♯ヒコさん心の一曲−きみがほしい(サティー)


・サティーの『きみがほしい』は、シャンソン風の曲と
 して、パリのモンマルトルのミュージック・ホールの
 歌手の為に書かれました。
 −窓からパリの夕暮れの雑踏を見下ろすサティー。
 少しばかりのおめかしもすんで、これから始まるミュー
 ジック・ホールの喧騒の中、彼はピアノと二人で仕事
 をこなしていくのです。それは、作曲家としては、
 不本意な仕事かもしれませんが、彼自身はその喧騒の
 カオスを「一人身の寂しさを忘れさせてくれるひととき」
 として、結構気に入っていたのかもしれません。
 (すいません、私の勝手な想像です。)

・今やエリック・サティー(1866-1925)は、有名作曲家
 の仲間入りをしました。しかし、サティーに私は、バッハ
 やブラームスより、人間的な親しみを感じます。また、
 同時代の印象派ドビュッシーとはかなり違う意味での
 「近代の音」を聞きます。
 サティーの「近代の音」とは、百年後の私達が感じて
 いるストレスをすでに表現している事と、その対処法
 としての「心の解放の糸口」をすでに音として私達に
 プレゼントしてくれているという意味です。

・サティーのもう一つの名曲「ジムノペディ」は、CMに
 使用される曲のベスト10に入ると思います。「薬のCM」
 にも「車のCM」にも使われています。ここにもサティー
 の「近代の音」が生きていると思います。最近知ったの
 ですが、この「ジムノペディ」をドビュッシーがオーケ
 ストラ曲に編曲しているそうです。機会があれば是非聞
 いてみたいものです。

・サティーが音楽学校で専攻を選ぶ時にピアノ科へ行けば
 ピアノ科の教授に「君は作曲科が向いている。」言われ、
 作曲科へ行くと「ピアノ科が向いている。」と言われ、
 たらい廻しにされたと書いています。その当時、彼の才能
 を見抜ける人は、少なかったのかもしれませんが、サティー
 自身は「百年後に僕の音楽は認められる!」と確信してい
 ました。そして、その通りとなりました。

 (211-2005/08/13記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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