両国高校定時制
最近、M先生は特殊相対性理論の時間の遅れが頭から離れません。難しいので時間の迷路
に落ち込んでしまいそうです。そこで思いました。
「基礎から考えなくてはだめだな」
「特殊相対性理論は慣性系を舞台とする。慣性系とは何か。それは加速度などの力が働かな
い状態をいう」
「さらに、二つの原理からなる。その一つは、光の速度はいつも一定ということだ。光源の
位置に拠らないのだ。光速度不変の原理とも言われる」
「次は、AからBを見ても、BからAを見ても、自然界の法則は同じだということだ。相対
性原理とも言われる」
「特殊相対性理論はこの二つの原理から成り立っているのだ」
「この原理を承認すると、静止している観測者から見ると、動くものは進行方向に収縮して
見える」
「このことは、ローレンツ収縮と言われる。これは二つの仮説から必然の結果として導かれ
る」
「なお、ローレンツ収縮はニュートン理論からも説明できる。空間はエーテルによって隈な
く満たされている。(エーテルとは未知のものだが。)
だから、どんなものでも進むときにエーテルの壁にぶつかる。その圧力で進行方向に収縮
すると考えるのだ」
「でも、アインシュタインはエーテルを不要と考えた」
「また、この二つの原理の必然の結果として、静止している観測者から見ると、動くものの
時間は遅れるのだ」
「これらの結果は、とても不思議に思える」
「しかし、このことは不思議でもなんでもない。これが現実で当たり前のことなのだ。」
「この二つの原理を承認すると、単に数式を処理するだけでこれらの結論が導かれるのだ」
「この時間の遅れは観測により実証されている。普段は短い寿命しかもたない素粒子が、光速
に近い速さで飛来する場合は長い寿命をもつことが分かっているのだ」
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M先生の時間の遅れの疑問は少しずつ解消されていきます。(2007.7.1)