両国高校定時制
このページではある町で起こった不思議な話をします。その町の名は「特殊相対性理論」という名前です。変わった名前です。A君とB君はこの町に住み、町の一角にある県立高校に通っています。A君とB君は町の名前が嫌いではありません。なぜなら二人とも高校の理数クラブの部員で顧問のM先生から特殊相対性理論を教わっているからです。
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顧問のM先生もこの町の名前が気に入って、この春にこの県立高校に赴任したばかりでした。ある放課後のことです。グランドの片隅にB君が佇んでいるときに、A君が自転車に乗って道路を走ってきました。かなりのスピードです。でも、その道は人も車もいないので事故の心配はありません。
A君は、今まさにB君の前を横切ろうとしています。そのとき、B君は不思議な光景を目の当たりにしました。それはA君の身体が進行方向に収縮して見えたのです。もちろん自転車も。そこで、B君は再度、食い入るようにA君を観察しました。・・・・・・・・・・・ 間違いありません。A君も自転車も収縮しているのです。そこで、B君は気がつきました。「そうだ。ローレンツ収縮が起こったのだ。特殊相対性理論によると、どんなものでも運動する方向に収縮するのだ。それをローレンツ収縮というのだ。それはM先生から教わったばかりだった」
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B君は現実にローレンツ収縮を観察できたので自分はとても幸運だと思いました。さらに、B君は観察を続けました。すると今度は、A君の時計がかなり遅れていることに気がつきました。A君は大きな腕時計をしていたので時計の文字盤がはっきりと読み取れます。明らかにA君の時計はB君のものより遅れていました。なお、二人はよい時計を親から買ってもらったばかりです。それはいつも正確に時を刻んでいるのです。合わないはずはありません。そこでまた、B君は気がつきました。
「そうだ。分かったぞ。特殊相対性理論による時間の遅れが起こったのだ。静止している観測者から見ると運動するものの時間はゆっくりと流れるのだ。これも、先生から教わったばかりだった」
そこでB君は思いました。「今日は僕にとってはとてもよい日だった。理屈だけでなく特殊相対性理論を観測することができたのだから」(2007.5.18)
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注:「なっとくする相対性理論」(松田卓也・二間瀬敏史)によると「運動している時計を、たとえば‘双眼鏡で時計を見たら、針の進みが遅く見えるということ’では決してない。走っている時計を実際に双眼鏡で見ると、近づいてくる時計では遅れるどころか進んで見えるのだ。これはドップラー効果とよばれる効果のせいである。実は、ローレンツ短縮とか時計の遅れは、写真に撮ったり、双眼鏡で見たりして確認することはできないのだ」
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このような記述があります。そうなるとこのページの後半には問題が生じます。この時間の遅れは特殊相対性理論の中で最も難しいところだと思います。調べたみると、時計の遅れが読み取れる記述は誤りでした。注のようにドップラー効果により時計の針は進んで見えます。別途、ページをかえて訂正します。 (2007.6.11)
なお、インターネットで質問したところ、時速300メートルで走る新幹線のローレンツ収縮はほんの原子数個分しか起こらないということです。これでは、ローレンツ収縮の実験による観測はほとんど不可能と思われます。
このページの内容は、ページの趣旨にそぐわないので少し抵抗を感じました。最近、興味をもっていることなので記してみました。あまりよいことではないと思います。
(2007.8.6)