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都立両国高校定時制8−1

                                

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両国高校定時制

M先生の思い出

 私はM先生から直接に教わったことはありません。M先生からは教わったのは一度だけでした。ちょうど、授業の先生が何かの都合で休みのときに、代りの授業で教室に見えられました。
先生は教室に入るなりいきなり黒板に漢文を書き始めました。先生が書く漢字は少し右下がりで見にくく感じました。先生はテキストも見ないで黒板いっぱいに広がった漢文の説明を始めました。送り仮名もついていないので難しくて分かりません。それで思い出しました。かつて、主事先生がM先生を生徒に紹介したときのことを。

 M先生は日本史の先生だが国語、漢文など何でも教えられる先生だと。M先生は難関のT大文学部の出身だと聞いていました。私には目のくらむような経歴。先生の漢文の授業は難しくて分かりませんでした。でも、先生からは勉強に対するなみはずれた執念のようなものが感じられました。
次にM先生から話を聞いたのは体育館で生徒集会がおこなわれたときでした。先生は給食について話しはじめました。(定時制では給食があります。先生は給食の係りのようでした。)

 生徒はおよそ400人でしょうか。整然と並んで先生の話を聞いていました。先生は、給食についてひととおりの説明をした後に、こんな話しをしました。
「君たちの中には、給食のパンを残す人がいる。残さないでしっかり食べなさい。
 パンを残すなんてもったいないではないか。給食を作っている人のことも考えなさい。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 また、最近私は不思議な経験をしている。食器の数とフォークの数が合わないのだ。思うにどうも君たちの中にフォークを食べてしまう人がいるらしい。あれはそんなに美味いものだろうか。食べて腹でも壊しても私は知らんぞ。・・・・・・・・・・・」
 周りからはクスクスという声がおこり生徒は笑いをこらえるのに苦労している様子でした。
そのM先生は、私の在学中に鬼籍に入られてしまいました。ほんとうに残念に思いました。
 (2006.2.25)