♯ヒコさん心の一曲−アイ・ウイル(ビートルズ)


・ビートルズの「ホワイト・アルバム」(2枚組)は、ポップス、
 ハード・ロック、ジャズ、抽象音楽実験と宝が隅から隅まで
 詰まった宝箱のようなアルバムです。
 「バック・イン・ザ・U.S.S.R」に始まり、「ジュリア」
 で終わる1枚目。「バースデイ」に始まり、リンゴが歌う
 「グット・ナイト」で終わる2枚目。枚数が増えたせいで、
 ジョージとリンゴの素晴らしい曲もたくさん入っています。
 ですから、私は「ビートルズ4人の創作パワー全開時期の
 結実アルバムである。」と考えています。
 
・1枚目の15曲目は「ホワイ・ドント・ウィ・ドゥ・イット
 ・イン・ザ・ロード」、「道路の真ん中でぶちかまそうぜ!」
 くらいの意味ですが、何を?「ライブ」、「怒鳴りあい」、
 「喧嘩」‥‥?歌い方からは「平和的な事」には思えません。
 この曲のレコーディングにジョンは参加しておらず。後から
 「いいじゃないか(上等じゃないか)」と言ったとか?
 この曲がブッチギレルように終わると『アイ・ウイル』です。
 
♪誰も知らない 僕の君への愛
 今だって 君の事で心はいっぱいさ
 「一生 一人で淋しく生きる?」
 君が望むなら そうするよ(『I Will』)

‥‥

 今度 また君に会えた時には
 君に歌を 歌って欲しいな
 大きな声で 僕によく聞こえるように
 君のそばが 一番心安らぐ所だから
 君のすべてが いとおしくて仕方ないから
 また会おう そうしよう(『I Will』)

・ポールの少し鼻にかかった声。キラメキのフォークギター。
 未だに何を叩いているか不明の打楽器。前曲「ホワイ・ドント
 ・ウィ‥」もポール。そして『アイ・ウイル』もポール。
 もちろん同一人物です。別々に作られた曲を落差効果を狙って、
 並べたのだと思いますが、初めて聞いた時から効果てきめん。
 ブッチギレから『アイ・ウイル』の世界へ、スーッと入って
 しまう。「喧嘩」から「片思いラブソング」へ。
 いつも『アイ・ウイル』で救われたような気分になります。
 「うん!うまい、座布団一枚!」という所でしょうか。
 
・私は、この曲はポールの最初の妻リンダの事を歌っているよう
 に思えます。この曲のアイデアは、ビートルズ4人でインドに
 行った時に浮かんだとポールは言っています。その時、ポールに
 同行したのは、ジェーン・アッシャーでした。ポールとジェーン
 の付き合いは長く、結婚すると考えられていましたが、後に婚約
 解消してしまいます。「永すぎた春」という感じでしょうか?
 その後、ポールはアメリカ人のリンダ・イーストマンと結婚し
 ます。彼女は、バツイチの子持ちでした。
 ニュースは「ビートルズ最後の独身男、結婚!」と報道しました。
 
・リンダは、ポールにとって最高の伴侶だったようです。ビートルズ
 解散後のソロ活動時期、ウィングスのバンド活動時期にボーカルや
 キーボードで参加しています。リンダは、カメラマンの仕事はして
 いましたが、ミュージシャンではありませんでした。ポールの指導
 が良かったのか、リンダの愛が深かったのか、ステージ、アルバム
 ジャケットにとメンバーとして、かかせない存在となっていました。

・時期的な詳しく関係はわかりませんが、リンダと出会い、何かを
 感じたポールは、「再会を願い『アイ・ウイル』を録音した?」と、
 いうのが、私のイメージです。
 リンダと結婚してポールは、変わりました。ベジタリアンのリンダ
 の影響を受けて、ポールの食生活も変わったと聞いています。
 リンダがガンで他界する数日前、馬に乗って二人は、ポールの牧場
 を走ったそうです。私には、二人の間柄と愛の深さを現す、とても
 微笑ましい光景が想像されました。
 
 (520-2007/3/17記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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