♯ヒコさん心の一曲−ヴォカリーズ(ラフマニノフ)


・ラフマニノフの『ヴォカリーズ』を初めて聞いたのは、
 深夜のFMラジオ番組「夜の停車駅」(?)のテーマ曲
 だと記憶しています。女性ヴォーカルの『ヴォカリーズ』
 は、番組名と絶妙な組み合わせでした。
 −夜の地方駅ホーム。最終列車を待つのは、私一人。
 薄暗いホームの片隅に、まだ迷っている自分の心を見る。
 「こうするのが一番いいんだ。こうするしかないんだ。」
 さっきから何度も同じ言葉で、心を説得している。
 すると『ヴォカリーズ』が左の耳に聞こえてきた。我に
 かえり、ふりかえると‥‥
 (ミステリー風になってしまいました。すいません。)
 
・『ヴォカリーズ』を聞くと二つの曲が浮かんできます。
 1曲目は、サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」
 です。理由は、『ヴォカリーズ』の1フレーズ(短調のメロ
 ディーの最後に現れる長調の部分)が、「明日に架ける橋」
 の「I will lay me down」と同じメロディー進行である
 為です。真似をしたという訳ではないと思いますが、私は
 聞く度にダブってしまう部分です。

・2曲目は、映画「プラトーン」のテーマ曲、バーバー作曲
 「弦楽のためのアダージョ」です。初めて聞いた時には、
 抜け道もなく底知れない「アメリカ人の苦悩」という感覚
 にとらわれました。その感覚が、最近は「日本人の苦悩」、
 特に「青少年の殺人」や「幼児虐待死」などの報道に置き
 換わって聞こえてきています。「殺人」や「虐待」の言訳
 が、幼稚だったり意味不明な点もとても気になる所です。

・大人は「なぜ人を殺してはいけないの?」という質問に
 回答しなければいけないのだそうです。
 皆さんは、どの様に回答しますか?私はまず「お前に他人
 を殺す権利はない。」と答えます。すると「俺の自由だ!」
 みないな言葉が返ってきます。
 私は、アメリカも日本も「自由と責任(義務)」−「人間
 社会で自由を行使する為には、それと同等かそれ以上の責任
 や義務を果たす必要がある。無償の自由などない。」という
 事をハッキリと教えていないと思います。
 自由主義=資本主義ではありませんが、物を売る為には、
 「自由」の面を強調しないと売れませんから、売る側は
 付属する「責任や義務」をぼかそうとします。

・大人は、私も含めて「責任や義務」の話より「自由」の方が
 身近で話しやすいから、後回しにしてしまい勝ちです。
 私達は、日本という経済的に物質的に恵まれた自由主義の国
 にたまたま生れただけだと思います。本当の「自由」とは
 何かをしっかり見つめ、次の世代に伝えていく義務があると
 思います。それには、大人が「自由と責任(義務)」について
 真摯に見つめ直すと共に、事例を通して子供にしっかり教える
 必要があると思います。その課程で子供からの「大人への信頼」
 も回復されてゆくと思います。
 (話がかなりとそれてしまいました。すいません。)

・ラフマニノフはロシア生まれですが、アメリカに亡命しました。
 その後、心の病気を患ってしまいました。医師の治療の結果
 全快した時に作曲されたが、あの有名な「ピアノ協奏曲第2番」
 です。心の病気と『ヴォカリーズ』の関係はわかりませんが、
 「疲れた心」に『ヴォカリーズ』で「心が少し元気になる」
 という式を私は何度か味わっています。

 (213-2005/08/27記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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