M13/40(First air)その2



その1
2.内部工作

キットには素晴らしい出来のエンジンパーツが付属しています。
もちろんエンジンハッチも別パーツとなっており、
ヒンジ部の嵌めあいも良好なことから、接着せずにセットするだけで
完成後もハッチを開けて内部を見ることが出来ます。
これに触発されて、今回は車体側面ハッチをはじめ、
操縦手用バイザーやトランスミッション点検ハッチ等、殆ど全てのハッチ類を
開放状態にする為にハッチから見える程度に内部を作ってあります。
これもレジンキットの多くは車体はムクですが、
このキットはちゃんと内部も抜けているのでインジェクションキットの
ノリで作れるのが嬉しいですね。(流石に砲塔は部分的な抜けですが)
トランスミッション関係はエッシーのセモベンテのパーツ流用です。
また今回はハーフフェンダーにする為、そのままでは車体上部側面(履帯上にはみ出した部分)
の下側が筒抜けになってしまいますので、これを塞ぐ必要があります。
当然車体上下の接着以前に塗装は済ませておきます。


その2 3.ハッチ類

車体側面のハッチはヒンジ部に真鍮線を通して可動出来るようにしました。
最終的にビネットにする為、あまり意味はありませんが、これもキットパーツの
精度の高さ故に可能だったと言えます。

ドライバー用バイザーやミッション点検ハッチは
片思いで複製後、開口してから取り付ける予定でしたが、
複製品の強度不足の不安から結局プラ材で自作しました。
これらは内部からのカーブ状のステーにより取り付けられているので
ステーは内部工作時に取り付けておきます。
(内部工作画像参照)
その3 4.フェンダー

前述したようにフェンダーをハーフタイプに改造してあります。
写真や図面を参考にすれば簡単な作業です。
実車では、フェンダーの周囲の縁を補強リブが囲んでいますので、
「周囲を残してマスキングし、溶きパテを盛ってペーパー掛け」で再現してあります。
また内側の泥抜き穴?も忘れずに(ちょっと大きすぎた…)。

あと細かいことですが、車体側面下端のリベット列は
フランジの上に打たれています。
これはおそらくフェンダーの折り返しを挟み込んだものと思われ、
実車写真でもハーフフェンダータイプには、フェンダーの無い部分には
当然このフランジがありません。
よって、この部分を一度削りとって新たにリベットを植え直してあります。
(6の側面足掛け写真参照)


その4 5.足回り

このキットの特徴として、履帯がゴム状の軟質レジンによるものという点があります。
材質は非常に柔らかく、その後伺ったところ、装着後に経年変化で自然に弛みが付く(!)
という優れものだそうです。(私は瞬着で固めてしまいましたが)
表面のディティール・厚みなども良好で、(裏側のモールドがちょっと足りないのは残念ですが)
この材質を使ってもっと履帯関連のアフターパーツが出てくれたならなあと思います。

その他起動輪・サス・転輪等、どれをとってもエッシーを遥かに凌駕する
素晴らしい出来です!

その5 6.車体側面の足掛け

車体側面の足掛けはキットでは省略されています。
コレばかりはかなり目立つ部分なので自作は必須かもしれません。
ただ強度面やキット購入対象者の技量を考えると、この省略は賢明な選択だと思います。
M13/40では板を組み合わせた形状のものが多いので、真鍮線とプラ材の組み合わせで自作します。


その6 7.マフラー

キットのものは少し全体に細めで、車体との一体成型の為に、
取り付け基部の半球状カバーの傾きも再現されていません。
また丁度マフラー付近の車体側面装甲部が型ズレの為に段差が出来ていました。
またやや下の部分に上下車体パーツの分割ラインもあり
この部分のパテ盛り面出し修正も必要なことから、キットのマフラーは
思い切って削り取り、面出しをした後、
エッシーのマフラーパーツに少し手を入れて交換しました。
この際、後部フックも注意深くデザインナイフで削ぎ落とし、
面出し後、三角状の台座を自作して再接着。
ついでにこのあたりのリベット類もオミットされているので自作しました。


その7 8.車外装備品

・スコップ類はプラ材やジャンクパーツから自作。取り付け金具は
 少々複雑な形状ですので薄手の鉛板から自作しました。

・後部予備転輪はキットパーツには残念ながら付いていません。
 そこで、一部内側の転輪をエッシーの予備転輪パーツに変え、
 余った転輪上にして使用しています。
 隣のA字型工具及びジャッキもエッシーから流用。

・ジェリカンはエクストラテックのレジン製。
 実車ではラックに収納している例が多いですがこのような取り付け方の写真もあります。
 おそらく上部の手すりに括り付けていると思われ。
 あと車体前面の土嚢なんかも良くあるスタイルですが、
 ハッチ類を開けたい為に今回はパスしました。
その8 9.車体その他

・車体銃張り出し部分の周囲の一部リベットがオミットされているので追加。

・ドライバー用のペリスコープを追加。

・車体上部の装甲版継ぎ目のラインをスジ彫り。

・車体側面上部(側面ハッチ逆側)の手すりを追加。

・マフラーの前にある工具箱?の内側切れ込みが少し大きすぎて、
 上蓋の幅が細すぎる気がしたので蓋部分をプラ板で作り直し。

・エンジンハッチの留め具は少しゴツイので、鉄道模型用パイピングエッチングの
 アタマ部分を使って交換。(あれ?1個取れちゃってるなあ)

・ライトは形状を削り込み実車に近くなるように整形しました。
 厳密に言うなら新造してしまったほうがいいかもしれません。
 レンズ部分はくり抜いて、銀塗装後にエポキシ接着剤でレンズを再現しました。
 今回いつものレンズパーツの類を使わなかったのは、遺棄車両として再現するため。
 きらびやかなお目目では、生き生きとしてしまいそうだったから。


その9 10.砲塔

キットパーツ自体にコレといって手は加えていません。
砲身もガレキの場合は大抵変形や歪みで真鍮パイプなどで作り直すのですが、 今回はキットパーツのままです。
砲塔形状も旧エッシーと比べると愕然たる差を感じます。
こちらのほうが断然良く実車の砲塔形状を良く掴んでいると思います。
1/35でも省略されている防盾側面のボルト用の溝なんかも
ちゃんとモールドされているあたりは素晴らしいの一言。
実際には砲塔上面にもリベットがあり、(側面のものに比べてかなり頭を潰したもの)
最初植えてみたのですが、ちょっとうるさくなりすぎる感じがしたので結局全て除去しました。

対空機銃は付属しませんので、これまたエッシーのキットパーツの
銃身部を真鍮パイプに変えるなど手を入れて使用しました。
照準リングはSSPのエッチングより。たくさん付いててお買い得ですよ。

その11 11.塗装

イタリア軍の本来の基本塗装はグレイグリーンなる色で、
ドイツ軍と同じく初期の車両はその上からサンド塗装されているようです。
しかし後期になると明らかに最初からサンド塗装されているようです。
モノクロ写真で見られるコントラストのキツイ車両はおそらく前者と思われますが、
今回そうした車両を再現するにあたって、グレイグリーンはあえて使わず、
脳内イメージにしたがって(笑)塗装しております。

イタリア軍のサンドはかなり明るい色のようなので、
クレオスのセールカラーを基本とした混色を使用しています。
油彩によるウォッシング(フィルタリング)はかなり時間をかけて行いました。
私の場合、イメージ通りのグラディーションコントロールが欲しい為、
布や綿棒は使わず、シンナーを含んだきれいな筆で拭き取り・伸ばし作業を行っています。

ドライブラシはリベットの頭やエッジなどに少々施していますが、
これはあくまでウォッシング修正と光の表現にとどめています。
個人的にサンド系車両のドライブラシによる退色表現はイメージと違ってしまう為、
退色表現そのものにはウォッシングで決着をつけるようにしました。
(ジェリカンのグリーンの退色表現はドライブラシ)
その10 12.マーキング

砲塔上面の対空識別用の白円は基本塗装前に白を吹いた後、
円形に切ったマスキングテープでマスクして再現しました。
その他マーキング類はエッシーの物を使用しています。
サンドにブルーのマーキングは昔からカッコイイなあと思っていたので迷わず選択。
ちなみに赤・青・黄の順番で第1・第2・第3中隊を示し、
中の白線の本数が小隊番号、上の数字が車両番号だそうです。
車体後部のナンバープレートもキットにモールドされている文字を削り取り(もったいない!)
エッシーのものを貼り付けてあります。

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