7月20日 グリーンウェアの磨き
Petite Bru Diary

一見優雅に見えるビスクドール製作ですが、リボンやレースを扱うのは最終段階で
第一段階の型抜きは、肉体労働ともいえる地味な作業です。
重いモールド(石膏型)やポーセリンスリップ(焼成前の液体粘土)のボトルを抱えて
ウロウロしなければならないし、手も床も道具類も粘土でドロドロ。
ゴムがはじけて、頭から粘土のしぶきをあびたりもします。
モールドや型抜き後の柔らかいヘッドやボディを傷つけるので、爪も伸ばせません。

型によっては一日に一個しか抜けないものもありますが、このブリュの型は
とても素直な良い子で、一日に10個も抜けました。
手に比べてヘッドは失敗率が高いので、いつも多めに型抜きしておきます。

モールドへ粘土を流し込んでから流し出すまでの時間は、マニュアルはないし
モールドの形や大きさ、粘土の濃度、その日の天気や湿度などによって
微妙に違ってくるので、今までの経験と感とで判断するしかありません。
また、小さいモールドで細部にまで粘土が行きわたらない時は、粘土の濃度を薄くします。

その後、大きさによって2日〜1週間位かけて乾かします。
すっかり乾くと、水分が抜けてとても軽くなり、色も灰色から白に変わりますが
とても割れやすいので、取り扱いは要注意!

焼成前のこの段階のものを、色は白いのにグリーンウェアといいます。
(辞書をひいたら、greenには、顔が青白いという意味もありました。
 焼成前の青白くて、顔色が悪いヘッドっていう意味なのかなーーー? (^_^;) )

ふぅ〜〜〜、やっと第一段階の終了です

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↑Petite Bruのモールド

↑ポーセリンスリップのボトル

←ブリュのグリーンウェア

型抜きして乾かしたグリーンウェアの余分な部分や、モールドの合わせ目から
はみ出したバリを取って、表面をきれいに磨いていきます。
低温で焼成して水に浸しながら行うウェットクリーニングという方法は、ダストが
出なくてよいのですが、ミニチュアビスクドールや小さい人形のアイカットは、この方法では
ディテールがうまく出せない気がして、私はもっぱら、昔ながらのこの方法で磨いています。
とても脆く、心もとなく感じる作業ですが、手を抜くと後で後悔することになるので
なるべく丁寧に、ゆっくりと行います。

また、グラスアイを入れる人形のアイカットはとても難しい作業。
アンティークドールから取られたモールドは、たれ目やつり目になっていることもあるので
目尻、目頭が水平になるように調整しながら開けていきます。
そのせいか、芸能人の写真などを見ると、ついその人のアイカットをチェックするくせが
ついてしまいました。
 「うわぁ〜〜、あややのアイカットはすごいぞ!すんごいつり目〜〜〜」とか...。  職業病ですネ...。
ビスクファイアリング後は、14〜16%縮むので、アイカットは少し大きめにあけておきます。

フランスの人形には、ピアス用の穴を忘れずにあけておきます。
最後に首の後ろに、作者名と日付を彫りつけます。これは本物のアンティークと区別するための
ビスクドール製作でのお約束です。

次に行うビスクファイアリングは、1日がかりの大作業で、窯にはなるべくたくさん入れて1度に
焼いてしまいたいので、いろんな人形と同時進行します。
これから何日間かは毎日、磨いて、磨いて、磨いて〜〜の日々が続きます。 ヾ (^-^;;;;;;)

↑磨き前と磨き後のグリーンウェア

↑ビスクファイアリング前と後(着色済み)のヘッド

8月26日  ビスクファイアリング(本焼き)

6〜8時間かけて、1200℃〜1230℃まで焼き上げます。
これでやっとポーセリンといえる硬さになり、ほっとします。
焼成中に縮むので、棚板にひっかかって変形しないように
ハイドロアルミナという粉を
しいてからグリーンウェアを並べます。
朝9時に窯に入れたので、焼き上がりは夕方5時位。
冷ますのにも時間がかかるので、蓋を開けるのは明日の朝。
きゅっと焼き締まったたくさんのお顔に明日会えると思うととても楽しみです。(^_^)v

9月8日 オーバーオールウォッシュ

再び表面をよく磨いて、細部までざらつきをとってから、表面に薄く肌色を付け
低温(700度弱位)で2〜3時間焼成します。

この時の色の付け方は、薄く均一に色を塗るのではなく、スポンジで絵の具を厚めにのせて
刷毛でそれをのばしながらぼかしていくことで、ムラなくきれいに肌色がつきます。
焼成前は赤みが強く感じますが、赤系統は焼くと色がとぶので焼成後は少し白っぽくなり
落ち着いた色になります。
また、フランスの人形に比べて、ドイツの人形は、やや赤みの強い肌色を付けます。

表裏があるボディなどはキャディに立てるので高さが出てしまい、今回は2回に分けて
焼成しました。
               ↓

2005年7月8日 型抜き

9月23日 チャイナペイントファイアリング (絵付け焼成)

1回目の絵付け焼成は、睫毛を描いて、眉毛の下描き、鼻腔、唇、頬紅などを
薄く色付けします。

睫毛は1本1本、同じ濃さ、太さ、長さに見えるように描きますが、凹凸があるところに
放射線状に描くので、正面から見たときにきれいにそろうように描くのは
とても難しい作業。筆を持つ手を支えるのは小指1本です。
眉毛の下描きは、本描きのときに位置の目安にするものを1ストロークで描いてぼかしておきます。
ビスクの腕には、赤でうっすらと、爪のラインを描きます。

700℃〜850℃まで、2時間半〜4時間かけて焼成します。
赤系の色は、焼くと少し薄くなりますが、これから色をのせては何度も焼くので
ごく薄くぼかしておきます。

10月3日 チャイナペイントファイアリング (絵付け焼成) 2回目

睫毛の太さや長さ、濃さを均一に調整しながら描き足して、アイラインを入れます。

眉毛は今度は1本1本、ブリュの場合向かって右の眉は平らに重なるように
左は目頭に行くほど立つように描いていきます。
だんだんブリュのお顔になってきました。

唇は中央に濃く赤を入れ、それを外側にぼかしておきます。

ノーズドットを入れて、頬紅をまた少し足して、1回目と同じように焼成します。

チャイナペイント1回目焼成後

2回目焼成後

10月6、7日 チャイナペイントファイアリング (絵付け焼成) 3、4回目

3回目焼成後

4回目焼成後

眉毛、唇にまた少し色をのせてから、唇のアクセントライン、アイドットを入れます。
最短で3回の焼成で終わりですが、もう少し色に深みがほしくて
今回は4回焼成しました。

ヘッドにペーパーウェイトグラスアイを入れて石膏で固定し、ボディに取り付けます。
ウッドボールを通したSフックを首のソケット部分から出して、両足をつないだゴムを
引っ張り上げるような感じで取り付けます。
腕は今回はビスクにするので、1回ゴムを切って外して、ビスクに取り替え
ボディを通して右と左の腕どうしを結びます。

やっと人形の形になりました。
グラスアイがぴったりフィットして、じっとこちらを見てくれた時は大感激!
ウィッグをつけると、もっともっとかわいくなります。

ブリュは端正で気高くて憂いがあって...。
そして、かわいい〜〜〜!!!q(≧∇≦*)(*≧∇≦)p

かわいいお洋服作るから、待っててネ!

10月10日 組み立て

〜ビスクドールができるまで〜