メキシコ旅行記  Vol.2
      
(2003年11月、日本ラテンアメリカ文化交流協会雑誌「オーラ!アミーゴス」
            に掲載された文章です。ノーカット版でご覧ください。)

フェスティバルまで
 私が出演するのは2日後に開かれる「国際音楽フェスティバル」。日本からは名古屋在住で、日本琴奏者の浅井大美子(たみこ)さんとお弟子さんの辻利恵子さん、和太鼓の吉村城太郎(じょうたろう)さん、そして歌のマリキータ(昨年12月に他界された帆足まりこさん)さんが一緒でした。

到着翌日、さっそくお琴と一緒にできる曲はないか、と曲を考えました。結局「赤とんぼ」「浜辺の歌」「シェリトリンド」に決まり、合わせてみるのですが、日本の曲とアルパの曲とはキーが違うので、いきなり演奏する「調」に私はとまどい、最悪の事態。普段、赤い弦を「ド」として弾いていたのですが、それを「ファ」の位置から「ド」と考えなければならず、ああ、どうしよう・・・。時差ボケや旅の疲れ、不安、ストレスから胃が痛くなってきて、その日はお昼も食べられず、寝こんでしまいました。しかし、少し眠ると、何かが吹っ切れたのか、「こんな遠いところまで来て泣きごと言っている場合じゃないわ。最高の舞台を作ろう!」と、なんとか立ち直り、再び自主練習開始!

ある程度この調での演奏にもなれ、なんとなくアレンジも出来上がってきたのですが、自信なんてまったくないまま夜の合同練習に突入しました。浅井さん、吉村さんと合わせた後、「そうよ!そういうのをやってほしかったのよ。良い感じに出来たわ。」と言ってもらえた瞬間、今までの心身にのしかかる重圧感がすーっと飛んでいき、涙がこみ上げてきました。違う楽器と合わせる難しさを改めて痛感しました。

街中にある国際音楽祭宣伝の旗
初めて食べるメキシコ料理(アルベルト家にて)

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