♯ヒコさん心の一曲−君は悲しみの(イルカ)


・フォークシンガー イルカの曲というと、どの曲を思い出し
 ますか?イルカの冠詞までつく「なごり雪」。「海岸通り」。
 「雨の物語」。このイルカの3曲のヒットは、すべて同じ
 アーティストの曲です。そのアーティストとは、伝説のフォ
 ークグループ「かぐや姫」のリードギター(?)、そして
 「かぐや姫」解散後は、「風」というグループを作り活躍
 した伊勢 正三です。「かぐや姫」時代には、「22歳の
 別れ」を、「風」時代には、「あの唄はもう唄わないので
 すか」等のヒット曲を世に送り出しています。

・イルカのオリジナルヒット曲というと「サラダの国からきた
 娘」や『君は悲しみの』等があります。
 「サラダの国からきた娘」というと−大学時代に入っていた
 フォーク同好会の部室で一人、この曲を歌っていたところへ、
 ブルースバリバリのN先輩が入ってきて「こんな歌は、女が
 歌う曲だ!」と言って、ケイベツの目(?)で見られた事を
 思い出します。当時としては、少女趣味ながら良くできた曲
 だと関心していたのですが‥‥

・「♪昨日の事さえ 思い出せないほど 僕はいつも疲れてた」
 で始まる『君は悲しみの』。中学の頃から詩を書き始めて、
 その半分が「人生の空しさ」を題材としていた私には、心の奥
 の方で共振する始まりでした。歌詞の中でいっしょに暮らす女
 の娘(?)は、そんな男に何も言わずジャスミン茶を出して
 くれるような人でした。

・2番の始まりは「♪何もつげずに 一人旅に出て‥‥」です。
 男は、女のやさしさがわかるし、ありがたく思った事も何度も
 ありますが、こんな行動に出てしまうのです。まるで、女の愛
 を試すかのように‥‥
 しかし、男は「自分の虚しさ」だけを拡大鏡で見ているような
 今の生き方を変えられない。そして、女をこう呼ぶのです。
 「♪君は悲しみの 安らぎの人」
 
・イルカの『君は悲しみの』とユーミンの「あの日に帰りたい」
 の共通点は、両方とも女性スキャットで始まる点です。
 両方とも目の前に情景が浮かぶほどストーリー性の高い曲です。
 ユーミンは「私は、生活臭さのする音楽は創りたくない」的な
 発言をしていますが、確かに帰国子女のような上品さが漂う曲
 が多いような感じがします。中島みゆきのCDも本もほとんど
 持っている私。ユーミンの才能はすごいと思いますが、私の肌
 には今ひとつしっくりこない音楽です。

・イルカの『君は悲しみの』は、「生きる意味」を模索するような
 生活臭さプンプンの曲かもしれませんが、イルカのアルトな声と
 歌詞のストーリー性が、透明な世界を作っている「とてもいい曲
 である」と、今でも思っております。
 「本当に大切な物は失ってからわかる」−このような悟りが、男
 の頭にひらめく時が、いつかくるような気がしてしかたありません。

 (315-2006/03/02記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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