♯ヒコさん心の一曲−展覧会の絵(ムソルグスキー)


・ムソルグスキー作曲『展覧会の絵』の一曲目のプロム
 ナードのトランペットを聞くと、いつも何とも言えない
 期待みたいなものを感じます。
 それは、これから30分余りの時間、少し現実離れした
 音の世界をさまよい歩く事、そして終曲の「キエフの門」
 の感動(解放)へ想いを馳せるからかとも思います。
(たとえば、中国の巨大ドラが鳴り響く瞬間とか‥‥)

・『展覧会の絵』は、ムソルグスキーの親友で若くして
 亡くなった建築家であり画家でもあったヴィクトル・
 ハルトマンの遺作展を見た印象を組曲にしたものです。
 原曲はピアノ曲ですが、あの「ボレロ」で有名なモー
 リス・ラヴェルがオーケストラ用に編曲した版の方が
 よく演奏されます。ラヴェルは、大のムソルグスキー
 信奉者であり、編曲はとんとん拍子に進み、パリでの
 初演は大成功だったそうです。
 
・しかし、『展覧会の絵』といい「はげ山の一夜」といい、
 暗いメロディーや不協和音のオンパレードなのに何故
 ここまで人々に愛される(?)のでしょうか?
 私はその点を言及した文章を見た事はないのですが、
 極端に言えば「人間の裏側(暗黒面)」を音でわかり
 やすく(?)表現しているからではないかと思います。
 単純な「怖いもの見たさ」のレベルでなく、芸術という
 域まで昇華して音にしたのが、これらの曲ではないかと
 思います。

・ご存知の通り「はげ山の一夜」は、ディズニー映画の
 ファンタジアで主題曲の一つにも取り上げられています。
 私もファンタジアの主題曲の内で一番印象に残った曲と
 して記憶しています。「はげ山の一夜」は、完全な標題
 音楽ですが、ディズニーの映画スタッフの画像イマジネー
 ションを掻き立てるのに十分な音楽の完成度だったのだ
 と思います。

・ムソルグスキーの肖像画は、赤ら顔でまるで酔っ払い
 が、名前を呼ばれてこっちを向いた様な絵です。事実、
 ムソルグスキーはいつも酔っ払っていたそうです。
 そんな放埓な生活を心配して、先輩や友人が彼を結婚
 させようと話を持っていった所、
 「結婚式の前日にムソルグスキーが首を吊って自殺した
 という新聞記事を見たいのか?」と切り返し、それ以降
 彼に結婚をすすめる人はいなくなったそうです。

 (210-2005/08/06記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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