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両国高校定時制

両国高校定時制
                     

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S先生は「では頼むよ。」といって部屋を出て行きました。M先生は家に帰ってから、S先生から言われたことが脳裏から離れません。布団に入っても目が冴えてしまい眠れませんでした。そこで考えました。
「光速のシュートか。光のように速いのだろうか。果たしてそんなシュートが打てるものだろうか。光速に近づくにつれて質量は増していくのだから。
・・・・・・・・・・・今回の問題は難しい。どこから手をつけたらよいかだろうか。そうだ。わかっていることから考えてみよう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「目の前を直方体が通過する場合を考える。この場合は参考書ですでに勉強済みだ。手前から奥のほうに回転しているように見える。その際、回転の角度は速さによって決まるのだ。これが球の場合はどうなるだろう」・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そうだ。球に内接する直方体を考えよう。もちろん両者の中心は一致する。そうすると球の回転と直方体の回転は一致するはずだ。直方体の外側の球の表面も直方体に引きずられて回転するはずだ。では、サッカーボールの表面にある縫い目のような模様はどうなる。それは回転によって前にずれると考えればよい」・・・・・・・・・・・
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「さて、結論だ。サッカーボールは回転しているように見える。でも、ボールだから回転は認識できない。表面の模様は回転により進行方向にずれる。これでよい。・・・・
・・・・・・・思っていたより簡単にできた」
 翌日の昼休みにM先生は体育教官室にいるS先生を訪ねました。そして手短に結論を話しました。その部屋には陸上部やサッカー部の生徒が大勢集まっていて、明るい笑い声につつまれていました。
 そこでは、S先生から「ご苦労様」といわれてコーヒーを一杯ご馳走になりました。M先生は体育教官室には生徒があふれていて明るくていいなと思いました。また、自分の特殊相対性理論が一歩進んだことにも満足していました。
(2007.5.19)