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2の記憶:赤





射し込む光と、生暖かい肌の感触の中で、微睡む…こうしてゆっくり休日の特権…遅寝を味わっていた。

横で一緒に寝そべっているお兄ちゃんの手が、からかうように私の背筋をなぞり始めて、
人一倍敏感な私の体が勝手に震え出した。

「んもう…止めてよ……」
やり返すようにお兄ちゃんの体に手を伸ばすけど、逆に抱きすくめられて身動きがとれなくなった。

「んやんやんゃんん…」
少しもがいてみたけど、すぐに力が抜けちゃって、こっちからも抱きしめ返していた。

温かさに包まれるように抱かれていると、嬉しさと気持ちよさで胸がいっぱいになる。
お兄ちゃんが居れば何も要らない。 お兄ちゃんに愛されて、全てを委ねていたい……
そう、思っていた。



「……今日は、暑いな。」
「……そうだね。」
汗にまみれた二人の体で、部屋の中は不快指数が上昇していた。

「なあ… 今日も暑そうだから、裸で過ごさないか?」
「えええ〜〜!? そんなの、恥ずかしいよぉ……」
「別に誰に見られるわけでもないだろ?」
「でも… 窓とかから…見えちゃうよぉ…」
「カーテン締め切って冷房かけてればいいだろ。」
「…………。」

「じゃあ百歩譲って裸エプロンならどうだ? 一応体は隠せるぞ。」
……なんだか本気でお願いしてくるお兄ちゃんに根負けしてしまった。
「……お兄ちゃんも、せめてTシャツとか着てよね。」



これは…予想以上に恥ずかしい格好だなぁ……
なんだか肌が出てる部分が多いからスースーして落ち着かないし、
隙間から(平坦な)胸が見えてそうで……
お兄ちゃんは「ムハー(*゚∀゚)=3」ってしてるけど…… あ、勃ってる……

「じゃあとりあえず朝御飯つくろうか。 ……ってもうお昼だけど。」
「ふふ、そうだね。」

とりあえず台所に立って食材を…
「お兄ちゃん?」
お尻に押し付けられる感覚がする。 そしてエプロンと胸の隙間に手が入ってきた。
「……いまはいいけど、包丁持ってる時はやめてよね。」
「……わかった。」



胸を触られながらだと目玉焼きすら焼けなくなる。
それでもなんとか仕上げて食卓へと逃げ出した。

「直にイスに座ると…なんだかお尻がちくちくするね。」
「そうだな。」

裸のままで普通に食事してるのはなんか変な光景。
お兄ちゃんもTシャツ着てて普通そうだけど、その下は裸だし…



外は炎天下でも、冷房で冷え切った室内では、お互いの体を暖め合うように抱き合ってしまう。
私の首をなぞって背筋を伝ったお兄ちゃんの指が、ぎゅっと私のお尻を掴んだ。

「ん…」
お兄ちゃんに触られただけで気持ちよさの電流が体中に走って、
ましてや背筋とかお尻とか敏感なところを触られると、それだけで…熱くなって…濡れてくる。

下に下がっていくお兄ちゃんの指が、膣内に入り込もうと周りを探り始めた。
「は…ん…」
ますます密着する体が、間にある薄い2枚の布すら邪魔に思わせていた。



お互いの顔も密着して、深い深いキスをしあう。
舌先が少しだけ擦れた。それだけで脳が爆発してしまいそうになって、体が燃え上がっていく。

「お兄ちゃんん… あ…!」
ストン、と身につけていたエプロンが足元に落ちた。
いつの間にか結び目を外されていたらしく、唯一身につけていた衣服は
なんの抵抗もなく下に落下して、肌を隠すものが一切無くなってしまった。
「もう〜〜〜!」
こっちも仕返しとばかりにお兄ちゃんの服を脱がせる。



再び、ぎゅっ、とお兄ちゃんに抱きついた。
昨日もあんなにしたのに、またして欲しいって、今も思ってる。

「ココと、部屋と、どっちがいい?」
「……ココでするのは、恥ずかしいよ……」
まだ日も高いのに、こんな明るい所でするなんて…恥ずかしすぎる…

「…………。」
「お兄ちゃん?」
「ゴメン智香、もうガマンできない。」
「えぇ? きゃ…!」



私の体が持ち上げられて、小さな入り口にお兄ちゃんの熱い固まりが押し当てられる。

「ダ、ダメだよ! こんな所じゃヤダ!!」
「…………。」
「あ、あ、あぁぁ……」
自分の体の重みで少しずつ入れ込まれていく。

「いやぁ… お兄ちゃん、やめてぇ…」
泣き叫ぶように訴えるけど全然聞いてない。
むしろそれを聞いてさらに興奮しているのかもしれない。



「あっ、あっ… 怖い…やめて、よ…」
体全体が持ち上げられて激しく揺すられる。
繋がった一点が激しく擦られて痛みすら感じる。

でも……
膣内からはさらに液が溢れてくる。
迫ってくる顔に、顔を近づけて舌を絡ませ合う。
体が突かれて上下するたびに頭の中が小爆発を起こす。

お兄ちゃんに、お兄ちゃんのすることに、恐怖を感じつつも逆らえない……
きもちよくなってく……



「お、お兄ちゃぁぁあああ…」
絡み合っていた舌が離れて絶頂の波が体中を包んでいく。

「智、香…」
お兄ちゃんから燃えるように熱い液体が体内に注ぎ込まれている。

さっきとは比べものにならない程の大爆発が起こって、
体から力が抜けてお兄ちゃんにもたれ掛かった。



……いつの間にか、ぬるぬるとする二人の汗とは違う液体が、頬を伝い落ちていた。

「……お兄ちゃんの、ばかぁ……」
「智香……?」
「ばか、ばかぁ…… ひぐ、ひぐ……」
むせび泣きながらお兄ちゃんの頭を叩く。

「ホントに、怖かったんだよ…なんで止めてくれなかったのよぉ……」
「……ゴメン。」
まだ繋がったままのお兄ちゃんが頭の裏を撫でてくる。

「智香は部屋の方が良かったんだよな。 いま連れてってやるからな。」
「……乱暴なの、イヤ…… 怖かった……」
「……今度は優しくするよ。 約束する。」
「ホントに、約束、だよ…… もう絶対に、乱暴、しないで……」



まさか泣かれるとは思ってなかったのか、今度は本当に優しくしてくれた。
それでも……まだ怒りの気分は収まっていない。
だから、お兄ちゃんが『もうダメ』って言うまで、気持ちよくさせてもらった。


暗くなり始めた家の中を裸のままで歩く。

ぬるり、と体の中から漏れ出る感覚が股の間を伝った。
……コレを拭くためにトイレに行こうとしてたのに。

「痛…」
急に腹痛を感じた。
いや、コレは腹痛じゃない。 もっと位置が下で、もっと切ない痛み。
こんな痛みは今まで感じたことがない。



「おに、ちゃん… お兄ちゃん…!」
お兄ちゃんを呼びながら床にへたり込んでしまう。

「……あ〜〜? どうかしたのか智香〜〜?」
気の抜けたお兄ちゃんの声が聞こえてくる。
「こっち、来て……」

「どうした〜〜?」
「お腹、痛いの……」
「……トイレか?」
「……うん。」



なんとかトイレにたどり着いて座り込む。

ごぽ

大量に漏れ出る感覚がした。 いくらなんでも、こんなには出されていないと思う。

妙に思って便器をのぞき込むと……

そこに見えた光景は、赤だった。



悲鳴でもあげていたらしく、お兄ちゃんが激しくドアを叩いている。

「お、お兄ちゃん…… これぇ……」
半ばパニックで体が動かないまま、便器に浮かんだ血らしきものを見せる。

「こ、これは……」
「な、なに…? 私、どこか怪我でもしてるの……?」

「これは……たぶん、生理だよ。」
「生、理…?」
「初潮が、来たんだな……」

初潮、それは妊娠出来る体になった、ということ……



少し遅れていた初潮が来たらしい。
とりあえず血が出なくなるまで掻き出して、お風呂に入る。

お風呂から出てみると、お兄ちゃんがどこかに電話していた。

「…なんでこんな時にも帰って来れないんだよ!!

 ……ああ、そうするよ。」

「……誰に電話してたの?」
「親父と母さん。 ……二人共帰ってこれないってさ。」
「……。」
「明日になったら病院で診てもらおうな。 俺が付いて行ってやるから。」
「うん……」



生理が始まる。 それはいつも妊娠の危険が付きまとうということ。
生理用品の説明を聞きながら、漠然と思っていた。

お兄ちゃんと、お兄ちゃんと、すると…… 妊娠、してしまう。

今まで何も気にしていなかったけど、急激に恐怖が襲ってきた。

「智香… 智香、大丈夫か…?」
「! イヤ!!」
思わずお兄ちゃんから遠ざかってしまった。


「智香…?」
「あ…ゴメン。 何でも、無いの。」



触られただけで、何もされていないのに…怖い。

そしてなぜかお兄ちゃん自身にも恐怖を感じていた。
あんなにお兄ちゃんに安らぎを感じていたのに、今は……

「お兄ちゃん… 今日は、一人で寝るから。」
「ああ… もう、大丈夫だよな。」
「うん……」

その後も、お兄ちゃんに対する恐怖心は消えなかった。
お兄ちゃんは、そんな私の不安も知らずに抱いてくるから……

だから、お兄ちゃんに冷たくなってしまう。
そしていつしか、お兄ちゃんに触られることにも耐えられなくなり、
そしてお兄ちゃんそのものにも… 嫌悪感を、感じるようになっていた……

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