エニシダ

トラクターで坂道を下りる。正面の川のがけの上の一部が一面の黄色。何のはな?。浮かぶのは山吹、しかし今下りている坂の石垣の山吹は既に花は散っている。若葉かな?。標高差30mそこは「てんの山の妙見さん」を通り349地点、経由し444.1地点三角点のある山への登り口。かって知ったるところ、20分も歩けば到達する。田んぼは早めに切り上げて確かめにいこ。

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それが、大きな落とし穴になるとはつい知らず・・

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時は3時過ぎ、一応コンパスと地図と飲み物は携行する。時間があれば確かめたい谷もあるし・・・

先ず、花はこれが黄色というくらいあでやかな黄色で、大きな花びらが不規則についており、ねむの木の葉のような葉っぱがついている。枝の途中にえんどう豆のような莢がついているのもある。名前も知らないし見たのも初めて、第一こんなところにこんな花があるのも不思議。おそらく今砂防工事のブロックコンクリートの上に立っているが、砂防工事のときに誰か植えたと推察できる。(この地点から以前下界を見た絵

 

一応確認もしたし、写真も撮った。時間があるので349地点から三角点へ行く途中に北へ下りる踏跡道がある。それを下り谷筋を降りて国道477へ出るのだが、以前一度だけその谷を通った。谷は山師が通うのか割合広い道がついており、側に谷川が流れ勾配もなだらかで気分のよい道であった。そのとき、テレビでも有名な炭焼きの人にあって話しをしていると、少し向こうに「やまぼうし」の木があるという。その木がほしいがというので、幸い山の所有者は知っているので携帯で話をつけたことがあった。「やまぼうし」は今花が咲いているはず、それを見に行こうと思い立つ。

 

349地点に難なく着く。ここはピークまちがなし。以前のマーキングもある。ここがこの辺で一番高い。しかし、何度か来たが、今までは山には新芽も出ていない冬か早春。木には葉っぱがなく見通しもきく。

しかし新緑に満たされている今、付近の状況は一変。コンパスで三角点444.1ピークの方向を探る。444.1地点へは一度鞍部へ降りる。「こんな急やったかなあ〜、マーキングもない」一度もとの地点に戻る。再度コンパス探る。「もうちょっと北かなぁ。」又、下り始める。「もっと倒木があったはずやし、何か変」又、元の場所に引き返す。しかし、青貝山がこっち、天台山があっち、やっぱりこの方向のはずや。

 

又、下り始める。当然道などない。ただ、山をころげるように下る。完全にこの道でないと判断する。おかしい、又引き返すには・・・。このまま下へ降りると絶対に谷に出る。予定していた谷の道にショートカットするだけ。とにかく沢へ出ればその沢伝いに歩けば既知のところに出る。頭ではその道順がはっきり理解できている。しばらく急峻な山を下っていると、沢に出る。この沢は谷に合流しているはず。はず。はず。と念じて、時々水が湧き出ている落ち葉と瓦礫の沢を下る。沢は益々急峻になる。谷が近いことが分かる。沢が急峻すぎて下れないと思ったときに斜めに獣道がついている。なるほど、鹿は水を飲みに毎日この道を下っているのやなぁ〜と一人ごちる。人間不安になると独り言を言うらしい。自分でもおかしいがなぜか声を出していると安心する。

少し獣道を下りると、下に川とダムらしきものが見え子どもの声もする。その光景を見て頭の中はぐるぐる回転している。

ここは、ひょっとして初谷川?。今日は休日、家族連れがバーベキューでもしてる・・・。ここはどこ、貴方は誰?・・・という、感じ

 

頭の回転が止まる。ここは初谷川、通称ブランコのある砂防ダム。自宅から15−20分の距離。

ほっとしたとたん。又頭が回り始める。何故間違った?。全く180度反対の谷に下りてしまった。近くの山でなかったら完全な遭難。ここで一服。先ずこの下10m下りて15分ほどで自宅へ帰るか、初志貫徹のためにもう一度この急峻な沢を登り349ピークへ戻り反対の谷に下りるか、今4時30分。今日は天気もよく6時過ぎまでは明るい。

一応、家に電話し状況を伝え再度戻ることを伝える。「あんた、それ、道に迷ったということやんか、そこから戻っといで、ええ歳してそこらでひっくり返ってたら恥ずかしいで」という言葉もあったが、何故間違ったか今後のために確認もしたかった。

 

元来た沢を登る。今度ははっきりと地形図の通りの沢の分岐など確認しながら登る。地形図を見ると、もう少し近道でき勾配も緩やかな場所も発見しながら休憩もせず20分ほどで349地点に戻れた。標高差130メートルを往復したことになる。長い時間ロスしたようだが、その間、写真の時刻から1時間程度。この時間でどの程度歩けるかが経験となるはずである。

 

349ピークはまわりを松と新緑に囲まれ薄暗い。その中で地図を広げ再再度コンパスを当てる。考えられる間違いは、地図とコンパスよりも自分の土地勘を信用していたことにある。すなわち、この道をこう曲がって登ってきた、だからあっちが青貝山、あっちが自宅と思い込んで地図を南北逆に当てていたとしか考えられない。今度は自分より地形図コンパスに頼る。地形図の北を、コンパスの北に当てる。方向を決定、歩くと直ぐに見覚えのある踏跡、マーキングを見つける。気分はルンルン。

 

しかし、今でも疑問。あの地点はおかしい。以前にも自宅へ下りる最短距離、当然道はない。山の斜面を下るのだが3度挑戦して2度も途中まで違う場所へ下りそこから斜面を回りこんで事なきを得た。途中から部落が見通せているので迷ってもどうこうはないが、不思議な地点である。

 

そんなこんなで途中バンビの死骸も見て(まさに昨日死んだという新鮮な死骸であり写真も撮ったがそれは載せられない。体長50cmにも満たない斑点のあるまさにバンビ)、又前方を横切る野生じかなどの出会いを経ながら、山ボウシを探すが見当たらず、桐の花、ほおの木の花、エゴノ木の花、いろいろなウツギの花などを観察して国道477へ出る。

 

そのまま国道を歩いて帰ると、村人にあったりしたら、ええ歳をして何をしてるのかと思われても恥ずかしいので、又、山道に入って帰る。その途中に福祉施設の駐車場を横切るが、その駐車場の雍壁に今日の散策のきっかけとなった黄色い花が咲いていた。

その花はネットで調べるとエニシダでした。やっぱり、砂防地跡などに植えるそうです。

 

スリルある午後でした。