♯ヒコさん心の一曲−イン・マイ・ライフ(ビートルズ)


・「横浜」は、港の見える丘公園、外人墓地、元町、中華街等
 の観光スポットがあり、童謡「赤い靴」のモデルともなった
 異国情緒溢れる港町です。観光やショッピングで「横浜」に
 訪れる人は多く、街はいつも活気にあふれています。
 私は「横浜」に行くと、大都会東京のフインキとは一味違う
 「横浜独特の落着き」のようなものを感じます。何か空気の
 濃度さえ違う様に思えてきます。

・「横浜駅」から電車で二つ先が「関内(かんない)」の駅です。
 「関内」の「関」は、外人居住区と境に、関所(せきしょ)が
 あったことに由来すると聞いています。
 関内駅を降りて、山下公園のある港方向へ歩いて行きます。
 空にそびえる照明灯は、横浜スタジアムのシンボルです。
 中華街の派手な門の横を通り、赤レンガの建物の横を歩いて
 行きます。街路樹の木漏れ日が、赤レンガの建物と歩道に
 こぼれて光った時、突然、ビートルズの曲が、私の耳に聞こ
 えてきました。『イン・マイ・ライフ』のピアノ間奏です。

♪忘れられない場所がある
 昔の面影が 瞼に浮かぶ
 良くも 悪くも永遠に変わらない
 無くなっていても まだあったとしても

 かってそこで同じ時を過ごした
 恋人や友人
 亡くなった人 元気でいる人
 みんな 僕の人生で愛した人達だ(In My Life I've Loved Them All) 

・『イン・マイ・ライフ』は、ビートルズのアルバム「ラバー・
 ソウル」の11番目の曲です。ジョンの人生に対する姿勢や
 恋人や友人への思いを、素直に歌いあげた素晴らしい曲です。
 ここでいう場所とは、故郷リバプールのペニー・レーンだと
 言われています。
 作曲したジョンは、プロデューサであり、編曲も手がけた
 ジョージ・マーティーンに「エリザベス調のピアノを弾いて
 欲しい」とお願いしました。その要望に見事に答えて出来上が
 ったのが、この格調高い間奏のピアノメロディーです。
 このエリザベス調メロディーが『イン・マイ・ライフ』の格調
 を高め、曲への愛(いと)おしさを増していると、私は思って
 います。エリザベス調とバロック調のハッキリとした違いは、
 わかりませんが、「対位法」の音楽であるという点は共通して
 いる様です。

・私は、小学校の音楽鑑賞で聞いたバロック音楽の巨匠バッハの
 「小フーガト長調」以来、「対位法」の曲にとても魅かれていま
 した。「対位法」とは、二つ以上のメロディー(ニ声といいます)
 が、絡み合いながら作られている音楽です。輪唱やカノンが発展
 して完成された作曲技法の一つです。ピアノで例えれば、左手と
 右手が、対等に会話をするというイメージです。「対位法」の曲
 が、盛んに作曲されたのはバロック時代で、その最高峰であり、
 完成者は、ヨハン・セバスチャン・バッハでした。

・バロック音楽の次は、古典派と呼ばれ、モーツアルトやベートー
 ベンの活躍した時代です。その頃の音楽は、ピアノで例えれば、
 左手は伴奏専門で、右手はメロディー専門という感じです。
 右手のメロディーの切れ目で、左手がワンポイントのメロディー
 を入れる事はありますが、対等に会話をするという感じでは
 ありません。古典派の時代 「バッハ(=対位法)は旧い」と
 言われ、「両手を対等に動かす為の練習曲」程度の扱いでした。

・バッハの再評価は、作曲家メンデルスゾーンが、バッハのオラ
 トリオ「マタイ受難曲」を再演した事から始まりました。
 その後、世界中でバッハの音楽、バロック音楽が演奏される様
 になった事は「素晴らしい芸術は、時代を超えて愛される」
 という事の一つの証明だと思います。
 
・横浜港の赤レンガの建物と木漏れ日と『イン・マイ・ライフ』。
 結びついた理由は、はっきりとはわかりません。
 ♪みんな 僕の人生で愛した人達だ(In My Life I've Loved Them All)
 の歌詞とバロック調のピアノ間奏。
 五十歳真近の私には、この二つが一体化して、えも言われぬ人生
 への愛(いと)おしさがかもしだされて、心に届いたのではないか
 と、今では思っています。
 
 (512-2007/1/20記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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