♯ヒコさん心の一曲−ストロベリー・フィールズ・フォーエバー(ビートルズ)


・『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』
 「いちご畑よ 永遠に」、別名「孤児院よ 永遠に」。
 「ストロベリー・フィールズ」は、文字通り「いちご畑」ですが、
 子供の頃、ジョンが遊び場にした孤児院の名前でもあります。
 ビートルズの事を書いた本には、よく孤児院の入口の写真
 (鉄パイプの赤い観音開きの門)が載っています。また、今では、
 ペニーレインと共にリバプールの観光名所になっているそうです。
 
♪僕といっしょに 行こう
 ストロベリー・フィールズへ
 そこでは現実がないから 何にも囚われない
 ストロベリー・フィールズよ 永遠にさ

 ‥‥

 僕の樹には 誰もいないようだ
 僕の樹が 高いか?低いか?
 僕自身が何であるか? 
 理解できる人はいない
 でも かまわないさ
 僕にとっては それはほとんど意味のない事だから 

・『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』は、言葉遊びの
 世界ですが、私は「無邪気だった昔へ戻りたい!」というジョン
 の願望を感じます。「ヘルプ」では「今より若い頃は良かった〜」
 と、あからさまに歌っていますが、『ストロベリー・フィールズ・
 フォーエバー』では、子供時代の遊び場を、引き合いに出して、
 抽象化して、同じ願望を歌っているように思えます。ある意味で
 「現実からの逃避」願望です。

・『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』は、音遊びでも
 あります。フクロウの泣き声、シタールの下降音、宇宙靴の音
 と、盛り沢山です。聞いていると、頭の中に音とイマジネー
 ションが溢れて、耳からこぼれ落ちそうになります。
 しかし、言葉と音の遊びが絶妙なバランスで完成をみている。
 「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」
 では、アルバム一枚で完成させた物を、一曲で完成できる程に、
 ビートルズの感性と技巧が、一番盛り上がっていた時期の作品です。

・「ストロベリー・フィールズ」−「そこでは現実がないから 
 何にも囚われない」。私は、般若心経の「色即是空 空即是色
 (しきそくぜくう くうそくぜしき)」に通じる想念を感じます。
 般若心経の「色」は、「実世界で起こるすべて」を指し、そして、
 すべてが「空(くう)」であるのだから、「こだわるな、囚われ
 るな」と説きます。例えば、「富、名誉、地位 等にこだわるな!
 囚われるな!人生の目的は、それを得る事ではないのだから」と
 説かれます。
 
・ビートルズの四人は、富も名誉も、そして女王から勲章までまらい
 ました。一生かかっても使い切れない程の富です。世界中にファン
 がいて、世界中の新聞に載りました。
 しかし、ジョンは、立ち止まり、孤児院の庭で無邪気に遊んでいた
 頃を思い出しながら「自分とはいったい何者なのだろうか?」と、
 問い詰めます。そのヒネリの効いた素直でファンタジックな答えが
 『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』なのだと思います。

 (518-2007/3/3記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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