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両国高校定時制

都立両国高校定時制

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「夜明け前」
 木曽路はすべて山の中である。あるところは岨(そば)づたいに行く崖の道であり、あるところは数十間の深さに望む木曽川の岸であり、あるところは山の尾をめぐる谷の入口である。一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。
 東ざかいの桜沢から、谷の十曲峠(じゅっきょく)まで、木曽十一宿はこの街道に添うて、二十二里余にわたる長い渓谷の間に散在していた。道路の位置も幾度か改まったもので、古道はいつの間にか深い山間に埋もれた。名高い桟(かけはし)も、蔦(つた)のかずらを頼みにしたような危ない場処ではなくなって、徳川時代の末にはすでに渡ることの出来る橋であった。
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 これは、名高い「夜明け前」の出だしです。両国高校定時制で、国語科のU先生から藤村について教わりました。そこで、定時制三年のときでしょうか、図書室でこの本に目をとおしました。その後、卒業してから続きを読みました。でも、長編なので前半部分しか読めていません。また、今では内容もあまり記憶に残っていません。
 これは、木曽路の馬篭宿(まごめ)で、そこの名家の当主(半蔵)の目をとおして見た歴史のドラマです。時代は徳川幕府の末期から明治に移ろうとしています。安政の大獄が起こり、薩長二藩が次第に政治力を増してくるときです。木曽路は西国から江戸に向かうさまざまな人が通ります。半蔵はそれらの人を見て時代の流れを敏感に感じ取ります。すこしずつ政治にも関心を寄せるようになります。
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 また、機会を見て、続きを読んでみたいと思っています。作品には、ほかに「破戒」、「若菜集」があります。
 U先生からは、潮音(若菜集)を教わりました。U先生は教壇から静かに藤村をとかれます。生徒の心は先生の説明に釘付けになります。教室の中は、先生の藤村への情熱があふれます。先生は授業では妥協を許しません。いつも、時間ぎりぎりまで説明を続けます。先生の説明される少し高い声が何時までも心の一角に残っていて消えません。
 2007.7.28)

教室にはU先生の情熱があふれます。