♯ヒコさん心の一曲−ふるさと(高野辰之 作詞/岡野貞一 作曲)
・息子がまだ三四歳の頃、寝つくまでいろいろな子守歌を歌って
聞かせておりました。
「カモメの水兵さん」、「海」、「もみじ」、「サッちゃん」、
「証城寺のたぬきばやし」、「線路は続くよどこまでも」‥‥
・息子がスヤスヤと寝息をたてはじめた頃、最後に歌っていたのが
『ふるさと』でした。小学校6年生で習った時には、「子供の思い
を率直に歌った歌」というより「大人になった人が『ふるさと』を
懐かしがって作った歌」という他人感覚で歌った覚えがあります。
しかし、40歳を過ぎて歌う『ふるさと』は、「心への迫り方」
が全然違っておりました。
・私の場合は、『ふるさと』=自分が生まれた土地、生まれ育った
土地=自分の生の原点⇒これまでの人生を振り返る‥‥
という様な展開でこの歌が、今までの人生をフラッシュ・バック
させる起爆剤となり「心への迫り方」が違ってきたのだと思います。
・特に三番の「志を果たして いつの日にか帰らん」は、人生をもう
半分過ぎた私にはいろいろな意味で心にしみる歌詞です。
「志を果たして〜 」=「故郷に錦を飾る」⇒「錦を飾る」という
には程遠い今の生活に思いをはせ⇒「少年老い易く、学なり難し」
という言葉が、心をよぎります。
・私の志は「一曲でいいから私の創った曲を後世に残したい!」です。
(音楽を志す者なら誰でも願う夢と言った方が、当たっているかも
しれません。)
私が今までに作曲した曲は、200曲を越えます。数曲はCD化
されました。演劇のBGMとして何曲かが使われました。
しかし、それで終わりです。
職業作曲家でない私であればこれだけできた事だけでも、素晴らしい
事であり、「良し!」と感謝すべき所なのかもしれません。
・また私は「売れない作曲家の苦しみ」を擬似体験しています。
世間から評価されない事や金銭的に厳しい状況の中で「自分を信じ、
志を高く持ち続ける事」は、たやすい事ではないと擬似体験して
います。まして家族を養う事は更に大変となります。
・仏教に「求不得苦(ぐふとつく)−求めても得れない苦しみ」という
言葉があります。
「人は永遠に「求めて」生きていくのだと思います。それは向上心
となったり、欲望と呼ばれたりしますが、それが人をアクティブに
させるトリガーになっている場合も多々あります。」
・屁理屈に聞こえるかもしれませんが
「志を果たして いつの日にか帰らん」の「いつの日にか」は、
まだやって来ていないのです。
「人生は結果でなくて生きざまである。」という言葉があります。
私は、その「いつの日にか」を実現しようと死ぬその日まで努力
する事に「人生の意味」があるのではないかと思います。
・『ふるさと』は、普遍性を持った素晴らしい歌だと思います。
日本人共通の『ふるさと』への思いの代表選手なのだと思います。
二番の「いかにいます父母 つつが無しや友がき 」と父母や友を
を思いやる気持ちは、歳を加える毎に身にしみてきます。
二十歳の時に亡くなった母は、今でも時々夢に現れます。夢に
現れる母は、何かを話しかけてくるわけではないのですが、いつも
私のそばにいる事を強く感じさせてくれます。そして夢からさめた
後も、私に「生きる力」を与えてくれている様に思えます。
(301-2005/02/13記)
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。