卒業生の皆さま
ここで、最初のテーマに戻ります。卒業生の皆さまはお元気に過ごされていますか。
仕事はどうですか。順調にいっていますか。それとも、すでにリタイアしているのですか。・・・
また、病気などに悩まされていませんか。毎日、健康に心がけていますか。・・・
私が学んだのは長い学校の歴史からはみればほんのひと時です。学校のことを詳しく知っているわけでもありません。私の知る限りですが、上級生にはエネルギーにあふれて輝いて見えるような人が多数いました。私が真似をしたくてもできないような人が多かったのです。話しかけてみたいと思いましたができませんでした。
・・・・・・・
私が学校に入学したばかりの時に、数人の卒業生たちが学校を訪ねてきました。
その卒業生たちは職員室の方に向かっていきました。数人で談笑しながら廊下を歩いていく姿が見えました。みなスーツ姿で社会人のように見えました。笑顔が快活そうに映りました。その輝くような表情をみてとてもうらやましい気持ちがしたものです。みな、自信にあふれた表情をしていたのです。この卒業生たちなら先生がたと対等のように思えました。
ところで、私はどうでしょう。
そのときは英語のリーダーも満足に読めませんでした。
英文法も分かりません。主語と述語、現在進行形と現在完了形、be動詞や不定詞、なぜ、このような規則があるのですか。ほかに、仮定法とか、受動態とか。
なぜ、英語はこんなに規則ずくめなのだろう。
数学の問題を開きます。ほとんど解けません。まず、問題の意味がとれません。数学の上級問題など、私にはまったく別世界のように思えました。
幾何はどうでしょう。図形を見ているだけで目がくらんでしまいそうでした。証明問題など、その言葉だけでしり込みしてしまいました。問題を解こうとすると考えることを拒む力が働きました。集中力がつづきません。
学ぶ科目も多く勉強はあまり分かりませんでした。
あの卒業生たちのように、私は卒業できるのかと不安な気持ちに駈られました。
卒業したいのですができるでしょうか。勉強も分かるようになりたいのですが、そうなるでしょうか。難しい問題も解けるようになるでしょうか。私には無理ではないか・・・どうしても不安の方が勝ってしまいました。
もし私が、このような質問を受けたとします。
「あなたは定時制の学校生活から何を学びましたか。そして、学んだことが現在の自分にどう繋がっていると思いますか」
このような問いに、私は答えようがありません。私は、あの卒業生たちの自信にあふれた様子が目に焼きついてしまっていて、その姿を思い浮かべて机に向かっていたのですから。・・・ (2008.11.7)
両国高校定時制