♯ヒコさん心の一曲−ロマンス(モーツアルト)


・夏目漱石の代表作「坊ちゃん」は、今までに何度も映画や
 テレビドラマ化されました。そんな一つで覚えている映像
 は、洋風庭園での弦楽四重奏です。奏者は、マドンナや赤
 シャツの四人です。そして演奏していたのがモーツアルト
 の「アイネ・クライネ・ナハト・ムジック(小夜曲)」の
 第2楽章の『ロマンス』でした。音は、どこかの名演奏に
 ふき替えずに「のこぎり四重奏」と名付けて良い様な音
 でした。この映像を見て「明治時代の日本人が演奏するには、
 第1楽章はテンポ的にも内容的にも難しく、第2楽章なら
 何とか形にできたのかな〜?」と勝手に想像した事を覚えて
 います。

・モーツアルトの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジック」
 は、第1楽章が超有名です。映画「アマデウス」の冒頭。
 自殺未遂を計ったサリエリが、精神病院の一室で神父の面接
 を受けるシーンです。サリエリは、かたわらのチェンバロ
 で自分の作曲した曲を数曲聞かせますが、神父は「すいま
 せんが、知りません」としか答えません。そこでサリエリは
 モーツアルトの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジック」 
 の第1楽章を弾いて聞かせると、「はい!この曲なら知って
 います。何と素晴らしい曲でしょう。あなたが作ったの
 ですか?」と喜びさえ浮かべて聞きます。サリエリは、
 「やっぱり」という失望の色とともの「モーツアルトの曲だ」
 と答えます。映画の脚色とはいえ「モーツアルトの音楽の親
 しみ安さや永遠性」をとてもうまく表現していると思います。

・モーツアルトの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジック」
 第2楽章『ロマンス』が、名曲であると思うようになった
 のはいつ頃からでしょうか?第1楽章が、駆け抜ける様に
 終わった後も心に余韻を残しているうちに、はじまる第2
 楽章『ロマンス』。私が第1楽章とはある意味まったく違う
 素晴らしさを見つけたは、30歳になった後だと思います。
 
・この曲はギターソロ用に編曲されている事もあり。ギターで
 弾いたこともありますが、最初の二つの四分音符がとても難
 しいと思っております。極端に言うとこの二つの四分音符で
 曲全体のできが決まってしまうのではないかと思います。
 二つの四分音符もバッチリ演奏している『ロマンス』の名演奏
 を聞くと、この曲の中にはモーツアルトの「永遠への憧れ」
 や「満たされない想い」がすべて表現されている様に思えて
 きます。

 (205-2005/07/16記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

BACK  INDEX  NEXT