♯ヒコさん心の一曲−男はつらいよ(山本直純)


・山本直純(なおずみ)という作曲家をご存知でしょうか?
 昔、日曜日の朝「オーケストラがやってきた」で、司会と
 指揮をやっていた「ヒゲもじゃ」のおじさんです。
 チョコレートのテレビCMにも出ていて「大きいことは 
 いいことだ!」と指揮をしながら歌っていました。
 童謡では、「一年生になったら」、「歌え!バン!バン!」、
 「だれもしらない」などを作曲しました。
 映画音楽もたくさん手がけましたが、何といっても、最大の
 ヒット曲は、フーテンの寅さんのテーマ曲『男はつらいよ』
 です。

・イントロを聞いただけで、私には、昭和30年代の夕暮れの
 街角が、浮かんでくる『男はつらいよ』。まだ戦後の貧しさが
 記憶に残る昭和30年代。「もう戦後ではない!」「明日は、
 今日より必ず良い日」。日本中が一つの心となって、復興の
 確かな手ごたえを素直に喜んでいたあの頃。
 正月の娯楽映画といえば、フーテンの寅さんシリーズ。
 そしてテーマ曲は、山本直純作曲『男はつらいよ』でした。

・フーテンの寅さんシリーズは、48作作られましたが、渥美清
 が、元気でいてくれたら、50作以上作られていたと思います。
 フーテンの寅さんの「失恋」と「フーテンの旅路」。
 水戸黄門の印籠の様に、最後はわかっているのに、渥美清の顔
 とほのぼのとした心持ちで映画館を後にしていました。
 もちろん、この映画が日本人の心の郷愁を誘うのだと思いますが、
 テーマ曲も「これ以上ない!」というほどマッチしていたのでは
 ないでしょうか。

・『男はつらいよ』の曲といっしょに「心に浮かぶ風景」は、私
 には、特別なワンランク上質のものです。
 山本直純は、子供の頃からクラシック音楽を猛勉強して、西洋
 音楽の作曲技法を体得しました。私は、「そのベースがあった
 からこの名曲が生まれた」と思っています。そして「クラシック
 の音楽家が、日本人の心の故郷ような『男はつらいよ』を作曲
 した」。これ自体が、何故か、私にはとてもうれしいのです。
 「山本直純 万歳!」といいたいくらいうれしいのです。
 
 (307-2006/09/23記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

BACK  INDEX  NEXT