瞳は君の生まれた島の色
長い髪は月夜の渚に寄せる波
数えられるくらいのソバカスも
口紅をつけていない唇も
キレイだったよ
美智子
「私寂しがり屋なの」と美智子
「僕ほどじゃないだろう」と僕
人生の本当の寂しさなんて知らない
持て余すほどの若さがあふれていた
二人は十七歳と十八歳だったんだよ
ダンスパーティーで誘った曲はジルバ
「ジルバはにがてなんだ」と僕
「二人で作って踊ちゃいましょう」と美智子
すぐかしこまってしまう僕には
息を飲むくらいピュアだったんだよ
階段でおばあさんの手を引く美智子
そのためらいのなさに驚く僕
看護婦さんの卵
白衣姿
その天使のような姿に
僕はすっかり舞い上がっちゃったんだよ
いつものベンチで待つ僕の所へ
一生懸命に走って来る美智子
「待った?」と聞く美智子
「いいや」なんて答える僕
本当は死ぬ程待っていたんだよ
大きなクリスマスツリーを見た帰り
あの公園でキスをしたね
恥ずかしかったけど僕は初めてだったんだ
美智子はどうだったのかな
あれを境に二人何かが変わったよ
アイツとの事を聞いた時も
僕の気持ちは変わらないんだ
強い自分になるんだと頑張ったけど
デートを断わられる度に
ひどく落ち込んだものだったよ
美智子を乗せた船は夜港を出る
デッキに立つ美智子は笑ってくれた
男と女はくっつくか離れるかしかないと
知った今から思えば
なぐってでも引き止めるべきだったよ
年を経て美智子はキレイな結晶になった
あの時の美智子の純真さは
美智子の青春の証であり
僕のひたむきさは
美智子を一つ成長させたね
永遠に色を失わない宝物が
二人の心に一つずつある
そして僕は今でもハッキリ言えるよ
「美智子
君はキレイだったよ とても」
■書始−91/02/04:曲有。 ◇大学1年の時に出会った石垣島の女の子は、僕と
沖縄を強く結びつける最初のでき事でした。次は、「月ぬ美しゃ」との出会いかな?