♯ヒコさん心の一曲−火の鳥(ストラヴィンスキー)


・『火の鳥』というと手塚治の長編漫画を思い出される方も
 多いと思いますが、『火の鳥』の原型は、ロシアの古い
 民話です。
 −『火の鳥』を捕まえた人間に『火の鳥』は、自分の羽根
 を抜き取り「もしあなたが危険にさらされている時には、
 この羽根があなたを助けてくれるでしょう」といいます。
 そして、実際その羽根を使って危険から逃れます。
 ストラヴィンスキーの『火の鳥』では『火の鳥』以外に
 イワン王子や魔王カスチェイや王女等が登場します。
 手塚治は、この原型とストラヴィンスキーのバレイ音楽
 『火の鳥』を元に、古代から未来までの壮大な物語を組み
 立てたのだと思われます。

・ストラヴィンスキーは、『火の鳥』、「ペトルーシュカ」、
 「春の祭典」の3大バレイ曲を作曲しています。一番最初に
 作曲された『火の鳥』は、恩師リムスキー・コルサコフの
 影響が強く、彼の個性が真に確立するのは「ペトルーシュカ」
 以降と言われています。
 しかしながら、私は、『火の鳥』に一番惹かれます。
 『火の鳥』には、他のふたつに較べて、ロシア民謡からとった
 旋律がたくさん使われています。あらゆるオーケストラ技法
 を使って表現される『火の鳥』の神秘性、魔王カスチェイの
 魔力等、そして、その中に織り込まれるロシア民謡。
 もしかしたら、私はこのロシア民謡に惹かれているのかも
 しれません。

・今、ステレオからエルネスト・アンセルメ指揮の『火の鳥』
 が流れていますが、私が初めて聞いた『火の鳥』は、富田勲の
 シンセサイザー版でした。富田勲は、シンセサイザー独特の音色
 やポルタメント(違う音をなめらかにつなげて演奏する)を駆使
 してオーケストラでは表現できない『火の鳥』を創り出しており、
 とても感動した事を覚えています。

・私は、何故か『火の鳥』を聞くと理想郷「シャンバラ」に想いを
 馳せます。理想郷「シャンバラ」は、昔からいろいろと言い伝え
 られている中央アジアの「桃源郷」ですが、その存在さえ確信的
 な情報があるわけではありません。
 私は、「シャンバラ」のことを書いた本の挿絵にとても惹かれる
 ものがあり、それを見る時に聞こえてくるBGMが『火の鳥』
 なのでそこら辺が結びついているのかと思っております。

・あまり演奏されませんが『火の鳥』には、たくさん楽器編成での
 編曲版があるそうです。編曲者は、ストラヴィンスキー自身です。
 それは、晩年のストラヴィンスキーは、金が必要になるといろいろ
 な編曲版を作って、売っていた為と聞いています。

 (212-2005/08/18記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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