入る中山トンネルに近付いてきました。山に入って来ているのですから、雪はどんどん増えていきます。

 
     中山トンネルの入り口                  トンネルを越ると「雪崩注意」の看板です

 中山トンネルを越えると舘岩村、確実に雪の量は多くなっています。グングン下って行くにつれ、さらに雪の量が多くなっていく感じです。除雪されて出来た道路両側の雪の壁は背丈を超える感じになりました。

 
路面は真っ白になりました                   松戸原の村内唯一の信号

 山を下っていくのに雪が増えていくのは何だか不思議な感じでした。路面は完全に白、道が広くなっているところは『中央線』のマークがないと何処が中央なのか分からなくなってしまいます。チラチラと雪が降っている状況で、天候はどんどん回復している感じです。
 松戸原の信号は雪の重みを減らす為縦型です。ここに村役場がありますから、舘岩村の中心部です。
 いったん湯ノ花温泉の方へ入って、兄から美味しいと言われていた『伊勢屋』さんに蕎麦を食べに行きました。蕎麦は十割蕎麦で、コシがありました。美味かったな〜〜〜!! このお店は他にラーメンなども有ります。カツ丼も美味いと兄から聞いています。
ご主人は気さくな方で、初めて行ったのに色々話をしてくださいました。

 
昼食を食べた『伊勢屋』さん 十蕎麦美味かったです       伊勢屋さんのご主人 兄の知り合いでもあります

 蕎麦を食べて兄の待つ木賊地区へ向かいます。
 昼食をとっている間に天気は随分良くなり、青空がでてきました。松戸原の信号に戻る途中、舘岩小学校がありますが屋上の雪を機械で吹っ飛ばしているのを見ることが出来ました。

 
           屋上の除雪                   地吹雪 ○○原と付くところは風が強いとか・・・


 道路の両側は壁になっていて、路面も真っ白、強い風で地吹雪が起こると全部真っ白になってしまいます。兄の話ではこの辺りで○○原と付くところは風が強いと言うことでした。松戸原は原が付いているのだから風が通る場所なのでしょうか・・・
 西根川に沿って上り出すと雪はますます増えました。

 
木賊地区の雪の様子  雪の壁は2m以上の高さです

   
兄貴と所内の危険個所の見回りをしました   これが崩れたらあの世行きです

 2時に兄の官舎に到着しました。兄は午後から年休を取ってくれていて、外で待っていてくれました。荷物を運び込み、お茶を飲んでから所に行きました。年休を取っているのに見回りを手伝ってくれと言われ、カンジキを履いて所内をぐるりと1周することになりました。およそ1kmのコース、カンジキ履いても膝まで潜る感じ、良い運動になりました。屋根の雪がずり落ちそうな場所が随所にありました。こんなの落ちてきたら確実にあの世行きです。
 男子浴場の屋根からずり出てきている雪が落ちたら浴場のガラスを確実に割ってしまうだろうと言うことで、翌日にコンパネを外に張り巡らす準備をする手配をしていました。

 見回りをし終えて汗をかきましたから大浴場に温泉を浴びに行きました。温泉の掛け流し、極楽気分です。
 温泉から出て、イワナの『福本屋』さんに、イワナの刺身と山椒味噌焼き、骨酒用のイワナを受け取りに行きました。戻ってきて宴会の準備です。
 一人暮らしの兄貴は鍋なんかしないだろうと、土鍋に卓上コンロ、豚シャブ用の素材を準備していきました。

 
夕食はご馳走を食べながら二人で語り合いました イワナ酒美味かったな〜〜〜!!

 兄は29日は仕事です。僕は29日の午前中に引き上げようと思っていたのですが、兄はどうしてももう一泊してくれ・・・!!と、寂しさをもろに伝えます。確かに雪に埋まって生活しているのですから、人恋しくなるのだと思います。もう一泊することになりました。

 1月29日(日) 
 6時起床、兄は7時45分に所に行きました。熊公は留守番です。午前中はパソコンで仕事をしました。昼飯を食べてから持っていったテレマークスキーを履き、官舎南側の台地に登って、斜面を滑って遊ぶ事にしました。

 裏に回ると新しい動物の足跡がありました。カモシカのようです。昨日の昼までは雪が降っていたわけで、足跡には雪が積もっていませんから、昨晩の足跡のようです。寝ている所の10m位の所をカモシカが歩いているわけです。

 
 カモシカの足跡                   一階が埋まってしまっている官舎

 
  二階から出入りできそうです                深雪にシュプールを付けて遊びました

 短い斜面ですが深雪の斜面、木の間を滑ったりして楽しみました。一時間半くらいで疲れましたから官舎に戻り、お留守番を続けました。
 5時半頃兄は帰ってきました。まずは所の風呂を浴びに行きました。今日は団体が2校入っていますから大浴場へは行かず、職員用の風呂(これまた温泉掛け流しです)に入りました。

 その後、今日もまたイワナの福本屋さんに骨酒用のイワナを買いに行きました。「まずあがりなさい、お茶を飲んでいきなんしょ」と誘われてお言葉に甘えて上がり込み、しばらくお話をしました。
 話はこの冬の雪の多さのこと、そして春を待ちわびている事柄でした。雪国の人達の心の中が見えたような気がしました。ビールを出してくださり、沢庵や炒め物を頂き、骨酒のイワナの頭代のお金を取っていただけませんでした。参ったな・・・・。本当によくして下さる方々です。感謝です。

 福本屋さんの後は酒を買いに行きました。既にお店は閉まっていますが、わざわざ開けてくださいました。必要なものを購入して官舎に戻りました。
 今日もまたオヤジ様の思い出話や趣味の話など楽しい時を過ごしました。
 深夜、星を見に外に出ました。満天の星、天の河を見ることが出来ました。寒気がピリッと実を引き締めてくれました。酔いも有りましたから、兄の官舎の前の雪よけに積もった雪をどける作業をしました。夜中の作業でしたが何だかイタズラをしているようで楽しくなりました。これでしばらくは大丈夫でしょう・・・。

 
3年ものイワナの頭 これで一升酒が飲めちゃいます どんなに飲んでも二日酔いしないのが不思議です・・・


深夜の雪かき

 1月30日(月)
 今日は代休を貰ってあります。兄も今日はお休み、一日ポコッと入る休みを『ポコ休』と呼んでいるようです。そのポコ休の日です。8時まで布団の中に入っていました。起床してから昨晩の後片付けをして、帰宅準備です。別れるのは辛いですね・・・。永遠の別れではないのに、後髪引かれる思いを受けます。
 11時官舎を後にしました。兄も昼飯を食べに行くと車で同道してくれました。今日も『伊勢屋』さんの蕎麦を食べに行きました。美味い蕎麦です。蕎麦を食べた後、いよいよお別れ、握手をしてお互いの健康を祈り別れました。

 
雪の壁の中 迷路の中を運転している感じです                 伊勢屋さんの『もり蕎麦』       ・

 松戸原の信号機の所で別れました。右と左に分かれます。お互いミラーに見えなくなるまで手を振り合いました。何だかジーンとしてしまいました。兄が体をこわさずに元気に頑張ってくれることを祈りました。
 帰路は往路の反対です。今日は気温が高く、雪どけがかなりすすみました。中山トンネルまでは、来るときは真っ白な雪道だったところに所々舗装面が出ているところがありました。塩原温泉には殆ど雪はない状態でした。雪深い地域とそうではない地域、そのギャップの大きさを感じました。
(2006.01.30.)






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