♯ヒコさん心の一曲−涙の乗車券(カーペンターズ)


・カーペンターズの日本デビューアルバム名が『涙の乗車券』
 だと知ったのは、「遥かなる影」大ヒットのずーっと後、
 「スーパースター」が、大ヒットしている頃でした。
 その時の私の印象は「何〜だ!デビューも人のヒット曲の
 カバーか!」でした。
 『涙の乗車券』は、ビートルズ映画「ヘルプ!」の挿入曲。
 もちろんビートルズがオリジナルです。
 
・その頃の私は「カバー曲でのヒットは、半ヒット(?)」。
 つまり「自分で創らず、オリジナルに手を加えて、自分の
 曲の様にヒットを飛ばす他力本願の輩は、偽者か!泥棒だ!」
 という強い認識があったのです。
 実際「遥かなる影」は、バート・バカラック、「スーパー
 スター」は、レオン・ラッセルと、初期のカーペンターズ
 ヒット曲は、カバー曲が多いのです。
 でも、ビートルズの初期アルバムの半分はカバー曲だった
 ことも事実です。

♪きっと寂しくてたまらなくなるわ
 今日からずっと
 私を夢中にさせた貴方が
 遠くに行ってしまうのだから
 
 貴方は乗車券を買った
 私に相談もせずに
 貴方は乗車券を買った 
 もう私のことなんてどうでもいいのね

・オリジナルバージョンを知っていて、カバーバージョンを
 聞いた時に、オリジナルとは違う「新しい味付けや発想」
 が満足ゆくものであれば、その部分は「新しい創造」と
 いえるかもしれません。なぜなら
 1)オリジナルがヒットしたからといって、ただの焼き直し
  ではヒットしない。新しい発想をプラスする必要あり。
 2)カバー曲の演奏でも、アレンジ、ハーモニー、声の質等
  を要求される事は同じ。アマチュアレベルでは無理。

・カーペンターズの『涙の乗車券』。始まりのピアノを聞いて、
 曲名を想像できないアレンジです。リチャードは、この曲
 の魂ともいえる「三連譜」を使っていません。
 「意地でも使わない!」という心意気を感じる程です。
 でも、カバーするなら「生半可はNG」なのだと思います。
 四拍子を三拍子に、短調を長調に、曲の骨組を逆さに変えて、
 演奏楽器も変えて、ボーカルも男女を入れ替える。
 「ヒット祈願でそこまでやるか??」くらいが必要なの
 でしょう。

・オリジナルのメロディーと歌詞には、手はつけられません。
 アレンジャーの血のにじむような努力と徹夜(?)。
 中ヒットすればOK!大ヒットなら「拾った石が金だった」
 ようなメッケものです!!!
 しかし、リチャードのカレンの声の魅力をすべて出し切る、
 アレンジ才能は、本物だったのです。なぜなら「カバー曲
 だ」とわかっていても、オリジナルよりカーペンターズ版
 を選んでしまうからです。

 (701-2007/10/19記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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