アルバム

両国高校定時制

都立両国高校定時制
思い出(保健体育:I先生)

私たちは4年に進級して卒業が間近に迫ってきました。4年ともなると、後ろから何かが迫ってくるような落ち着かない気持ちになりました。
これで私もやっと卒業できると思うと夢のような気持ちでした。普通よりかなり遅れて定時制の扉をたたいた私には、卒業は待ち望んでいたものでした。
クラスメートは、進学の準備に追われたり、新たな職業を考えたりしていたはずでした。
いつものように変わりなく行われている授業もなんとなく気ぜわしく感じられました。
一人ひとりが、これから自分が進む道の選択を迫られていました。担任のY先生に進学に必要な書類をお願いする人や進路の相談をする生徒もいたはずでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
体育はI先生から教わりました。I先生は両国定時制に長く勤めていた先生でした。I先生は背が高く威厳が感じられる先生でした。
先生からは、柔道やバスケットボールなどを教わりました。その日の授業は校庭でのソフトボールでした。クラスが2チームに分かれて試合が行われました。試合は順調に進み私はライト方面の守備についていました。投手がボールを投げて、打者の打球が大きなフライになって私の方に飛んできました。私はそのボールをキャッチしようとしましたが、ボールは私のグローブをそれて飛んでいってしまいました。
楽に捕れるボールだったのですが。・・・・・・
“これはいけない”と思って、あわててそのボールを追いかけて誰かに返球しました。誰かが“ドンマイ”と言ってくれたようでした。そのとき、I先生はこちらを見ていました。
先生は静かに微笑んでいるようでした。 (2008.6.7)
次のページに
トップに戻る