両国高校定時制
ガリア戦記
これまでにいろいろな本と出会いました。そのなかで、ガリア戦記は心に残る一冊です。このガリア戦記が書かれたのは、およそ紀元前50年のころです。調べてみたら、紀元前50年なので、まだキリストは生誕していません。中国では前漢の時代で、司馬遷が史記を執筆していたころにあたります。
日本では弥生文化の時代にあたるようです。ですから、まだ邪馬台国は成立していません。そんな遠い時代にローマで書かれた物語です。そのローマとはいったいどんな国だったのでしょうか。また、どんな時代だったのでしょうか。なにか興味をそそられます。この書物は、そんな遠い時代に私たちを誘ってくれます。そこで、このガリア戦記について考えてみます。
ガリア戦記とはローマの武将カエサルがガリア一帯を平定した時の記録をつづった書物です。カエサルとは、私たちにはシーザーの名で知られています。ガリアとは現在のフランス一帯をさします。ガリアにはいくつかの部族があります。部族といってもひとつの国のようなもので、そこには他から支配されることを忌み嫌う誇り高い人々が住んでいます。カエサルはガリアを平定するために計7回にわたり遠征しています。その記録が一冊の書にまとめられています。当時のローマは他に並ぶものがない強大な国家でした。ローマはその力を維持するために常に近隣のガリアやゲルマーニなどを征服しなければなりません。しかし、いったんはローマに下ったこれらの部族も再び反旗を翻します。そのたびにカエサルが出陣します。
カエサルは、ただ勇猛なだけの武将ではありません。知力に優れた武将でした。敗北してうなだれる敵の武将を前にカエサルは相手の気持ちを汲んで接したことなどが記されています。カエサルは数々の武功をたてその名声はローマ中に広まります。ローマ市民はこのカエサルの戦況報告を読み熱狂したといわれます。
そのカエサルの書き残したものはどんな内容なのでしょうか。それはすさまじい戦闘の記録ですが、読んでみると物語のように感じられます。カエサルの文は淀みがなく、読む者をカエサルの文筆の世界に誘います。後世の人は、このカエサルの文を優れたものとしています。カエサルを不朽の文筆家と称えています。私は文を書くことが苦手です。どうしたらよい文が書けるでしょうか。そんなことから、この書に接しました。(次のページにつづく。)
(2007.10.23)