内間に向かって(沖縄本島−浦添)
・今までにいろいろなアルバイトをしてきましたが、食べ物
的に一番良かったのは、家庭教師のバイトです。私は、いい
バイト先に当たったのか、ステーキ、ソーキ汁に沖縄そばと、
いつもお客さん並の夕食を食べさせてもらっておりました。
学生時代、家庭教師の日=リッチ夕飯デーとなっておりました。
・台風が近づくある日、強まる風の中を家庭教師先に行くと
理由は忘れましたが、「今日はなし」という事となりました。
『このまま帰るのつまらないし〜』と、私は強まる風の中
を帰る道とは反対の方向へ歩き出しました。
ST(Small Trip)のスタートです。
・STとは、私が名付けたちょっと長めの散歩の事です。
始まりは大学受験の追い込み勉強中の夜中からです。当時、
自分のなかでは浪人が内定しており、勉強にも飽き飽き+
モンモンとした日々の中から突発的(?)に生れたのがST
です。
・始まった当時のSTは、モンモンをルンルンに変えるとまで
はいきませんが、気分を大きく変えてくれた事は確かでした。
そのうち凝り性の私は、地図を買ってきて自分の歩いた道を
確認する様になりました。そして次は、地図を見て『ここへ
行ってみよう!』と、プランを立てる様になっていきました。
出発前のウキウキ気分は、とても心地良いものでした。
そして、歩く時間も5〜6時間と伸びてゆきました。
・私の詩『内間に向かって』は、台風の迫る中のひさびさのST
体験を詩にしたものです。石嶺(いしみね)⇒安波茶(あは
ちゃ)⇒内間(うちま)と歩きました。安波茶五叉路を過ぎて、
バス通りをはずれ、下り道を行くと、両斜面がウージ畑の道に
出ました。すり鉢の底の様な道には、風が逆巻いておりました。
そして−
「風に呼ばれて振り返る」と「さかまくウージ畑は、天登る龍
を描いていたんだ 」だったのです。
思わず『見事!』と叫んでしまう様に景色だった事を、今でも
覚えております。

◎ウージ畑にそよぐ風は、緑色です。
(044-2004/10/23記)