♯ヒコさん心の一曲−お体を大切に(ポール・サイモン)


・かなり個人的な事でも、カミングアウトしてしまうアメリカ
 では、「心の病」の予防や治療の為、かかりつけ医師を持つ
 事が、一つのステータスとなっているそうです。
 「現代人のストレスによる心の疲れ」を病気と肯定する。
 他人の目を病的に気にしなくてよい分、「心の病」になった
 人には、とても頼もしい社会現象だと思います。
 「うつ病は心の風邪」という標語の普及が遅れている日本で
 カミングアウトした場合、「エッ!あの人精神病なの!」と
 ド勘違いをされて、まるで殺人犯のように周りの人が引いて
 しまうケースもあるようです。

・ソロとなったポール・サイモンの1枚目のアルバム「ポール・
 サイモン」の『お体を大切に』は、たぶん実話を元に創って
 いると思います。
 何かと気うつなポールが、思い切って病院へ行く、一通りの
 診断結果に異常がないので「体の酷使が原因」と決めつける
 女医の話です。1970年代アルバム発表当時では、今ほど
 アメリカも「心の病」の認知度が高くはなかった頃なので、
 ポールも二番の歌詞の様に「家に帰ってベットで寝る」しか
 なかった様です。

♪昨日 病院へ行った
 女医は言った
 「別に異常は見つかりません」と、そして
 「ポール、今までにどれくらい体を酷使しているか考えてみて、
  今までと同じでペースではもう無理なのよ!
  体は正直なのよ」

 ‥‥

 「君たちも、今までにどれくらい体を酷使しているか考えてみて、
  これからも、今までと同じでペースでいいのかい?
  体は正直だからね」

・「ストレスとうつ病」。
 私も、大企業の地方支店に出向していた時に、心のバランスを
 崩しました。心療内科の医師は、「出向ストレスによる軽い
 うつ病」と診断し、軽い抗うつ剤を処方してくれました。
 私が言ういろいろな事を「すべてうつの症状の一つです」と、
 言い切ってくださったので、救われた気がした事を覚えています。

・日本の自殺者が三万人を超えてから増加の一途をたどり、日本
 政府も本腰を入れて対応を考え始めていますが、中年の自殺の
 三分の二は「うつ病が絡んでいる?」という調査結果もあります。
 前述の自分の体験も含め、肯ける調査結果に思えます。
 「終身雇用」も崩れ、「企業戦士」が死語となった今。
 昔からの「体が資本」、「自分の身と家族は自分で守る」が、
 現実的な対応に思えてきます。現実には、結構難しい事ですが。

・『お体を大切に』の最後で、ポール・サイモンは私たちに忠告を
 してくれています。
 「♪君たちも、今までにどれくらい体を酷使しているか考えてみて、
  これからも、今までと同じでペースでいいのかい?
  体は正直だからね」
 これは彼の体験とやさしさから出た言葉。私は、自分ともダブり
 「身にしみる歌詞」となりました。

 (615-2007/9/29記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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