久兵衛橋 Kuheibashi
                             2007.4.24
架設:文久3年(1863) 石工:不明 橋長:20.0 m 橋幅:4.3 m 拱矢:5.6 m 径間:10.9 m 環厚:52 cm
単一アーチは二重積み構造で、壁石は乱れ積み

高千穂町から熊本高森町に続く国道235号の左手下の上野川に架かる。

今回の日向路で最後の石橋となった久兵衛橋は国道沿いにあったためか、直ぐにみつかった。手前で見かけた農協の前の駐車場にお客になって一時車を停めさせていただくことにし、急ぎ久兵衛橋の入口に戻った。
まず目を引いたのが左手の家の壁に掛かる久兵衛橋の案内表示板だ。「ふむ、ふむ、、、と、施主の名・黒木久兵衛の名から取った石橋、、、」と、表示板を目で追っていると突然、ガラリと戸が開き、おばちゃんが表に飛び出して来た。怒られるかと思いきや「ちょっと寄って行かんね」、と声をかけられ、ハタと困ってしまった。寄って行きたいのはヤマヤマであったけれど、如何せん、時間がない!慌しくおばちゃんにお礼を言いつついとまごいし、久兵衛橋の前に立つ。
橋の上を見渡せば右端に親柱が二つ並んで立っている。一つは左側にあったであろうが、その一つには石橋供養塔の文字が読みとれる。赤石の方は私には判読不能であった。
久兵衛橋を渡って川に下る道々、農家のお宅の庭先では「よそ者到来!」と、二匹のワンちゃんにけたたましく吠え立てられた。「よしよし、いい子だね」と、ワンちゃんに声をかけつつあぜ道を下って行くと、曲がり角でおばあちゃんに出くわした。
ちょうどお昼前だったので、一仕事終えて家に帰るところをしばし、わたしの話し相手になってくださいました。
齢、わが母の歳頃か、さればおばあちゃんと呼ぶは失礼と以後、「お母さん」と呼ばせていただきまする。

久兵衛橋慕情
お母さん
−鍬を手に お天と様と 日暮す
 久兵衛の里に 待つ母の居て−

−盆来るを 指折り数え 待つ母の
     育てしスイカ さぞや甘かろ−

オドリコソウ
−リンリンと 鈴の音聞こゆ 畦の道
    舞うや踊り子 久兵衛の里に−
 久兵衛の里
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