♯ヒコさん心の一曲−ヒア・カムズ・ザ・サン(ビートルズ)


・昔、レコード版「アビイ・ロード」のB面に針を落とす時は、
 他のアルバムより、ちょっとワクワク気分いっぱいの心で、
 耳をすましたものでした。ジョージのフォーク・ギターの
 ソロから始まる『ヒア・カムズ・ザ・サン』です。
 若干、フェード・インぎみ。(小さい音から入り、少しづつ
 音量を大きくして技法)イントロの終わりは、シンセサイザー
 の下降する丸い音、まるで空から何かがゆっくり降りて来る
 ようです。

・一番は、ほとんどフォーク・ギターに乗せたジョージの
 ヴォーカルです。まだ、冬の気分をひずっている感じです。
 二番とのつなぎ、D9thコードアルペジオから、ドラム、
 ベース等のリズム・セクションが加わり、乗ってきます。
 そう!「巡航速度」という感じです。ジョン、ポールの
 コーラスも加わります。本当に明るい日差しがやって来
 ました。

♪太陽が やってきて
 光が あふれ始めた 
 僕は ハッキリ言える
 「もう 大丈夫」だと

 恋人よ 見てごらん
 氷が溶けはじめているよ
 恋人よ 感じてごらん
 久しぶりの太陽の暖かさを
 僕は ハッキリ言うよ
 「もう 大丈夫」だと

・「アビイ・ロード」と「レット・イット・ビー」の制作と
 発表順序が逆である事は、ご存知の方も多いと思います。
 「レット・イット・ビー」は、ビートルズの制作現場を、
 包み隠さず映画に撮り、最後にライブ演奏で終わるという
 コンセプトのもと、映画とアルバム発売をするという計画
 でした。
 しかし、失敗した演奏テイクやメンバー間の不穏な会話も
 含む長大なマスターテープです。ビートルズはアルバム化
 する作業を、「ウォール・サウンド」で有名なプロデューサ
 「フィル・スペクター」に託しました。

・さすの「フィル・スペクター」も、簡単な作業ではなく、
 時間ばかりが過ぎていきました。昔からのプロデューサ
 「ジョージ・マーティン」は、「レット・イット・ビー
 を最後に、ビートルズというバンドは解散する」と暗に思
 っていました。そこへポールから「ビートルズでもう1枚
 作りたいんだ。」と電話が入り、完成したのがアルバムが
 「アビイ・ロード」でした。ビートルズの4人は「これが
 最後のアルバム」と共通認識していたのか、作業は、順調
 に進み、「レット・イット・ビー」より先に世に出る事と
 なり、アルバムとしても爆発的なセールスを上げました。
 
・「アビイ・ロード」では、始終回っていた映画カメラに
 惑わされる事もなく、音楽製作に集中できたようです。
 リンゴも「ビートルズがいい演奏をしている時は、普段の
 モヤモヤもすっ飛んで、音楽に集中できるんだ!」と、語
 っていました。
『ヒア・カムズ・ザ・サン』。
 長い冬が終わり 春の日差しがやって来た。
 いがみ合っていた時期が終わり 融合の時がやって来た。
 ⇒ビートルズは、まだやれるのではないか?
 もしかしたら、ジョージは、この感触も含め、歌にしたの
 かもしれません。私の勝手な想像ですが。

 (525-2007/4/22記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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