熊公の独り言 V




◆ 義父の死 ◆
 2014年10月6日(月)、午前4時47分(死亡確認時刻)お世話になった、そして、大好きな義父が天国へ旅立ちました。

 今年、2014年3月11日(火)午前11時頃でしたか、職場に義父が危篤という連絡が入りました。すぐに妻と連絡を取り、まずは妻が駆けつけられるようにして、私も万一のことを考え、補教案などを準備して駆けつけました。

 義父は血圧の薬をもらうため行きつけの病院に行くためにバスを待っていたそうです。その時、背中からバットで殴りつけられるような痛みが起きたと言うことでした。バスが来たのでそれに乗って病院に、そこで先生にそのことを話すとすぐに診察、救急車で大病院へ運ぶことになったそうです。
 病院に駆けつけ、ICUの義父の所へ行くと、「息苦しいが大丈夫だ!!」と、酸素マスク越しに話してくれました。

 妻、義妹、そして義母の4人で病状の説明を受けました。病名は『解離性大動脈瘤破裂』です。よく即死状態にならなかったものです。血管造影の写真などを見せられ、奇跡的に破裂個所を血腫のようなものが塞ぎ、大出血を免れたと言うことでした。しかし、数分後にこの血栓が抜けてしまい、そのまま天国に行くかもしれないし、数ヶ月、数年とこのまま維持するかもしれないと話されました。

 手術の選択肢は二つ、1つは胸部を切開して、大動脈の患部を切除してつなぎ直す手術。もう一つは鼠蹊部からカテーテルを挿入して患部にこれ以上大きくならないようにネット状のものを取り付ける手術です。しかし、残念ながらこの二つとも施術できない状態ということでした。
 年齢が88才、胸部切開手術の成功率は普通でも5分5分位ということ、年齢的なものを加味して考えると、かかる費用とのバランスが悪すぎてしまいます。カテーテル手術の場合は血管造影剤を使っての施術、この血管造影剤は腎臓に負担を掛けると言うことでした。入院してすぐ使い患部の確認をしましたが、腎臓の機能が衰えてきているので、大量に使用することは、腎臓透析が必要になる可能性が有り、88才という高齢ではそれは現実的に無理があるということでした。
 このまま、大動脈瘤という爆弾を抱えて生活していくことになりました。

 義父は奇跡的な回復を見せて、4月8日に退院することが出来ました。しかし、5月1日血圧が上がりすぎていると言うことで再入院となってしまいました。動脈瘤にとって血圧の上昇は風扇を膨らませるようなものです。
 それから3ヶ月、急性期の病院から8月5日に我が家の近くの慢性期の病院に転院しました。それから2ヶ月、10月6日に帰天する事に。亡くなる1週間位前からは、とても顔色が良くなってきて、「退院したらみんなで集まろう・・・」と、前向きに療養していたのですが・・・。

 熊公は不思議な能力?が与えられているようで、極近い親戚が亡くなる2〜3週間前に歯の抜ける夢を見ます。今まで相当の確率で当たっています。本当に嫌になってしまうのですが、実父の時は自分の大臼歯が痛くもなくズボッと抜ける夢を見ました。それも2回続けて。その時思ったのは岩手の100才近い祖母のことでした。それから車の燃料は常に満タンにして、夜中にでも飛んでいけるようにしていましたら、実父の急逝でした・・・。その他にも血縁が遠い場合は門歯側に、血縁が濃い場合は臼歯側にと言った具合に夢を見てきました。本当に嫌な力をもらってしまったと思っています。
 3月の時には何も見ていませんでした。ですから、妻には「大丈夫!!」と、はっきりと言ってきました。8月の旅行の時も、夢を見ていないから大丈夫と妻を安心させて紀伊半島を一周してきました。ところが、2週間ほど前(9月の半ば)です。《妻が、歯がなんか変なの見てと言われ、この歯か?と触るとズボッと大臼歯が抜ける》 夢を見たのです。家系が別の妻の家族の時はこんな風に妻の歯が抜けるのかと知った、初めての夢の形でした。この日は妻が起きた時に、この夢ことを伝えました。お父さんは近いうちに天国行くことになるから心の準備をして置いて!! と、話し、職場の同僚にも近々迷惑を掛けることになると思うから宜しくと話していました。

 6日は台風18号が関東地方に接近してきていました。前々日の4日の内に職場の休校が決まる位の大型の猛烈な台風です。台風の進路に前線があったため、前日の朝から雨が降っていて、6日になった頃から風雨が強くなってきていました。
 6日の朝4時10分、妻の携帯が鳴りました。この時、「あっ、お父さんだ・・・」と、思いました。案の定、病院からの電話、容態が急変、すぐ来てくださいと言うことでした。すぐに準備して、妻と私、私の長男の3人で病院に急行しました。丁度台風18号が浜松に上陸した頃合いだと思います。風雨が強くなり出していました。傘だけでなく、カッパを着て病院に急ぎました。
 4時30分頃、病室に着くとモニターが、心拍数「0」、心電図は平らになっていました。当直医が来て、死亡確認、4時47分が書類上の死亡時刻となりました。死に顔はまったく苦しんだ様子はありませんでした。ただ残念なのは親族が誰も立ち会っていないところで旅立ってしまったこと・・・。

 看護師が様子を話してくれました。3時40分におむつの交換に入った時、義父は「今日は眠れないんだよな〜〜」と話し、テレビを見ていたそうです。痛いところや苦しいところを訴えることなく、至って元気だったということです。4時に血圧を測りに行ったところ、顔色が悪くなっていて、モニターを取り付けたところ、既に心拍数「0」になっていたと言うことです。おそらくは本当の死亡時刻は1時間前の3時47分頃でしょうか。

 台風の接近で気圧が下がってきたことが一つの引き金になったのでしょう、大動脈瘤の一度破裂し、血腫のようなもので塞がれていた患部が再破裂したようです。実際の死因は解剖してみなければ分からないわけですが、死亡診断書を書いて下さった主治医の先生は「これまでの経過から判断して大動脈瘤が再破裂したのでしょう。」と話されました。確かにそうだと思います。心臓から出たばかりの大動脈、下降している側に患部があったのですが、これが破裂したわけですね。脳に血液が廻らなくなるわけですから、1分位で意識はなくなり、即死状態だったと思います。下降する側の大動脈瘤の場合、相当の痛みがあるそうですが、3月に一度破裂した所が再破裂したわけですから、痛みは無かったんだと思います。本当に寝ているような安らかな顔でした。

 自分の実父が天国へ旅立ったのが22年前、勿論、結婚が決まった時から優しいお父さんで、飲み友達のような存在でしたが、実父の帰天後はより近く実父のように感じていました。涙が止まらなくなる位、義父のことを思うと悲しくなります。

 通夜・告別式の時に囲碁のお友達とかが参列くださり、その時に、「あなたなんですね、娘さんの旦那さんは、いつも話される時 息子が・・・、と言っていましたよ、本当の息子のように思っていたんですよ。」と言う話を聞き、また涙が止まらなくなってしまいました。
 孫を可愛がり、将来を期待して、それをエネルギーにして生活していた義父、遊びに行くと「一杯やろう・・・」と、日本酒をよく飲みました。どこか旅に出た時には地酒を土産にするのが常でした。
 この夏休み、紀伊半島を旅行しましたが、地酒が沢山有るものの、飲むことが出来ない義父のことを考えると、自分用の土産に地酒を買って帰る気持ちにはならず、本当に珍しく酒のお土産は無しでした。それくらい、いつも心の中に存在する方でした。これは実父以上かもしれません。ですから、心の中にでっかいでっかい穴が開いてしまった感じで居ます。

 イワナ酒を楽しみに、2人で福島県 南会津の舘岩に旅をしたことがありました。大洗にアンコウ鍋を食べに行ったこともありました。良い思い出です。お父さんとの思い出はみんな楽しくお酒を飲んだ思い出と重なります。優しいお父さんでした。

 通夜・告別は親戚と本当に近い友達のみで、密葬の形で行いましたが、とても暖かみのある、親しい人が沢山集まるのが好きだったお父さんの、大好きな雰囲気の感じで行うことが出来ました。もう、話す事は出来ませんが、いつも側で見守っていてくれる感じがしています。天国で実父と孫達の成長のことをつまみにして、楽しく語らっていることでしょう。

 

 最後に通夜・告別のミサで朗読された聖書の個所を掲載しておきます。生かされている自分をしかりと感じ、先に逝った方々の事を考えるのには丁度良い個所のように思えます。

通夜ミサの聖書朗読個所
    知恵の書 11章23節〜26節

全能のゆえに、あなたはすべての人を憐れみ、回
心させようとして、人々の罪を見過ごされる。
あなたは存在するものすべてを愛し、
お造りになったものを何一つ嫌われない。
憎んでおられるのなら、造られなかったはずだ。
あなたがお望みにならないのに存続し、
あなたが呼び出されないのに存在するものが
   果たしてあるだろうか。
命を愛される主よ、すべてはあなたのもの、
   あなたはすべてをいとおしまれる。
    マタイによる福音 11章25節〜30節

 そのとき、イエスはこう言われた。「天地の主であ
る父よ、あなたをほめたたえます。これらのことを
知恵ある者や賢い者には隠して、幼子のような者
にお示しになりました。そうです、父よ、これは御心
に適うことでした。すべてのことは、父からわたしに
任せられています。父のほかに子を知る者はなく、
子と、子が示そうと思う者のほかには、父を知る者
はいません。疲れた者、重荷を負う者は、だれでも
わたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。わたし
は柔和で謙遜な者だから、わたしの軛を負い、わ
たしに学びなさい。そうすれば、あなたがたは安ら
ぎを得られる。わたしの軛は負いやすく、わたしの
荷は軽いからである。」

告別ミサの聖書朗読個所
   イザヤ書 55章8節〜11節

わたしの思いは、あなたたちの思いと異なり
わたしの道はあなたたちの道と異なると
  主は言われる。
天が地を高く超えているように
わたしの道は、あなたたちの道を
わたしの思いは
  あなたたちの思いを、高く超えている。
雨も雪も、ひとたび天から降れば
むなしく天に戻ることはない。
それは大地を潤し、芽を出させ、生い茂らせ
種蒔く人には種を与え
食べる人には糧を与える。
そのように、わたしの口から出るわたしの言葉も
  むなしくは、わたしのもとに戻らない。
それはわたしの望むことを成し遂げ
わたしが与えた使命を必ず果たす。
    ヨハネによる福音 14章1節〜6節

 「心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、わた
しをも信じなさい。わたしの父の家には住む所がた
くさんある。もしなければ、あなたがたのために場
所を用意しに行くと言ったであろうか。行ってあな
たがたのために場所を用意したら、戻って来て、あ
なたがたをわたしのもとに迎える。こうして、わたし
のいる所に、あなたがたもいることになる。わたし
がどこへ行くのか、その道をあなたがたは知ってい
る。」トマスが言った。「主よ、どこへ 行かれるの
か、わたしたちには分かりません。どうして、その
道を知ることができるでしょうか。」イエスは言われ
た。「わたしは道であり、真理であり、命である。わ
たしを通らなければ、だれも父のもとに行くことが
できない。

(2014.10.11.)






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