♯ヒコさん心の一曲−フール・オン・ザ・ヒル(ビートルズ)
♪あいつは毎日 丘の上でひとり
物言わぬ顔は 薄ら笑いさえ浮かべ
人に避けられていることも
馬鹿呼ばわりされていることも
他人事のようにやり過ごしている
丘から沈む夕日を眺めるあいつ
その心の眼は 地球の回転を見つめているんだ
・「マジカル・ミステリー・ツアー」は、ビートルズがクリス
マス用に作成したテレビ番組のサウンドトラック版です。
トランペットがイカすテーマ曲「マジカル・ミステリー・
ツアー」の次、2曲目が『フール・オン・ザ・ヒル』です。
最初の四回鳴るコードは、D6(ディーシックス)という
何か憧れを含んだような響きのするコードです。
このD6のコードだけで、私は名曲の香りを感じてしまいます。
・「マジカル・ミステリー・ツアー」は、リンゴとリンゴの
とても太ったおばさんとビートルズの仲間が、バスツアーを
するという物語です。決してストーリー性が高いわけでは
ありませんが、背景や特殊効果がビートルズの音楽に具象・
抽象の意味を加えて、ファンにはたまらない番組でした。
・「丘の上の馬鹿」、「馬鹿の高上がり」、「お山の大将」、
「高みの見物」、「裸の王様」、「孤高の人」‥‥
⇒物理的や地位的に高い所に昇った人に対して、やっかみ
半分で、何かと人は、とやかく言います。
悪巧みとして、能力以上の地位を与え、失敗をさせて、人を
落しいれる、昔からの策略人事もあります。
・「丘の上の馬鹿」とは、誰でしょうか?ポール自身?
ジョンを皮肉っている?リンゴ?ジョージ?
自分自身に当てはめてみると⇒「丘の上の馬鹿になるのは
イヤだ!」−でも、これは相対的な考え方です。人生の幸福・
不幸は、相対的な考え方による場合が多いからです。丘の上
からは「丘の下の馬鹿」が、丸見えなのかもしれません。
・仏教に「中道(の生き方)」という言葉があります。丘の上
でも、丘の下でもない生き方、言ってみれば丘の中腹の生き方。
「中道」と「(物事に)こだわるな」の二つが、人生の隅々
まで実践できれば、とても「心の平穏が保たれた日々が送れる」
と言われています。しかし、我々凡人が、日々の生活の中で
実践してゆく事は、「言うは安し 行うは難し」です。
・小説「宮本武蔵」を書き上げた吉川英治は、「我以外は皆師」
という言葉を、自訓の銘としていました。自分をヘリ下げると
いう意味ではなく「周りの人々のいい面も悪い面も認め、自分
の人生の糧にする。」というある意味、何でもありのズル賢い
考え方に取ることもできますが、‥‥
我々凡人には「あんな奴が俺の師なんかになられてたまるかよ」
という人間が一人や二人は必ずいます。この言葉も「素直な心」
と「(物事に)こだわるな」が揃って、初めて実践できる「言う
は安し 行うは難し」の言葉だと私は思います。
・「♪丘から沈む夕日を眺めるあいつ その心の眼は 地球の回転
を見つめているんだ」
私には、この男の「心の眼」は、人生を「丘の上」からも「丘の
下」からも見れる複眼的な眼の様に思えてなりません。その眼
には、「達観した境地」、「涅槃の境地」が映っているのかも
しれません。
(517-2007/2/24記)
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。