アルバム
都立両国高校定時制
思い出(古文:HO先生、万葉集)
あふみの海 夕浪千鳥 汝(な)が鳴けば 心もしのに いにしへ思ほゆ
さざなみの 志賀の辛崎 幸くあれど 大宮人の 船待ちかねつ
これらの和歌は三年のときだったと思うが、古文の授業でHO先生から教わりました。説明を聞きながら心にひびく和歌だと思いました。この和歌は有名なので教科書や参考書にもよく載っているものです。先生は説明するときにこれらの和歌を黒板に書きます。
その黒板の文字は驚いてしまうくらいきれいなものでした。先生が説明すると、どんな作品でもいっそう輝いて生徒の心に届きました。まるで、教室が万葉の世界に変わってしまうかのようでした。生徒は先生の説明に聞き入ります。先生の声だけが教室に響きます。今考えてもとても大切な時間だったと思います。
先生の授業はとても優れたものでした。先生の説明を聞いているとそのことははっきりと分かりました。私たち生徒にもはっきりと伝わってきました。
その頃ですが、いまと違って複写機などはなくて、印刷はガリ版印刷が用いられていました。ガリ版印刷とは、油性の用紙を用いて、小さな凹凸がついた鉄板の上で、鉄の鉛筆で文字をなぞって印刷機にかけるものでした。硬い鉄板の上に文字をつづるので、うまく文字がかけなくて、書体は角ばったものになってしまいました。学校の試験問題の印刷にもこれが用いられていました。
でも、先生のテスト問題のプリントの文字は流れるような文字だったのです。なんて綺麗な文字なのかと思ってしまいました。(2008.5.11)