♯ヒコさん心の一曲−ミッシェル(ビートルズ)


・1964年に公開されたフランス映画「シェルブールの雨傘」は、
 当時19歳だったフランスの美人女優カトリーヌ・ドヌーブの代表
 作です。ストーリーは、若い恋人達の悲恋物語ですが、セリフが
 すべて歌で構成されていて、ミュージカル映画の新しいスタイルを
 生み出した作品としても、高く評価されています。
 女は、恋人との愛を捨てて、金持ちとの打算的な結婚を選択します。
 最後は、夜の雨のシーンです。車に乗った金持ちの妻と子供が、
 ガソリンスタンドに立ち寄ると、そこで働いていたのは昔の恋人
 でした。二人はお互いをチラッと見ますが、無言のまま別れます。
 最後の絵は、走り去る車の中、何ともいえない表情のカトリーヌ・
 ドヌーブでした。

・「シェルブールの雨傘」で忘れられないのが、一度聞いただけで
 耳に残るあの切ないテーマソングです。作曲は、映画音楽の巨匠
 ミッシェル・ルグランです。主メロディーの出だしの半音進行は、
 天才的なヒラメキであり、「人間の根源的な哀しみ」を、見事に
 表現していると思います。
 この曲には、雨音を表す様な中間部があります。「雨の中、物思い
 に立ち止まる」という感じですが、少しテンポ・ルバートで揺らすと
 とても、感情がこもるメロディーです。そして、また主メロディーへ、
 この対比もやはり、映画音楽の匠(たくみ)のワザだと思います。

♪ミッシェル 僕の恋人
 ほら とてもいい響きだろう
 僕のミッシェル

 ‥‥(フランス語歌詞で繰り返し)
 
 愛してる 愛してる 愛してる
 伝えたいのはこれだけ
 僕は この言葉を繰り返すよ
 ほかの方法が見つかるまで
 そして、君にわかってもらえるまで

・ポールの名バラードで、他のアーティストのカバーも多いこの
 『ミッシェル』は、ビートルズのアルバム「ラバー・ソウル」の
 7番目の曲です。「ミッシェル」は、フランスの女の子です。
 なぜなら、イギリスの女の子ならば「ミッチェル」と発音する
 からです。歌詞の一部がフランス語になっているのもその為です。
 フランスでは、前述のミッシェル・ルグランのように、男にも
 「ミッシェル」という名前をつける様です。
 イギリスとフランスは、ドーバー海峡を挟んで、隣の国です。
 古くからいろいろと影響し合った国同志で、『ミッシェル』の
 中にはイギリス人の「フランスへの憧れ」も、あるのではないか
 と、私は思ったりします。

・じゃぁ「ミッシェル」は、どんな顔・形だったのか?
 私は、前述のカトリーヌ・ドヌーブの顔が浮かんで来るのです。
 フランスに行った事がないのですが、テレビなどで見る限り、
 フランスの女の子は、みんなカトリーヌ・ドヌーブか、「青い目
 のフランス人形」様な顔・形ばかりと思えてきます。この曲の
 『ミッシェル』も、当然「素敵な青い瞳の美人」に違いないと
 勝手に想像してしまい、「ボン・ジュール」とお話したいにぁ〜
 と一人でニヤケルている私なのです。

・「♪愛してる 愛してる 愛してる」は、一番。
 「♪君が必要だ 君が必要だ 君が必要だ」は、二番。
 「♪君が欲しい 君が欲しい 君が欲しい」は、三番。
 だんだんエスカレートしてくる歌詞。でも、英米問わず、
 「I Love You!」、「 I Need You!」、「I Want You!」は、セット
 で使われる事が多いです。デープ・パープルの「ストレンジ・
 ウーマン」では、この三つが連発で使われています。
 日本の女の子だったらどう反応するでしょうか?

・私は、『ミッシェル』という曲の生まれたきっかけについての記述を
 読んだことはありませんが、「戦後のフランス映画」、ちょっと白黒
 映画のようにぼやけた映像が浮かんできます。どの映画というより、
 「フランス映画独特の香り」がする昔の映画です。
 でもポールは、フランスのギャング映画を見ても『ミッシェル』の
 ような素晴らしいバラードを書ける天才だと思うので真相はわかり
 ません。
 後年のビートルズのアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」の
 名曲「フール・オン・ザ・ヒル」のミュージック・ビデオの撮影の為、
 ポールは、フランスに行っています。
 フランスの山の上に立ち、市場でレモンを持って立ち、フランスの
 田舎道をコートを着ながら大胆にスキップ‥‥
 ポールは、撮影という事以上に高揚しているように私には見えます。

 (511-2007/1/14記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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