♯ヒコさん心の一曲−ヘルプ(ビートルズ)


♪助けて! 誰か
 助けて! 誰でもいいわけじゃない でも
 助けて! 誰か お願いだ

・21世紀の普通の若者、いや日本人、いや全人類が潜在意識
 の地下水脈で繋がっている、共通の心の叫び。
 (人によって声の大きさは違いますが)
 『助けて!』⇒「誰に?」、「何を?」、「どうやって?」
 『とにかく助けてくれ』⇒「それじゃ、どうしていいか、
 わからないよ?」‥‥。
 『助けて!』『助けて!』と、叫ぶばかりで原因も対処法も
 わからずノタウチまわり、一部では非人間的な凶悪犯罪と
 なって現れる。

・「謝らない殺人犯」、「笑う殺人犯」、「乳飲み子の虐待死」、
 「ホームレス殺人」、「イジメによる自殺」‥‥。
 「人を殺したらどうしていけないの?」の質問にいたっては、
 思わずため息が出てしまいます。
 『ヘルプ』が発表された1965年当時、この曲は「ジョン
 の心の叫び」と言われていました。しかし、時を経て、更に
 普遍的な意味と力を持つようになったと、私は思います。

・二作目の映画サウンド・トラック・アルバム「ザ・ビートルズ
 4人はアイドル」のテーマソングが、この『ヘルプ』です。
 B面には、永遠のスタンダードナンバー「イエスタディ」が
 あり、ジャケットの人文字「HELP」がトレードマークの
 ご機嫌なアルバムです。映画も前作の「ビートルズがやって
 来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」の白黒ではなく、カラーです。
 「カラーで動くビートルズ!たまりまへんな〜〜」と何度も
 映画を見て、今はDVDで楽しんでいます。

・「カイリ教」の生贄のシーンから始まり、ビートルズの家
 (四つドアがあるが、中は一部屋)、冬のアルプスのスキー
 シーン、イギリスのストーン・ヘッジでの録音シーン(戦車
 に囲まれながら)、バッキンガム宮殿でのガスのシーン、
 そして、南国の光溢れるバハマ島でのドタバタシーン 等
 カラーの上にカラフルな場面展開に、観客も大喜び。
 この映画で、生まれて初めてスキーをやったビートルズも
 大喜びでした。

・カーペンターズの「ヘルプ」って聞いた事がありますか?
 カーペンターズのデビュー曲は、ビートルズの「涙の乗車券」
 でしたが、同時期に「ヘルプ」にも挑戦しています。
 リチャードの巧みなアレンジと若々しいカレンの声、私は、
 アメリカナイズされたカッコいい「ヘルプ」だと思います。

・では、ディープ・パープルの「ヘルプ」はどうですか?
 テンポを落として、ボーカルも湿り気味。ジョン・ロードの
 オルガンが求道者を思わせます。「ヘルプ」を若者の心の
 叫びとして、素直にとらえた、涙目の「ヘルプ」です。
 でもこれはこれで、味があります。
 名曲はどのようにアレンジしても「型くずれ」しませんね。

・本家本元ビートルズの『ヘルプ』。解散後に、ジョンは、
 「ビートルズ時代のベスト作品は?」と聞かれて、迷わず
 『ヘルプ』と答えています。この『ヘルプ』というアルバム
 から単純なラブ・ソングや、ビート前面のロックン・ロール
 との決別や、スタディオワークによる緻密な音作りが始ま
 リます。「ラバー・ソウル」、「リボルバー」。そして、
 ロック音楽の金字塔「サージェント・ペッパー」と続く
 音楽大革命の始まりの一曲です。
 
 (509-2006/12/30記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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