♯ヒコさん心の一曲−ねこの森には帰れない(谷山浩子)
・世界一有名なコンセプト・アルバムと言うとビートルズの
「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・
バンド」だと思います。アルバムタイトル曲から始まり
「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」
の歌詞に出てくる「万華鏡」という言葉さながらに心とき
めく曲が続き、タイトル曲のリプライズ、そして圧巻の
「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」。聞き終わった後の充実感
は、ワンランクもツーランクも上のものです。
・しかし、ジョンは『「サージェント・ペパーズ〜」は、僕が
コンセプト・アルバムと言ったからそうなったなっただけで
あり、たとえば「ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット
・オブ・ミスター・カイト」(アルバムの中の一曲)は、
別のアルバムでも全然問題ないよ。』と言いました。
しかし、「サージェント・ペパーズ〜」は、ある一定以上の
パワーを持った曲が、珠玉の様に結集した屈指のロック・
アルバムだと思います。
・谷山浩子の『ねこの森には帰れない』(1983年12月発売)
を聞くと、このコンセプト・アルバムという言葉が浮かびます。
私がコンセプト・アルバムと思う理由は、後半の5曲が、あまん
きみこ作の創作童話「車のいろは空のいろ」をもとに作曲されて
いるからかと思います。
オープニングの「朝の扉をひらく時」の、途中から入ってくる
混声合唱は、いつもハッとさせられる個所です。
タイトル曲『ねこの森には帰れない』は、いろいろと想像させて
くれる楽しい曲です。
・あまんきみこ作「車のいろは空のいろ」をもとに作られた曲たち。
「すずかけ通り三丁目」−空襲で亡くなった子供と遊ぶ為に松井
さんが運転するタクシーに乗った女性。「真珠湾攻撃」のラジオ。
アルバムの中で色合いの違う一曲となっております。
「おさかなは あみの中」−金子みすずを想い起こさせます。
「山猫おことわり」−松井さんが知らずに乗せてしまった山猫。
実は母親が病気となり急いで家に帰ろうとしている親孝行な
山猫だったのです。
「くま紳士の身の上話」−クニ河内のおっとりくまさんの声が
なんとも味があります。
「本日は雪天なり」は、吹雪の公園、目の前を飛び回るキツネ、
はしゃぎ回るキツネ、そんな中とまどうタクシー運転手の松井
さん−このユーモラスな光景が目の前に浮かぶだけでも良く
できたアルバムかと思います。
・クニ河内は、「山猫」、「くま紳士」、「きつねの司会者」、の
ピッタリはまった声優(?)だけでなく、これらの曲の編曲も行っ
ているのです。恐るべき才能ですネ。
今では「渡る世間は鬼ばかり」のテーマ曲作曲者として有名な
羽田健太郎もピアノのセッションミュージシャンとして参加して
おります。
・谷山浩子というと「土曜日のタマネギ」を斎藤由貴がカバーし
たり、NHK「みんなのうた」の「まっくら森のうた」が有名か
と思います。CMソングでは「風になれ−みどりのために−」
があります。私は『ねこの森には帰れない』のアルバムを初め
として、彼女のアルバムを何枚かの持っています。彼女のアル
バムを聞くとその独特の「ファンタジーの世界」と何故か
「一人ぼっちの寂しさ」の様なものを感じます。
・中島みゆきと谷山浩子は、ヤマハ所属(?)の先輩・後輩の
関係です。「オールナイト・ニッポン」でお互いにゲストに
呼び合っていました。「オールナイト・ニッポン」の中で
中島みゆきが谷山浩子にジョイント・コンサートをやろうと
言った事がありましたが、もしそれが実現するのであれば、
私は、万難をはいしてコンサートに行くつもりです。
(316-2005/04/09記)
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。