0207 :  シャニ




クリーンルームはつまらない。寒い。眩しい。
めんどくさい。つかれる。でもだ。
だ。
を見つけた。


と会った回数が三回、四、三・・・それくらいになった。
オレが椅子に座るって黙っていると、向こう側にいたがやってきて
同じ側の椅子に座る。もう全然ジーって音がしない。

「シャニ、おはよう」
オレは二回うなずいた。
「身体はどう、この前は熱があったでしょう」
オレは首を横に二往復した。もう熱はないから。
「そうなの、よかった」



「・・・うん」
「昨日はなにをしたの」
「オルガとクロトが喧嘩してた」
「またぁ」
「オレはヘッドホンしてた。本の角が頭に当たった」
「あらあら、怪我はしてない?シャニは喧嘩しなかったの」
「してない。むかついたけど」
「いい子。クロトとオルガに言わないとね、危ないって」
が言って」
「シャニが言ってみなさい」
「やだ・・・」
「シャニはその・・・いい子、なんだからできる」

なんだかが困った顔をした。
だから

「やる」

て言ったら困らないと思ったのにもっと困った顔をした。
もっと困った顔をしてからの手の甲がオレの頬骨のあたりを三往復撫でて笑った。
三往復も撫でた。
クロトはこの前二往復撫でられたって威張ったらオルガがなぜかキレて喧嘩になったんだ。
たぶんオルガは一回も撫でられたことがなくて怒ったんだ。クロトは二往復。オレが三往復。



「オレがボコられる気がする」
「えぇ?」



ブザーが鳴った。
「0090、入れ」

は立ち上がった。
一人にされるのは嫌だ。嫌だ。また音がする。
の手首を捕まえた。は今度こそやわらかく笑ってオレの手をはずした。
すごく冷たくなっているオレの指先をぎゅぎゅと強く二回握ってからドアの向こうに歩いていった。
なんだよそれ
なんでの手のほうが冷たいんだ
聞く前にドアがしまって、ジーと音がし始めた。
ぱっと耳に手を押し付けた。
ドアを見ながら。






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