♯ヒコさん心の一曲−ア・ソング・フォー・ユー(カーペンターズ)


・レオン・ラッセルの『ア・ソング・フォー・ユー』は名曲です。
 カーペンターズのカバー版は、さらに名曲です。
 レオン・ラッセル版の繊細さは、ピアノのイントロからも
 わかります。ヒゲもじゃのレオン・ラッセルが「俺にはもう
 お前しかいないんだ!」と必死な目で訴えてる様に、私には
 聞こえてきます。 

・カーペンターズ版の『ア・ソング・フォー・ユー』。
 淡々と歌うカレンの声に、秘めた思いがひしひしと伝わる
 素晴らしい歌唱です。
 リチャードのアレンジも、中間部にサックスの名アドリブを
 長く取る事により、この曲の切なさをいっそう盛り上げる事
 に成功していると思います。

♪いろいろな場所で歌ってきた
 たくさんの歌を歌ってきた
 うまく歌えない時もあったし
 観衆一万人のステージもこなした

 でも 今は二人っきり
 君のために この歌を歌うよ
 
 ‥‥

 「無償の愛」を
 あなたは教えてくれた
 あなたに出会った時
 僕はたじろいでしまった
 でも もう大丈夫
 あなたの愛にも答えられる

 僕の歌を聞いて
 僕の愛が散りばめられているから

・カーペンターズは、アルバム「NOW & THEN」の
 メドレーの様な曲を聞いて育った世代でした。アメリカン・
 ポップスという陽気なロックに、青春を謳歌する曲達です。
 カーペンターズの凄さは、そのテイストを残しワンランク上
 の曲作りとクオリティーを保ち続けた事だと思います。
 それは、手を変え品を変え「愛こそすべて」を歌い続ける
 事でもありました。

・その頃のアメリカは、泥沼化したベトナム戦争の時代。
 カーペンターズを「脳天気な歌」と否定する人々も現れました。
 それは、人気の翳りとなって現れ、カレンはソロアルバムに
 新境地を求めますが、売上げ的には、失敗でした。
 短い結婚生活の破綻、ソロアルバムの失敗、‥。
 素敵な笑顔のカレンでさえ、歯車が狂ってしまいました。
 「ステージで歌う為には、これ以上太ってはダメなの」と、
 家族の制止もきかず無理なダイエット、そして拒食症による死。
 「大スターの運命」と言えばそれまでですが、深い慈しみに
 満ちたカレンのアルトボイスは、百年に一度の奇跡だと
 私は、思います。

 (710-2007/12/23記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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