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両国高校定時制

両国高定時制
                     

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 最近、私によいことがありました。
それは、数年前から勉強してきた“一般相対性理論重力場の方程式”がクリヤーできたことです。重力によって曲げられた空間とはどのような空間だろうか。重力場の方程式とはどんな式だろうか。また、重力場の方程式からは何が見えるだろうか。そんな思いから離れられなかったので勉強を始めました。
そうです、この重力場の理論はとても興味あふれるものです。これまでに何回か挑戦しましたが、いつも入り口のところで追いかえされていました。
原因は基礎的な力の不足です。基礎力がないとどうにもなりません。そこで基礎的なことに力を入れました。こんどこそは、なんとしても頂上につきたいと思いました。
参考書には「リーマン幾何学」(矢野健太郎)を用いました。最初のページから難渋しました。解説書を読めば読むほど疑問が広がりました。分からないところが多すぎて何度も行き詰ってしまいました。不思議なことですが勉強すると逆に疑問が広がってしまいました。かえって分からなくなってしまうように感じました。
 そんななかでも、少しずつページが進むようになり、およそ1年前にビアンキ恒等式という式に行きつきました。この聞きなれない式は重力場の方程式を理解するキーになる式です。4つの文字が対称的に現れる簡潔な式です。私には、闇を照らす灯台のように感じられました。
ただ、この式の証明はとても難しいものでした。
 そこから重力場の方程式まではわずかな道のりですが、私の知らない用語や知識が頻繁に現れてきました。それらを調べなければなりませんでした。
また、仮説として、“弱い重力場”とか“空間の曲がり具合は平坦である”などの言葉がでてきました。これらは何を意味するでしょうか。このような考え方の問題を理解するのはかなり困難を感じました。私には雲をつかむようなことでした。そこで、放送大学の先生に質問したりしました。いろいろな参考書を読み、今月に入るころに、ようやく重力場の方程式がクリヤーできたと思いました。まだ、初歩的なレベルですが、ひとつの区切りとして数日前に紅茶を飲んで祝いました。

“アインシュタイン:重力場の方程式”

(uv)(1/2)g(uv)R=(8πG/(C4乗))T(uv)

(数式処理ソフトがないので正確に重力場の方程式を表すのは難しい。添え字:uvは、正しくは文字の右上、若しくは右下につく。なお、πは円周率、Gは万有引力の定数、Cは光の速度を表す。宇宙項Λは除外してある)

この方程式の左辺は空間が曲がっている様子を表し、右辺はエネルギーにかかる量を表します。それが(8πG/(C4))という係数で結ばれます。この式は非常に複雑です。私たちが高校で習った2次方程式は3つの項からなっています。それと同じようにして、この方程式を表すと項の数が1000を超えてしまいます。そのような大きな式は理解することはできません。上記の式は簡略して書かれたものです。簡略を用いた優れた表現だと思います。
考えてみると、これらの勉強の基礎はすべて両国高校定時制で勉強したものです。定時制の灯火や教室が自然と心に浮かびます。
 さて、生徒の皆さんから「それは私たちにどんな関係がありますか」と尋ねられるかもしれません。それにはこう答えられます。重力場の方程式を調べると、時間は重力の影響を受けることが分かります。重力が強いところでは時間の進み方は遅れます。だから人口衛星と地上とでは時間の流れ方が異なります。地上の時間は人工衛星の時間に比べてゆっくりと流れます。この原理が応用されて自動車のカーナビがつくられているということです。意外と身近なところで、私たちは一般相対性理論の恩恵に浴しています。
(次ページに続く)  (2007.2.25)