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都立両国高校定時制8−2
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両国高校定時制

学校の思い出 (上級生の注意)

 私は両国高校定時制に二年からの編入試験を受けて入学しました。季節は春、二年A組に
編入され学校の生活にも慣れてきた頃、授業の休み時間に生徒会長と思われる上級生が教室に入ってきました。その上級生は入ってくるなりこう話し始めました。
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「今日は、君たちに注意したいことがある。最近、君たちのなかに挨拶ができない人がいる。挨拶もろくにできなかったら恥ずかしいと思わないのか。生徒同士、挨拶することは当たり前のことではないか。こんなことでは困る。君たちは両国高校の生徒ではないか。
そのことをしっかり自覚しなくてはだめだ。
また、君たちは勉強に真剣さが足りないのではないか。
その証拠を挙げよう。この前、ある教室の黒板に片国高校・・・・・・・といたずら書きがあった。
“片国高校”とはどういうことか。とても恥ずかしいことだ。誰がこんないたずら書きをしたのか。覚えがある人は名乗り出るべきだ。こんなことが二度とあっては困る」

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 その上級生からは、はつらつとした新鮮さを感じました。話しは説得力がありました。
信頼できる立派な上級生だと思いました。クラスの人たちは、みな静かに話に聞き入っていました。そういえば、どこかの教室の黒板の隅のほうに、そのような文言が書かれていたことがありました。そのことを言っているのかと思いました。私は、人前でこれほど順序だてて話しができません。こんなに立派に話せません。うらやましいと思いました。
自分のことだけで精一杯なのに私たちのことを考えてくれる人がいました。とても爽やかな気持ちになりました。
私たちは厳しく注意されましたが、その上級生の口調は厳しいながら、私たち下級生への愛情が感じられました。
そのときに注意された印象が今でも記憶から消えません。まるで、ひととき、春風が教室を吹きぬけていったようでした。話を終えて上級生は教室から出て行きました。ほどなくしてチャイムがなり次の授業が始まりました。
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 現在の学校では、このように自信を持って下級生を注意する場面がどのくらい見られるでしょうか。
そんなことを考えると、この上級生の真剣な姿勢が一層忘れがたく感じられます。
2006.3.20)