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両国高校定時制
あづまぢのはて
あづまぢの道のはてよりも、なほ奧つかたにおひいでたる人、いかばかりかはあやしかりけんを、いかに思ひはじめけることにか、世の中に物語といふもののあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ、つれづれなるひるまよひいなどに、姉、繼母などやうの人々の、その物語かの物語、ひかる源氏のあるやうなど、ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど、わが思ふままに、そらにいかでかおぼえ語らん。いみじく心もとなきままに、等身に藥師佛をつくりて、手あらひなどして人まにみそかに入りつつ、「京にとくあげ給ひて、物語の多くさぶらふなる、あるかぎり見せ給へ。」と、身をすててぬかをつき祈り申すほどに、十三になる年、のぼらんとて、九月三日かどでして、いまたちといふところにうつる。
かくのみ思ひくんじたるを、心もなぐさめんと心苦しがりて、母、物語などをもとめて見せ給ふに、げにおのずからなぐさみゆく。紫のゆかりを見て、つづきの見まほしくおぼゆれど、人かたらひなどもえせず、たれもいまだ都なれぬほどにてえ見つけず。いみじく心もとなく、ゆかしくおぼゆるままに、「この源氏の物語、一の巻よりしてみな見せ給へ。」と心の内に祈る。・・・・・・・・・・・・・
更科日記は比較的読みやすく、内容も分かりやすいといわれます。授業でこの更科日記を勉強したはずですが、今読み返してみると難しくてあまり分かりませんでした。