♯ヒコさん心の一曲−アラフェンス協奏曲(ロドリーゴ)


・ロドリーゴ作曲の『アラフェンス協奏曲』は、全三楽章
 のギターとオーケストラの為の協奏曲ですが、第二楽章
 のアダージョが飛びぬけて素晴らしい為、単独でこの
 楽章だけ、CD等には収められている場合が多いです。
 私が、初めて『アラフェンス協奏曲』を聞いた時のギター
 はナルシソ・イエペスでした。彼の演奏は、感情に走らず
 理知的で、神聖な気持ちにさせてくれた演奏でした。

・ギターの弾き下ろす短調の和音を伴奏に、オーボエが
 主題のメロディーを奏でます。心は、何もない平原を
 風のようにさ迷い始めます。『何かとても大切な物を
 置き忘れてきてしまった。』、『もう戻れないのだろ
 うか?』、『おかあさん‥‥』
 フルオーケストラの部分で、不覚にも涙をこぼして
 しまった事もありました。

・この第二楽章を聞いて「ナスカの地上絵を思い出す」
 と言った有名人がいます。日本のシンセサイザーの
 神様、富田勲氏です。もちろん、富田氏も第二楽章を
 シンセサイザーでクリエイティブしています。ロケッ
 トの噴射音のような効果音が入り、そのまま空へ
 そして宇宙へ引っ張りこまれる様な、ちょっと怖い
 音楽にクリエイティブされています。

・ご存知の通り「ナスカの地上絵」は、空の上からで
 ないと、造形の意味がわからない不思議な構造物です。
 富田氏の話を聞いてから、富田氏の『アラフェンス
 協奏曲』の第二楽章を聞くと、自分が空中遊泳をして
 「ナスカの地上絵」を空から見ている錯覚に陥るよう
 になりました。

・『アラフェンス協奏曲』の第一楽章と第三楽章は、ともに
 長調で、曲としてのできはそこそこですが、南国の太陽
 のように明るい楽章です。しかし、第二楽章は違います。
 ロドリーゴに音楽の神ミューズが、微笑んだ瞬間なの
 かもしれません。この一曲で彼の名は後世に残ることと
 なりました。

 (217-2006/08/05記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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