♯ヒコさん心の一曲−雨や降ぃひんな(与那国島わらべうた)


♪北ぬ さんありてぃぬ たーりん
 牛ぬ鞍やー 羊に掛てぃ
 馬ぬ鞍やー 牛に掛てぃ
 縦糸足らーぬ 横糸足らぬーりゃ 
 雨ーや 降ぃひんなー
 たんでー たんでー 

♪北のがじゅまるの木の下で
 牛の鞍は山羊に掛け
 馬の鞍は牛に掛けたように
 縦糸、横糸も足りなくて 
 (働く両親のために)雨よ降らないで
 おねがい おねがい 

・『雨や降ぃひんな』の出だし「♪北のがじゅまるの木の下で」。
 「がじゅまる」という言葉を使ったヒット曲があるせいか、
 「がじゅまる」の響きに、詩的な南国ムードが漂いますが、
 この歌は、南国は南国でも「人頭税」があった頃の南国です。

・沖縄の離島には、「人頭税」の岩がまだ残っています。
 年齢ではなく、岩と同じ身長になったら、納税開始の「人頭税」。
 私の身長は、179センチで、子供の頃から、列の最後尾でした。
 私の「人頭税」は、通常より一歳か二歳早かったと思います。

♪鶏ぬとぅてぃとぅる でぃーぶん
 朝露踏み 夜露浴ーてぃ
 天ぬ声んでぃ 支配者ぬ声でい
 んにんなーらーぬー 
 ぬてぃんならぬーりゃー
 雨ーや 降ぃひんなー
 たんでー たんでー 

♪鶏が時を告げる頃
 朝露踏み 夜露浴びて帰る両親
 天の声、支配者の命令、人頭税に
 生きることも 
 死ぬこともできないのです
 (働く両親のために)雨よ降らないで
 おねがい おねがい 

・与那国島の人頭税は、他の離島より更に厳しいものでした。
 「久部良バリ」「トゥング田」共に、人減らしに使われました。
 「♪生きることも 死ぬこともできないのです」は、
 誇張ではなく、「支配者の生命与奪」そのものを指しています。 

・那覇市の中学生が演じる、「トゥング田」の劇を見ました。
 役人の鳴らすドラの音に、人々は「トゥング田」に走ります。
 「トゥング田」に入りきれなかった人々は、殺されます。
 入りきれなかった老人や病人、涙の物語が演じられていました。

 (928-2009/4/11記)

 *わらべうた、子守唄の歌詞は、地域で若干違う場合もあります。
 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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